ベッサR2A。絞り優先AE機です。外装はマグネシウム合金。デザインはオリジナリティあります。かつてのコニカIIIシリーズにもデザインは似ています。VM(ライカM互換)マウント採用です。
フィルムライカMの一部は相当な値上がりをみせていて、これらを実用として使用したいという真面目な写真表現者にとっては、かなりハードルが高いカメラになっています。
ライカはライカで、そのほかの似た意匠のカメラはみんな“コピー” だよという人は少なからずいます。大雑把に言えばその通りですよね。
筆者のような貧乏人でもライカを使い始めて40年以上になりますから、ライカの素晴らしさを説けと注文されれば2時間くらいは続けて話すことができそうですが、一方で、コピーライカとの戯れを語ってはダメですかねえ。怒られるかなあ。
軍艦部です。シャッタースピードダイヤルなどは金属製。感触は良いですね。露光補正は同軸で行います。
コピーライカに同じレンズを装着して、同じフィルムを装填するとホンモノのライカで撮影した写真と同じ質の写真が制作できませんか?
はい。できません、同じライカレンズを使用しても、ライカボディを使用して撮影したほうがよく写ることがよく知られています(棒読み)。
こんなことを書くと烈火のごとく怒る人がいますけど、逆に言えば、コピーと同じ質の写真を制作できようともライカはライカとして君臨し続けることができていますから、これはこれですごいことだと思うわけです。関係ないのですよ性能は。
筆者はカメラ博愛主義者ですから、コピーライカだって嫌いではありません。
フィルム巻き戻しノブの中にクランクレバーが折りたたまれているというギミック的なやり方も面白いですね。
とくに1999年に登場したコシナ・フォクトレンダーのベッサシリーズはライカに範をとりながら、独自の性能やデザインを追求しました。そんじょそこらのニワカのライカパチカメラやレンズとも違い、四半世紀をかけて独自の位置を確立しました。残念ながらカメラは全て製造が中止されていますが、今も人気のようです。
ベッサシリーズでもベッサTからVMマウント(Mマウント互換)となり、さらにライカMに近づいたようにみえるかもしれませんが、使用してみるとぜーんぜん違いますよね。もとはOEM用に作られたコシナ一眼レフボディをベースにしていますから、レンジファインダーから一眼レフへ、という流れとは逆行しております。これはこれで、すごい漢気を感じます。
ファインダーは恐ろしくクリアです。フレーム枠は手動切替式ですが、このため、ライカスクリューマウントアダプターはどの種類を選ばず、使用することができ、当該レンズのフレームを出現させることができます。
縦走り金属シャッターを搭載しているのに小刻み巻き上げを採用していたり、ファインダー視野の鮮鋭さはライカを凌駕し、驚いたことに本家ライカMにはない、21mmフレームを内蔵したベッサR4A、R4Mも存在するというすごさです。もう変態です。
ライカボディのカバーみたいに真鍮を使うというのは難しいけれど、マグネシウム合金を採用するなど、外装仕上げからも気合いを感じますが、正直、これらの手間をかけて大丈夫なのかと心配になったくらいであります。
ベッサシリーズが評判になったのはライカコピーではなくて、“ライカ” を目指さなかったレンジファインダーカメラを生み出したことではないかと考えます。
縦走り金属製のシャッターです。遮光幕も組み込まれました。漏光を防ぐためです。グレーに塗られているのはシャッター幕面測光だからです。仕組み的にはライツミノルタCLやライカM6と同じです。
もちろんレンジファインダーカメラには違いありませんから、一連の操作とかフォーカシングはライカ、コピーライカと似ているところがたくさんありますが、そこに独自性を感じることができるのは素晴らしいと思いますね。
実際にその佇まいは遠くからみても、ベッサだなと認識できます。ライカと見間違えるような意匠を目指していないからですね。
コシナは十分にライカが神様であることを認識しリスペクトしているわけですね。このことを踏まえた上で、ベッサシリーズを発展させてきたわけです。ライカと比べることにあまり意味がないということが、ベッサを使うとわかるのです。
ここからしばらく少し掘り下げてベッサシリーズをみてみます。
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