top コラムカメラ悪酔強酒第22回 M42マウントを採用した「Bessaflex TM」

カメラ悪酔強酒

第22回 M42マウントを採用した「Bessaflex TM」

2025/05/17
赤城耕一

コシナ・フォクトレンダーレンズにもM42マウントが少数あるのですが、ここではウチに転がっていた怪しいALPEX 35mm F2.8レンズを装着してみました。ペンタックスのM42マウントのタクマーにはない仕様です。フツーによく写ります。

 

一眼レフをベースにレンジファインダーカメラとして進化、発展してきたコシナのフォクトレンダーベッサシリーズですが、いま一度原点に戻るというか、再度、BESSAシリーズとして一眼レフをラインアップに加えたらどうなるんだろうか、という企画があったのかどうかはわかりませんが、2003年に登場したのがBessaflex TMであります。
 

TMの意味はマウント「Thread Mount」すなわちねじ込みマウントのことです。望遠鏡用のアダプターなどで聞くことがありますが、本機ではねじ込みの代表格であるM42マウント対応であることを示しています。
 

M42マウントを採用したカメラは、もちろんプラクチカ、ペンタックスが有名ですが、オリンパス、リコー、ヤシカ、ペトリ、ミランダ、チノン、フジ、マミヤでもM42マウントカメラが存在します。
 

つまり一時期はM42はユニバーサルマウントなので、世界的な視野で見ると、本当に膨大なレンズが存在しますし、多くのカメラと互換性があったわけですね。

 


この角度から見ても、なかなかのスタイリングの良さです。レンジファインダーのベッサと比較して作る側の余裕を感じますし使う側も緊張なく接することができます。

 

汎用性はもちろん高いですが、世界は広いです。怪しい仕様のレンズもなくはないので、見たことないも聞いたこともないレンズを装着前には気をつけてください。自己責任でお願いします。
 

本機の基本機構はペンタックスSシリーズの代表的機種であるSPに似ています。
 

内蔵メーターはTTL絞り込み測光を採用しています。カメラのエプロン部脇の測光スイッチを上げるとメーターのスイッチが入ると同時に、装着レンズは設定値まで絞り込まれ、測光を開始します。シャッターを切ると、自動的に電源はOFFになり絞りも開放に戻ります。

 


縦走り金属のフォーカルプレーンシャッター装備ですが、普通に小刻み巻き上げができてしまいます。

 

測光時には実絞りまで絞り込まれるので、ファインダーが暗くなるなどのリスクはあるのですが、過去に登場した膨大なM42マウントを、TTL測光で使うことができますから露出設定に不安を感じるビギナーさんには大きな利点かと思います。

 

ただ、そこは現代版カメラですから、受光素子は応答速度の速いSPDを採用しています。ファインダー内表示もLEDであります。
 

ペンタックスSPのように、メーター指針を中央に合わせ、適正と思われる値に設定したのに、少し時間を経ると、ズレてしまうという、がっかりな現象がありません。
 


既視感のあるパーツですね。まあ高価になってしまっては意味ありませんから、これでいいんです。

 

また縦走りのフォーカルプレーンシャッター搭載ですが、小刻み巻き上げを可能としていますし、トリガーワインダーを装着することができます。見た目より速射性があります。
 

ファインダースクリーンは明るすぎず、暗すぎず。ピントのヤマが掴みやすいですね。このあたり、さすがMF一眼レフです。

 

もとはOEMを前提として開発された部分もあるコシナ一眼レフなんですが、これくらい大きく改良されるとベース機のことを思い浮かべることすら困難であります。そう、あたりまえですが「BESSA」の名のついたカメラはコシナの中でも特別なのだろうなと。

 


遮光シャッターがありませんからスッキリ感があります。ミラーがあるから漏光の心配はありません。

 

Bessaflex TMのデザインはペンタプリズム頭頂部が尖ったブラックと、平たいシルバーボディがあります。後者はレクタフレックスとかトプコンRE系の一眼レフに似ています。

 

実際に使ってみると、けっこう心地よき動作感であります。軽量ボディだし。シャッター音が意外にも優しいですね。個人の印象だとBESSA Lよりも小さいように感じています。遮光シャッターを不要としたからでしょうか。巻き上げ感触もとても良いものになっています。
 

惜しいのはコンタックス一眼レフに見られるようなミラーズレの現象が本機でもまれに起こることですが、これはまあ、修理はできるので良しとしましょう。このことを除けば、動作安定性は優秀ですし、使用して損はないBESSAだと思います。

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