top コラムカメラ悪酔強酒第1回 新連載「カメラ悪酔強酒」がスタート‼︎ 「ライカM3」

カメラ悪酔強酒

第1回 新連載「カメラ悪酔強酒」がスタート‼︎
「ライカM3」

2024/12/20
赤城耕一

ファインダーと採光窓の額縁がどうも慣れないんですよね。当時のライツとしてはムダにカネかけてやったんだぜ、デザインのためにということだったのかも。

 

こんにちは。今回からスタートするのは「カメラ悪酔強酒」であります。
 

「悪酔強酒」とは、酔っ払うのを嫌がり(ホントか?)ながらも、結局は飲んでしまうという、ダメな人たとえでありますな。筆者は、これをカメラにたとえちゃうことありますが、みなさんはいかがでしょう。
 

たとえば、本当はさ、カメラはもうこれ以上要らないはずなのにカメラ買って家庭内騒動とか起こしてないですか?
 

そんなことは一切していないという強靭な意志をお持ちの人は本連載は、お読みにならないほうがいいと思うので迅速に離脱してください。このコラムはなんの役にもたちません。
 

本連載は以前のメーカー縛りはヤメて、デジタル、フィルム、新旧機種、メーカーにかかわらず取り上げることにします。いま筆者が気になる機種を取り上げて、忖度もなく、ユルく適当に、でもね、あまり言わなかった本音でやってゆこうかなと。たとえ老害と言われようとも頑張りたいぜ。例によって資料性は皆無ですので期待されませんように。
 

2024年末からのスタートですが、紙媒体では2025年1月号が発売されたばかりなので、まあ初回としてはよい時期なのではないかと。
 

で、記念すべき第一回に取り上るのは「ライカM3」であります。はい。おなじみすぎて、これでもうイヤになる人がいるだろうなあ。もちろんシリアル番号別によるM3の各部の違いを探求し、解説することにします。

 


後期型のM3ですね。最後の方はパーツの仕上げが良くないとかいう人も出てくるのですが、仕上げの良いパーツの付いているM3の方がよく写りますから仕方ないですね。

 

嘘です。こういうシリアル番号分類とか、時代研究は筆者のもっとも不得意とするところでございますので、興味のある人はお正月休みに別の資料をゆっくり探して研究し、次回の学会で新しい発見を発表してください。
 

で、何を言いたいのかおまえはということなんですが、ライカM3ってそんなに人気ねえからライカが欲しい人には意外に狙い目なんじゃねという話です。いや、違います。無理して買う必要もないんじゃねという話です。

 


現行のライカMPとかもクランクをやめてノブのフィルム巻き戻しを採用していますが、時間かかるんだよね。イヤならハンドルのアクセサリーを購入せよということらしいです。

 

カメラの人気がないということはイラネに通じるかもしれません。なんせ本来ならばM3登場は1954年ですから、2024年は誕生70周年というお祝いをせねばならないはず。
 

いや、M3はMシリーズの初号機ですから、Mシリーズ70周年を記念するというのが筋ですね。

 


フィルム巻き上げレバーの先端にはプラスチックのアテがありません。たくさん撮影すると指の腹が赤くなったり…。しないな。よく調整されたライカって巻き上げのトルクが軽いわけ。

 

本来ならばもう少し盛大に祝う必要があると思うのですが、肝心のライカ社がそのことを忘れていた(筆者の推測です)らしく、記念モデル「ライカM Edition 70」が登場するのは、2025年のですよね。これはフィルムカメラのライカM-Aがベースでしたっけ?興味ある方は調べてください。


https://leica-camera.com/ja-JP/photography/cameras/m/m-edition-70
 

で、すみません。すぐに脱線しそうになるのですが、M3の話でありますね。昨今はブラックペイントされたM型ライカは異なる惑星に存在する「地球にあるカメラみたいなカタチをしたもの」みたいな価格がつけられているのですが、ごく普通のシルバークロームのM3ならば、まだ、少し努力すれば入手可能な範疇だと思います。ええ、これこそが表現者のためのライカです。
 

前時代だなあと思いますよね。こういうシャッターが剥き出しの姿をみると、デジタルバックとかつかねえのかなと思うよね。

 

Mシリーズライカの中でも廉価である理由は単純です。人気ないからですね。M3の場合はブラックペイントとか、最初機の70万台のモデルのほうが、そこらへんに普通に売られているシルバークロームのM3よりもはるかによく写ることが知られています。
  

ファインダーアイピースは金属製で、今のMみたいにメガネに優しくなくて、メガネのレンズがガリガリ君になって、交換せねばならなくなります。ったく。あ、サードパーティでゴムカバーとかあるからそれをつけますか。

 

以前、どこかでライカM4でシルバークロームモデルよりブラックペイントのほうが写りがいいと書いたのですが、このことで「本当ですか!」という本気の問合せが私のXのDMに届きました。この時、「ええ、当然のことです」とお答えしたほうがよかったでしょうか。

 

みんな大好きM3ブラックペイントです。陰湿ですね。街では堂々と撮りましょう。カルティエ・ブレッソンは自分が撮られるのはヤだったらしいですね。良い性格ですね。

 

あ、また話が逸れました。人のことは言えませんが、M3って、おそらくライカMシリーズでは筆者も使用頻度があまり多くない機種に属しております。2024年にフィルム通したのは10本に満たないかなあ。
 

持ち出さない理由は35mmフレームが内蔵されていないからです。きっぱり。ええ、35mmフリークの筆者には50、90、135mmのフレームしかないM3では使いづらいわけです。
 

でもね、ライカレンズは「50mm命」とか「アポズミクロンM50mmF2 ASPH.」が宇宙一素晴らしい描写であるという考えを持っている人ならば、今後のフィルムライカはM3のみで十分にやってゆけるはず。もう他のフィルムMライカは不要です。

 


ラピッドワインディングスプールです。フィルム装填を迅速にしますが、M3ではスプールを一度引きぬかないとフィルムカウンターはリセットされません。だからM2以降に使えと、有名なライカメンテナンス業者に言われましたが、そんなことを守る筆者ではありません。

 

M3のファインダーの見え方はたしかに素晴らしいですし、今に至るまでのどの他のMよりも性能が高いですね。これは間違いないのですが、筆者のM3の使用頻度を落とすもう一つの理由があります。これが「50mmフレームの四隅が丸い」ことなんですね。
 

40年くらい前のことですが、クリーニング店とかダイエーとか角の酒屋さんにフィルム現像と同時プリントをだすと、「絹目の四隅の丸いサービスサイズプリント」を渡されたことがありました。M3はそれを見越してフレームが設計されていました。はい、本気にしないでください。しませんね。
 

でも、丸いフレームのくせに、当時のカメラ雑誌のレビューとか各技術レポートみるとM3の視野率は至近距離で100パーセントに近いみたいなこと書いてあるんですが、ホントか?
 

と、その頃からカメラのテストレポートは4割減くらいの信用度で拝見しております。ええ、私も信用ならないほうのパーセンテージに含まれておりますから念のため。
 

そういう細かいことに文句ある人はM3なんか無視すればいいんですが、筆者と同じ商売をしている先達は「ライカM3のことを知らねば、ライカの本質はわからない」みたいなことを、真面目に怖い顔して言うわけです。若いころにライカM6を握りしめて喜んでいた私の前ではっきりそう言うわけです。M6は、読者のみなさんはご存知ないかもしれませんが、当時、ライカにウルサい皆さんにディスられて、たいへんだったんですぜ。
 

筆者は素直ですから、そう言われて、すぐにM3を買いに走るわけです。そして、実際に使ってみるわけです。そうしたら、なんだかM6よりもピンとこないので、本当はがっかりしているわけですが、ライカのことを指南した先達にそんな気持ちを言うわけにはいきません。
 

わざとM3を首からぶら下げて、先達も参加するカメラ好きの酒宴に参加し「ボディの仕上げも最高ですし、ファインダーがすばらしい。ホワイトアウトしないし。それにシャッター音に震えます」とか真面目な顔をしてM3のことを褒めるわけであります。そうすると先達は「お前もついにライカのことを理解できたか!飲め飲め」とか機嫌が良くなるわけです。

 


どうしても内蔵ファインダーで35mm枠を見るには、ゴーグル付きのレンズを選ぶ必要がありますが、我々の小学校時代にメガネかけているヤツってイジめられたりしませんでした?

 

ですので、M3は不要と思っても世界平和のために用意するべきではないかと筆者は考えたわけです。
 

筆者は「ライカ命の人」にとってはヤなやつでしょうが、少なくとも40数年ライカを使いつづけて、ジジイになり、ライカの「実用としての本質」はある程度は見極め、撮影した写真をお金に換え糊口をしのいできたことを自負しております。
 

したがって、若い写真家が首からデキの悪い、あんなのはライカじゃないとされるライカM6やM4-2やM4-Pをぶら下げて撮影しているところに遭遇したとしても、褒めて応援こそすれ、ケナしたりすることはありません。どうぞ安心して撮影に励んでください。
 

でもね、最近はM4-2やM4-Pの中古も上昇気味ですからねえ、なんとしてもライカを使いたい人は、M3の2回巻き上げの福耳のお安い個体を選び、コシナ・フォクトレンダー・カラースコパー35mmF2.5VMレンズを装着し、フジショー製の外付けのプラスチック製のギラギラしたファインダーをつけ、イルフォードHP5をツメて、街に繰り出したりすると、尊敬されるようになるかも…。
 

いや、ヤメときましょう。思わず先達のウルサイジジイの道を繰り返しそうになったぜ。許してください。

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する