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考へるピント

88 リカバリー

2026/03/16
上野修

リカバリーウェアが流行っている。
 

着ているだけで疲労回復が期待できる服、というあたりが共通する形容だろう。私は使用していないので効果はわからないが、爆発的な広がり方を見ると、ネーミングがすばらしいことは間違いない。
 

このネーミング、カメラにも使えないだろうか。
 

ストレートに、リカバリーカメラというネーミングでも、なかなかいけそうである。散歩のお供にするだけで、疲労が回復して元気になってくるというのは、多くのカメラに当てはまりそうだ。撮影枚数と歩数などを解析してリカバリー度を表示するスマホアプリと連動させてもいいだろう。
 

持っていて快適なバランスのリカバリーレンズ、疲れ目に効くリカバリーファインダー、ホールド感で癒されるリカバリーグリップといったネーミングもよさそうだ。リカバリーストラップ、リカバリーバッグくらいまで用法を広げるのは、いささか苦しいかもしれないが、逆に一気に広げてシリーズ化するのもありかもしれない。
 

撮影した写真に使うのはどうだろう。リカバリーフォト、リカバリーピクチャーなどは、写真の活用法としてはすでにあるだろうが、そうした活用法をアップデートできる可能性も感じる。こじつけになるが、リカバリーカメラで撮るリカバリーフォト、という結びつけ方も考えられるだろう。
 

カメラにリカバリーモードを搭載する方向性もあるかもしれない。しかし、スマホやパソコンのリカバリーモードというのは最終的な復旧モードを指す言葉なので、とんでもない混乱が起きそうである。
 

このように、どこまでも妄想が広がっていくのだから、ことほどさようにネーミングは重要だ。疲労という言葉は重苦しく、回復という言葉は堅苦しい。ところが、リカバリーという言葉には、リフレッシュ寄りの爽快感もある。リカバリーウェアと呼べば、それが部屋着の場合でも、だらしない感じもしない。
 

言い回しによってイメージが違ってくるということで思い浮かぶのは、リスペクトという言葉である。敬意や敬愛の念を抱くというと、かなりシリアスなニュアンスになるが、リスペクトする、リスペクトがあるというと、ややポップな風味になる。軽く敬意を抱く、軽い敬愛の念を込める、といってしまうと何やらいかがわしいが、全体をポップにしてしまえば、いいとこどりになる印象だ。
 

これまた、カメラに使うことはできないだろうか。
 

デジタルカメラに搭載したフィルム風のモードやフィルターに、そのままフィルムという言葉を使ったネーミングをしてしまうと、どうしても矛盾を抱えてしまう。簡単にいうと、アナログモードのデジタル、のようなねじれが含まれてしまうのである。
 

だが、リスペクトモードと呼べば、この矛盾をかなり解決できるように思う。リスペクトネガカラーモード、リスペクトモノクロームモードなどから定着させていけば、いずれは作家名を挟んでも不思議ではなくなるだろう。フィルム風の枠も、堂々とリスペクトフレームと名乗れば、揶揄されなくなるに違いない。
 

もっとも、アナログ愛が強い向きからは、リスペクトモードにはリスペクトがないと批判されることがあるかもしれない。あるいは、リスペクトやリカバリーといった言葉が濫用されてしまうと、リスペクトモードとリカバリーモードが混用されたり、撮る方と貼る方のリカバリーフィルムがわからなくなったり、混沌としていくかもしれない。
 

万一そうなったら、立派な流行語になったということで、活性化の証だろう。
 

ならないだろうけれど。

 

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