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カメラ悪酔強酒

第58回 日付け同時写し込み機構を搭載した、コンパクトカメラ「キヤノンデートマチック」

2026/01/22
赤城耕一

プラスチック多用のカメラだと思いますが、そんなに安っぽい感じしないのは大したものです。鏡筒が黒というのも効いています。搭載レンズは4群5枚構成。シャッターのストロークの長さや荷重とかはキヤノネット系カメラに似ています。手ブレに注意ですね。質量は440g。

 

写真に日付が入るってのは、1970年代のおじさん(だけじゃないか)たちはけっこう萌えてましたね。コンパクトカメラでデートを写真に焼き込める機能内蔵した先鞭をつけたのは1970年に登場した、キヤノデートEなのかなあ。製品名になるくらいだからおそらくそういうことにしておきましょう。
 

かなり昔から写真に日付を写し込みたい人が少なからずいたということですね。まあ、うちにある未整理のネガとかポジとかを見ていると、撮影年月日が判明していないものが出てきてたりして、まずいですねえ。なんだかんだで、半世紀分ありますからねえ。ダイジダイジなものとそうでないものを分けるだけでもたいへんなことでありますが、せめて撮影年代くらいは判明したいよね。
 

そういえば、コンパクトカメラではなくても、70年代の一眼レフって、データバックという裏蓋に日付の写し込み装置を入れたアクセサリーって普通にありましたよね。最初は完全なアナログダイヤルで、のちに液晶の時計が内蔵されて、写し込みは小型のランプを使ってました。
 

日付の入った写真は、記録性としては役立ちますし、筆者もせめて本番撮影前の一コマに日付を入れておけば整理には役立ってたとは思いますね。よいアイディアだと自分でも思いますけどね。でもね、ヤラかしますね、写し込み機能をオフにするのを忘れて、通常撮影をしちゃうんだろうなと。

 


シャッターボタンは黒いというのも面白いです。バッテリーチェックランプもデカいのはバッテリーがないと動作しないから注意という意味でしょうか。キヤノネットGIIIのようなメカでは動きませんので。

 

でもねえ、日付が入った写真は作品としてはその価値が下がると思われていたこともありましたし、実際にラボには日付が入ったプリントから日付を消すって依頼もあったらしく。Photoshopがないころは、大騒ぎでお金かかりましたね。
 

そういえばアラーキー(荒木経惟さん)は、アナログのデート機能があるカメラの日付をわざとデタラメに設定して、「天才は未来が写せる!」と豪語してたことを思い出しましたね。「偽日記」でしたっけ、そう写真はこういうとこでもウソがつけるという。Exifも改ざんできなくはないよね。
 

なんでこんなことを話したというと、昨年末に、いろいろと機材整理していましたら、キヤノンデートマチックというコンパクトカメラが出てまいりまして。いつ購入したのか例によってわかりませんが。
 

ボディまわりは、キヤノネットGIIIと似ているんですが、ボディカバーはプラスチックだそうです。けっこう表面の質感よくて、こうしたところにも当時のキヤノンの実力がわかるわけですね。

 


外装はプラですけど、巻き戻しクランクは金属とか、こういうところはエラいですね。でも、これもキヤノネットと同じかな。

 

ファインダーは見かけよりもよくて、レンジファインダーも見やすいのですが、残念なのはフォーカスリングの幅が狭いこと。ゾーンフォーカスと、距離目盛りの二重表示なのですが、距離目盛りはレンズの下側にあって、カメラを傾けないと見ることができないわけです。

 

ファインダーアイピースは四角ですね。なかなか見やすいファインダーですね。倍率0.62倍。視野率84.5パーセントだそうです。

 

このあたり、ビギナーの使用を意識しすぎたのではないかなあ。そういえばペンタックス17も同様の表示であることを思い出しました。

 

フォーカスリングは細身で頼りないんです。デート機構にフォーカスリングの位置を奪われたからです。距離はアイコンもあるので、二重像合致が苦手な人はこれで合わせてね、ということかな。

 

でも、ボディをひっくり返して、鏡筒をみると、メートルの距離表記がありまして、筆者は本来こちらを使いたいんですけどねえ。

 

巻き上げレバーの先端にはちゃんとプラのカバーがあり、指が痛くならないような配慮がされています。ただし小刻み巻き上げはできません。露出はプログラムAEオンリーであります。これはですね、いじくるという意味では、ちょっとつまらんですね。
 

肝心のデート機構は完全なアナログです。設定ダイヤルはレンズ鏡胴にあるのですが、西暦は1985年までしかありませんねー。

 


デート設定は、アナログですね。西暦は1985年まで。鏡筒脇にダイヤルありまして、これを回すと変更できます。窓の文字が小さくて、暗いところでは筆者には見えません。設定は諦めます。

 


ボディ前面にあるデート写し込みスイッチ。これ簡便でいいですね、特定のコマにだけ写し込みたいような場合には重宝します。

 

これは仕方ないですが、発売時は10年あればいいだろうという考えからくる設定ですね。もうね2026年ですからねえ、さすがに50年以上、このカメラを使うことはありえないと考えられていたのだろうなあ。当然か。
 

でも、筆者はこの10年くらいの間に偶然ですけど、本機を使用している人と2回ほど街で遭遇しておりまして、そこから興味が湧いたこともあります。

 


HM-N型バッテリーはもうないので、関東カメラさんのアダプターを使用しました。おそらく電圧調整機構は入っているのでは。LR44を入れたのですが、問題なく動作しました。

 

購入したカメラ店は忘れたけど、そんなこともあって購入したのでしょうね。現役時代はそこそこの販売数があったのではないかと推測されます。
 

個人的にはけっこう仕事できそうなデザインのカメラではないかと思っておりますがどうでしょうか。年寄りからみると、そんなに古臭い感じしないようにみえるのです。若い方はどう見るかわからないけど。これね、大事な要件ではないかと思うのですわ。

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