キヤノンFXと同型とは思いますが、細部に違いがあったり。金型は別なのでしょうか。だとすると無駄遣いですね。でもシンプルで綺麗なカメラです。正面のミラーアップノブが目立ちますが、この当時のユーザーのみなさまは、そんなに多用したのでしょうか。
先週紹介しました、キヤノンFXの内蔵メーターを省いた機種がキヤノンFPです。いや、でも細部のディテールが異なるので、普及機と呼ぶのも少し違うような。
Pの文字がつくキヤノンのカメラって多くないですかねえ?謙虚なのかな。いま、筆者のキヤノンの愛機はEOS RPだったりしますからね。本気とは関係ないけど微妙に好きなカメラです。プロが使うのはおかしいと人に言われましたが、先日もアサインメントに使用し、よい仕事をしました。と、冒頭から話が外れております。
ちなみにCanon Pが、Pのつくカメラの最初なのでしょうか。Pの意味はポピュレール、つまり大衆機というと判断されているのですが、このFPもそのニュアンスが当然あるのでしょうけど、どうなんですかあまり気にしていないような。そのまま略さなければ「フレックスポピュレール」になるのでしょうか。
ペンタックスSPとSLの関係とか、ニコマートFTとFSの関係と似ているようで似ていないですね。
ただし、いま挙げましたそれぞれのモデルのデザインはよく似ていますね。あたりまえです、外装の金型は同じものを使っていたりするのでは。厳密にいえばウラはとれてません。

FXにあったISO感度設定ダイヤルがないので見やすいですし、すっきりしております。巻き上げレバーの動作の感触もまずまずですね。小刻み巻き上げも可能です。
TTLメーターを内蔵しているカメラの場合は外観ではその違いは見分けづらいです。メータースイッチの有無くらいでしょうか。
フィルム巻き戻しクランクにある、高輝度、低輝度切り替えレバーとかボディ左上にあるメーター指針窓の有無でFXとFPを判断します。カメラ底部も違いますね。FXはキー方式ですがFPはボタンを押す方式で少し変わり者であります。

メーターなくても、装填したフィルムの種類がわからないとマズいだろうということで巻き戻しクランクの基部に覚え書きのフィルム感度設定ダイヤルがあります。文字が小さくすぎて当然見えません。
それにしてもFXのメーターは外部測光でTTLじゃないしねえ。この当時のキヤノンは信じがたいけど、技術が遅れてたわけですわ。
私より少し年配のカメラマンさんは、自分は人間露出計だからメーターは不要とか、単独の露出計を所持しているからそちらを使うんだぜという人が結構いました。
自分の経験則をきちんと生かすということなのかもしれませんが、一連の写真制作のためのワークフローを理屈で覚えていたという人が少なからずいたわけです。ある意味では基本に忠実な写真表現者が多かったのかもしれません。

その昔のことですが「キヤノンカメラ株式会社」だった時代があったわけですね。左にみえるネジは当然マイナスです。これは美学であります。
それにしても往時の一眼レフというのはとても高価でしたから、予算をできるだけ抑えたいという人も少なからずいらしたはず。廉価だから大衆機であるからイコール、ビギナー機と考えてしまうのはあまりに早計でありますよ。
つまりビギナーですと、メーターがないのにどのように露出を設定するんですかね。と、いう大きな疑問というか矛盾が出てくるのではないでしょうか。どうしましょうか。
ここで粋な人は「フィルムの箱に露出値が書いてある」とリー・フリードランダーみたいなことを言ってケムにまいてみるという手もありますが、さすがにそこまで求めるのは難しい。

底部になります。ワインダーもモータードライブも関係ありませんから、すっきりした底部です。このころはみんな速写ケースに入れてたのかな。この個体も綺麗です。
実はFPには着脱式の外部測光のFPメーターが用意されていますから、これを使えばよいわけで。でもね、このメーターを購入したら、FXと大して価格が変わらなくなるんじゃないですか。それにFXより重たくなったりして。二階建てにもなりますしね。
FPのすごさって、そのあまりにも何もないことでありまして。
でもね、前回のFXの時にも書きましたが、FTbあたりまで、全体の基本のデザインは踏襲されますね。一眼レフとして、なかなか整ったよいデザインだと筆者は考えております。

謎なのは裏蓋開閉にはボタンを使用することです。裏蓋を開くには右の大きいほうのボッチをボタン方向にスライドして、ボタンを押します。面倒です。ちなみにFXはキー方式ですね。
フィーリングなどはFXと同じですから特筆すべきところはないけど、機能に頼らない潔さはいいですね。
うちにある個体は、ジャンクと同様のお値段でした。きちんとした完動品なのに、それこそ安い居酒屋の、本日の日替わり定食くらいのお値段だったように記憶しております。お店の人も、FPよ、早くいなくなってくれよと思っていたに違いありませんね。カメラ愛が薄いぞ。

あまりにもフツーなフィルム室。ただ、フィルムガードレールの仕上げとかは品があります。肝心なところはしっかり押さえているという感じがします。
筆者なんかこの日替わり定食と同じ値段のカメラに購入価格の20倍の修理代をかけてしまいました。真面目でしょ?誰か表彰してくれないでしょうか。でもね写真表現者の道具として使うのだから、これは仕方ありません。
本機にもミラーアップ機構が内蔵されています。ミラーアップして使用するキヤノンFL19mm F3.5を装着して、師走の町を歩いてみたいものだと、今夢想しているところでありますが、どこかにしまい込んでしまった19mmを探すのがたいへんです。


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