どこからみても高そうには見えませんな。でもね、シンプルなデザインですし、実際に使うとプラスチッキーさを忘れてしまうというか、なかなかいいやつです。
キヤノンオートボーイは、80年代初頭から20年以上にわたって、多くのモデルを出しています。最初に登場した時に「自動少年」ってなんだよ?ってなりましたけどねえ、海外モデルには当然このヘンテコな名称はありません。それにしても兄弟は多いです。全部掌握している人とか、コンプリートしている人とかいますかね。コニカビッグミニとかはコンプリートしている人いたなあ。
本連載でも、以前、ヘンタイカメラのオートボーイJETの話をしましたけど、先日、仕事の合間に東京は幡ヶ谷の近江寫眞機店に立ち寄りましたところ、オートボーイ ライトなる機種が目に入ってしまい、うっかりお持ち帰りしてしまいました。
ええ、あくまでもうっかりですから念のため。伊達にこのトシまでヲタはやっておりませんゆえ、言い訳もスマートです(嘘)。
筆者がオートボーイ ライトで気に入ったのはひたすらデザインと軽さですね。オートボーイも機能を増やすとか高倍率ズームの搭載とかで、大きくなったモデルがあるのですが、やりすぎると、おまえ本当にフィルムコンパクトなのか?あ?
みたいに悪態をつきたくなるわけであります(じつは本音ではちょっと欲しいような気がする)が、ライトは“コンパクト” に恥じないサイズです。
質量は250g(単4電池2本込み)であります。お肉屋さんでバラ肉くださいな、みたいな感じの重量ですよね。
電源はボディ前のスライドを動かすとレンズが出現します。とても気に入ったのは搭載レンズが単焦点の正統派35mm F3.5であることです。
おおっ、おまえはエルマーなのか、みたいな感じしません?。しないよね、レンズは奥ゆかしく、引っ込んでるのはもったいない。

キヤノンレンズ35mm F3.5であります。トリプレット構成です。コストを下げるためレンズ枚数を抑えるのはマスト。レンズ組み合わせの基本みたいなものですね。
でも、レンズ構成は3群3枚のようですから、トリプレットですね。まだ撮影してませんけど、けっこうイケそうな雰囲気があります。枚数少ないからヌケもいいんじゃないかなあ。こういう妄想だけでも大事ですね。
全体からはものすごくプラスチック感が溢れる、どころか細かいところにまでプラスチックが溢れているのですが、それでも、手にした時にチープとは感じないのはすばらしいですね。
これはですね、プラスチックならではの曲線と直線、角の丸みなどをすばらしく生かしたデザインを採用しているからではないでしょうか。表面の仕上げも悪くありません。
なにせ内蔵フラッシュが縦型というのがデザイン的に素晴らしい。ほら、筆者はフラッシュの発光部のデザイン処理がうまくないとカメラを使いたくなくなるんですわ。でも本機は合格です。スライドスイッチを入れると横にポンと出る感じがいいですね。このあたり、とてもスマートであります。ガイドナンバーは9(ISO100・m)ですね。ISO400フィルムを装填すればそこそこ使えます。ただ、リサイクルタイムは長いですね。

通常のフラッシュモードは発光部を完全に引き出して使います。リサイクルタイムは短いとは言えないですね。フル発光感が強いです。
ファインダー周りの透明感もいい感じです。でもプラだから、カメラまわりのヨゴレを拭いたりして細かいキズがついて、しばらくすると曇ってくるんじゃないかな。幸いこの個体は問題ない透明感を維持しておりました。前のオーナーさんがダイジダイジしていたのでしょう。すばらしい。
機能的に潔いのは、セルフタイマーを搭載していないことであります。
このクラスのコンパクトカメラにしてはかなり珍しいですね。記念写真撮れねーじゃんというストイックさがあるわけです。それがいい。設計者が、うっかりつけ忘れたのかもしれませんけどね。怒られただろうなあ。あ、上司の責任ですね。
いや、違うか。そういう記念写真のようなユルい写真を撮るためにワタシは生まれてきたのではないという思想的な覚悟があるのかもしれませんね。

アパーチャー部です。プラスチッキーだけど、仕上げは悪くないですね。フィルムを大切にしている感があって、好感が持てます。スプロケットの上下の位置関係がヘンです。
ただ、そこまでやるなら、フィルムのDXコードを解除できるとか、露光補正ダイヤルつけたらならと。できれば簡単なゾーンフォーカス設定だといいと思うけどね。そうなれば筆者はもう一台買いそうですぜ。
都会の裏道で、自分の影とか、洋品店のウィンドウの中の鏡に映る自分の姿をセルフィーしちゃうようなナルシストなヴィビィアン・マイヤーみたいな写真家に向いていそうな気がするわけです。いや、無理があるか(笑)。
ガワは小さいのですが、シャッター音と巻き上げ音が「ガチャ・ジー」って、そこそこにデカい音がします。小さくてもデカい音がするのはぼんやり日々を過ごす撮影者を覚醒させるためでしょう。
コソコソ撮れないのは、むしろ現代の撮影スタイルに合っているかもしれません。

小判型のシャッターボタン。デカいです。感触としてはフツー。半押しでフォーカスロックできます。
裏蓋開けると中身も思いっきりプラスチックですが、表面の処理とかなかなか良いですね。スプロケットがアパーチャーの上下の偏心した位置あったりするところも個性をみせています。フィルムの送りがスムーズになるのかねえ。
このカメラのウリは、マクロ機構がついていることであります。フラッシュ機構と連動していて、フラッシュ用の可動レバーをマクロ位置にすればセットできます。
最短撮影距離は0.45mです。いや、オートフォーカスが効くのではなくて、フォーカス位置は固定のようです。これも潔いかなあ。

オレンジ色のレバーをマクロ位置にして発光部を出すとマクロモードに。つまり、マクロ撮影はフラッシュ撮影がマストということになります。
だから意図的なピンボケ写真は容易にできるんじゃないかな。逆光でボヤボヤにしてね。それでフィルム写真はエモいとか人に自慢できてしまうわけですね。おめでとうございます。
マクロ撮影は被写界深度にまかせろということのようですが、もしかすると専用ストラップが最短撮影距離の長さになっているとか?ペンタックス17とか、オリンパス XA4とかミノックスみたいじゃん。
でもねえ、このカメラで、マクロ設定して、シャープな写真撮れるほうが、エモいんじゃないかとおじいさんは思いますけどね。
そうでもないのかな?


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