キヤノンT60。FD24mm F2.8 S.S.Cつき。本来はNew FDレンズをつけないといけないのですが、先日、片付けをしまして見つからないので勘弁してください。でも似合いますよね。
今回は、日本国内の多くの人は見慣れていないと思うカメラ、キヤノンT60を取り上げます。見慣れていない、つまり、海外輸出専用機ですね。キヤノンAT-1とかTLbなどの仲間になります。登場は1990年ですから、バブル期の真っ最中であります。
スペック説明をする前に言いたいのですが、T60の各部をみると、どこか既視感があります。
長野北部の方向に向かって、思わず「おかあさーん」という叫びたくなったり、ボディからリンゴの良い香りがするような気がしてくるのはOEMで有名な、かのベースになった一眼レフとよく似ているからです。

どこかーに既視感があるわけです。どのカメラとは申しませんが、自然にうなづいてしまうというか。
もちろんOEM機であることはメーカーは公開することはありません。こちらも正確にウラがとれているわけではありませんのでこれくらいにしておきたいですが、巻き戻しノブとかバッテリー室の蓋などをみると…ですね。まあいいでしょう。
全体の基本デザインは洗練されていて筆者には好感が持てますが、全体はプラスチッキーですね。耐久性などは大丈夫かしら?おそらく使い込むとツルツルのテカテカになることでしょう。これはさすがに好きじゃないですね。

巻き戻しノブ、クランクともに少々華奢ですね。どこかで見たようなデザインですが気のせいでしょう。ISO感度ダイヤルにロックはありません。露光補正ダイヤルは感度ダイヤルを使えということでしょうか?
T60に対してはあまりネガな意見は聞かれませんので問題はないでしょうけど、考えてみればユーザーは本来は国内には居ないはずなのですから、声が小さくて聞こえてこないだけなのかもしれません。ただ、AE機ですから、壊れるとおそらくアウトだと思います。
筆者としては、外装がプラスチックでもいいのですが、裏蓋を開けたときのアパーチャー部とガイドレールすべてが、プラスチック成形なことは、少々暴れたくなる感じがしておりました。これは精度の問題ではないのであります、カメラは外観からすぐに見えないところにも気を遣われていると安心するものなんですよね。

シャッターダイヤルの「A」ポジションは白色、ロックの「L」は赤色です。この色は逆じゃないのかなあ。でも、どうでもいいのか。シャッターダイヤルにロック機構はありません。
ファインダーの倍率はそこそこに大きく、視野率も93パーセント程度のようですが、倍率は0.86倍と大きくなかなか見やすいファインダーで、マット面も明るくフォーカシングも良好に行うことができます。
露出制御は絞り優先AEとマニュアルですね。おいおいーキヤノンのAEの基本姿勢はどうしたんだーとか、前にAV-1の時に書きましたっけ。すでに筆者自身が忘れましたけどね。でも廉価に作るためにはシャッタースピード優先AEよりも絞優先AEが安く済むのかもしれません。

セルフタイマーのLEDランプです。けっこうデカいですね。押すことでスタートします。見やすいですが、そうしょっちゅう使用できるものではないですよ。
それにしても同じベースボディを使用した一眼レフって、カメラメーカー各社合わせると、それなりの数に上りますね。
これらを“兄弟機” などと呼ぶと、特定のメーカーの熱いサポーターの方の中には烈火のごとく怒る人もいますから、最近はOEMという言葉を使うことも慎重になってしまいます。

バッテリーはSR44かLR44を2個使用します。バッテリーのケースもどこかで見たような。いや、おそらく気のせいでしょう。
でもベースボディは同じでも、マウントの規格などは完全なる純正のものですから、交換レンズの装着に不安になるなどのストレスはありません。
現代の一部のマウントアダプターにみられるような手抜きされた加工精度とは違い装着時に安心感があるわけです。

裏蓋を開いてみます。アパーチャー部やフィルムガイドレール等はフルプラスチックですね。実用上は問題ないのでしょうが、見た目ではさすがにむむ、となります。
シャッターは縦走り金属幕です。動作音は意外にも小さめですね。これはとてもいいと思います。ファインダーのピントの切れ込みもよい感じで昨今のミラーレスのファインダーをみて疲れている筆者の目にやさしい。でもフォーカシングが楽しくなりますねえ。
海外限定発売のエントリー機というのは各社ともに頑張っていたわけですが、T60は特別な機能があるわけではありませんけど、小型軽量のAE一眼レフとして、なかなかよくまとまっている一眼レフカメラです。


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