キヤノン7と聞いて、ああ、EOS 7ですよねと答えてしまいそうになる人はいまでは年配者か。いいカメラですけど、これはEOS AF一眼レフですね。
EOS 7Dというのもありますよね、確か購入した記憶あるし。EOS Kiss X7は、一時マイブームでしたね。これが、最近ではEOS R7になりますかねえ。とにかく「7」のつくカメラはキヤノンにとって大事ということでありましょう。
ここで紹介するのは1965年登場のキヤノン7Sです。キヤノン最後のレンズ交換式レンジファインダー機です。おそらく70年代の初頭くらいまでカタログへの記載がありましたからロングセラー機であり、レンジファインダーカメラシステムとしてはニコンSシリーズよりも長寿命でした。売れていたとは到底思えないのですが、今のキヤノンからみれば想像もつかないけど、粘りたかったんでしょうか。
右のダイヤルはブライトフレーム切り替え用ですね。装着レンズの50mmに設定しました。左の巻き戻しノブは大型だから本機は後期の方なんでしょう。まあどうでもいいんですけど。
ボディは前機種同様に弁当箱状で、そこそこに大きく、かつレンジファインダーカメラなのに重たいです。大きな改良点はメーターの測光素子をセレンから、Cdsに変更したことにあります。ボディ右上に丸い受光部があります。少々じゃまくさいですが、仕方ないですね。
例によって、筆者は本機にバッテリーを入れたのは数回しかないので、いま現在メーターが動くのかどうかもわからず、使い勝手に対しては論評できませんが、メーターは低輝度と高輝度の2段切り替えです。これは前機種の7と同じですよね。
Cdsですから応答速度は遅いんでしょうけど、これはまあ仕方ないですが、どうということはないのですが、外部測光ですから被写体の被写体のどのあたりを測光しているのかはよくわかりません。
メーター窓ですね。低輝度と高輝度に別れた表示です。シャッタースピードダイヤルに連動します。オレンジが高輝度ですね。使ったことないからよくわからんのですけど、この時代のカメラにしては見やすいのかな。
7では省略されていたアクセサリーシューも復活しておりますから、スピードライトの取り付けも簡単で、外付けファインダーも光軸に近いよい位置に取り付けることができます。アクセサリーシューの前にはメーター指針窓があります。
ダイヤル類も大きくて使いやすいのですが、どういうわけか巻き戻しノブの大きさが初期型は小さく、後期型は大きくなっています。
巻き戻しノブにはクランクがありますから、これを回すとノブの径の違いがあったとしても、実用的には意味なさそうですけど、大きいほうがクランクの軸が長いから巻き戻しが安定して、やりやすいということでしょうか。理由はよくわかりません。
雲型定規みたいなフィルム巻き上げレバーですが、どこかおっとりしたニュアンスないですか。シャッターボタンが前の方に出ているのは、キヤノンはライカとは違うぜと言いたかったんだろうなあ。
各部の仕上げはとても精度が高そうで綺麗です。ブライトフレームの明かり取り窓も大きいのですが、筆者としてはここのデザイン処理がいまひとつ気にいらないのですが、どうでしょうか。
フレームの種類は35/50/85/100/135mmになっております。カメラ上部のフレーム切り替えダイヤルにある焦点距離数値表記で装着レンズのフレームを選択します。フレームの処理も綺麗で目が喜びます。パララックスはもちろん自動補正されます。フレームの種類が多いのは交換レンズをたくさん購入させようというキヤノンの作戦です。
でも、この作戦を真に受けてたくさんのレンズを購入した人は大変だったろうなと。お金持ちだからいいのか。でも135mmとか使うのは4年に一度くらいではないですか?
ヘソみたいな露出用の採光窓。ホールディングすると邪魔です。とはいえないと困るしね。H(高輝度)とL(低輝度)の切り替えは周囲ダイヤルを回します。
ちなみにフレームの仕上げの処理は綺麗なのですが、二重像合致部分はコントラストは悪くないけど、周囲がボヤけていますので、ライカMシリーズにはかないません。いわゆる上下像合致によるフォーカシングはできないことになります。
マウントはこれまでのレンジファンダーキヤノンと同様に、ライカスクリューマウントと互換性があり、かつ、前機種の7と同様、50mm F0.95やミラーボックス2が適合する、独自バヨネットもマウント周りに装備する、いまふうにいえばハイブリッドタイプであります。キヤノンの50mm F0.95はいまも神話化された人気レンズですが、撮影してみると絞り開放ではかなりボヤボヤですぜ。あ、それがいいのか。
マウント部。周囲はキヤノン50mmF0.95用のバヨネットですね。このレンズを使うには本機か、前機種の7を使用せねばならんのです。無理して使うようなレンズじゃないと思いますけどね。
資料によれば少数のブラックペイントボディがあるとのことですが、筆者は生まれてこのかた、本機のブラックボディを一度も見たことがありません。そうです。これからも見ない方がいいような気がしています。
使い勝手は前機種の7と変わりないのですが、筆者はメーターを使わないのでウエイトをつけたカメラを使用している気分になります。
どういうわけか先日、機材庫から純正のボディキャップが発掘されました。金属製ですぜ。シグマBFのボディキャップの元祖みたいな。違うか。無駄に重いですがライカIIIfあたりに装着するとカメラが壊れるかもしれません。ええ、嘘です。
スナップを鍛えるには良いのですが、VILの機動性にはおよびません。それでもライカと比較して、こちらはメーターを内蔵しているのだというアドバンテージを強く打ち出したかったのかもしれませんね。カラー時代に対応というのは建前かもしれませんけど。
生産台数はそう多くはないはずですが、中古市場では以前よりも廉価に販売されているようにみうけられます。少々重たいのを我慢すれば、シャッター音も静かながらも重厚で高級感があり、満足できるものがあります。キヤノンレンジファインダーカメラ最後の機種として、ふさわしい存在感があるわけです。
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