PENTAXロゴの好みとかもあるんでしょうけど、当時はそれなりにモダンにみえたものです。ブラックも塗装の厚みがあって綺麗なんですよね。
カメラ駄文を書き散らしているからでしょうか。時おり読者の方からカメラ買い物相談を受けることがあります。
日々カメラと戯れて、遊んでいるように見られてしまうかもしれませんが、こうした駄文書きを本業とは言えないまでも大切なお仕事のひとつでもありますから、個別に買い物相談を受けていたらたいへんなことになってしまいます。細かい相談はお受けしておりません。すみません。
が、今回は若い写真表現者、しかも女性から、ペンタックスKXとMXのどちらを選んだらよいかという相談がありまして。いいですね、AE機ではなくて、メカニカル機を選んでいるところが。
本来ならばカタチで選べ。と突き放してしまうのですが、なんかね、どういうわけか、今回はわりと本気で考えたりして。相談に切実さを感じてしまいましたから、それに女性だったし(笑)。
どうして似たような仕様のペンタックスKMでもなくK1000でもなくて、KXがよいのかと聞いたところ、「顔つき」だと。なるほど。おじいさんはそれ以上質問できませんでした。
KXとMXの2機種に限っていえば、筆者ならどちら選ぶでしょうかね。ええ、筆者の場合はもちろんネタのために両方選びます、なんて冗談で言いますが、迷っているご当人は価格の差と大きさの違いで迷われて。でもね、その姿カタチの可愛らしさからMXになびいている感じもするんですよねえ。わかるけどね。でもさ、KXならば、うまくすると完動品が晩酌代で買えたりしますからねえ。最近の若者は晩酌はしないのか。
KXとMXを並べてみると、大きさの違いは歴然。けれど、単体でみるとKXはさほど大きくはないし、その後のAF化で肥大したモデルと比較すると、スリムですよ。
ビギナーさんで露出のろの字もわからない人。あるいはこれから勉強したい人ならば、ファインダーの表示は指針式のKXのほうがいいと思います。
マニュアル露出設定時のニコマートELとかニコンFM3Aにも似ている表示ですし、露出のズレ量がわかりやすいですよね。
片やMXは3点LEDによるものです。中央が点灯したら適正露出で、2個のLEDの組み合わせで露光のズレを推測する必要があります。受光素子は両者ともにSPDですから応答速度は速いかと。
もっとも例のごとくで筆者はメカニカルカメラにバッテリーを入れて使用していないので、露出表示なんか正直きちんと見ていませんからTTLメーターの性能はあまり重視していません。
もし外観デザインと雰囲気重視で選択するとなればMXを推しそうな筆者であります。小さい一眼レフって好みであることが確かです。マイクロ一眼ですぜ。35mm判カメラの特性を最大限に引き出そうという考え方にもみえますけど。実際は小型軽量で人気だった、OM-1が築いた牙城を崩したかったんでしょう。
でもねMXは仔細にみてゆくとねカラダに合わないところもあるんですよね。たとえば肝心のファインダーのキレ。MXはファインダー倍率がデカいのはいいのですが、マット部分のキレが気に入らないのです(個人の目の感想です)。
ファインダースクリーンも交換できるのですが、なんかどれもこれも一長一短な感じがあり。老眼ジジイが見ているので無理もないのかもしれませんけど。どうなの?若い人ならちゃんと見えるのかね。
ちなみにMX専用の視度補正レンズはいま入手するのは厄介そうです。探してもいませんけど。と、いう具合に筆者はご存知のとおり優柔不断ですからね。すみませんねえ、なかなか結論を書きづらい。じゃあ、おまえKXのスクリーンのキレがいいのかと言われると、うーむというところもあるわけですが、個人的には合うような気がするわけです。暗いけれど。
MXは小型軽量であることに加えて、専用のワインダーとかモータードライブも無調整で装着可能ですからKXよりもシステム拡張性があることになります。KXにモーターは装着できるのですが、モーター専用ボディになります。特注品でしたかね。これは珍品のコレクターズアイテムかも。
ペンタックスKXはM42からKマウントへの大変換を遂げたKシリーズの一機種として登場。K2とKMの兄弟になりますね。KMはSPFのマウントを変えたというイメージもありましたが、KXとK2は旧来のモデルとは違う意欲的なモデルにみえました。
とはいえMXの、とくにモータードライブは中古でみるのは珍しく。これ、動作音はなんだかヒステリックな音がします。それにフィルム高いのにモーター巻き上げで無駄にするなと言われそうだし、いや、無駄に撮影しているようにみえるかもしれませんから不要ですかね。
MXはフィルム巻き上げレバーの感触がイヤなんですよ。ヌルヌルした動きに加えて、ギクシャク感も加わることがあります。だからモーター巻き上げをしたくなります。
シャッター音もパッシャンパッシャンという感じで、安っぽく、あまり高級感ありません。そういえばMXは巻き上げ関連が一度壊れたことがあります。筆者は優しく扱っているもりでしたが、やはりダメだったかと失望したことがありました。
Kシリーズ3兄弟カタログは正方形で特異な雰囲気でした。KXカタログももちろん正方形。とくに意味があったとは思えませんが、カメラ店に置いてもらいやすかったとか。
KXの巻き上げレバーはトルクもそれなりにあって、動きもスムーズとも言い難いのですが、ガタつく感じです。ブラックも塗装の厚みがあって綺麗なんですよね。
あまりないのは気に入っております。SPを引き継いだ正攻法のカメラだからでしょうか。シャッター音はこれもそれなりの音で、好みではあります。
とあるカメラの修理会社の人に聞きましたが、基本構造は大して変わらないのにMXはKXの構造を無理に縮めて入れているみたいなことを言ってましたけどね。だから華奢になると。筆者は中身のことなど何もわからないド素人ですからねえ。だから使用した時の印象しか述べることができず。はい、そうですね。と、だけ答えておきましたけど。ほんとにそうなの?わかりやすく教えて?カメラの構造に詳しい方。
KXとMXを比較するとKXってやたらデカく見えるのですが、スクリューマウント時代のSPFとかと比較しても、大きさと重さは大して変わらないわけです。その昔、Kシリーズになったらデカくなったと、印象だけで書いたら、ペンタックスを愛するみなさんから、ものすごく攻撃されました。いまは反省しています。
仕様の近い、SPFとKMを並べてみます。シャッターボタンとかダイヤルの位置関係は同じ。KMとKXはほとんど同じ大きさですから、小型軽量の部類に入れてもいいんじゃないかと。
KXが小型軽量というには大袈裟かもしれませんが、デカいと騒ぐほどのことはないというわけですね。あの当時オリンパスOM-1が過剰にもてはやされたものだから、意地になってMXを開発したんじゃないのかなあ。小型軽量はウチだ。みたいな意地というかウリというかね。もちろんメーカー間の競争は大事ですし、この気持ちはすごくわかりますね。
でも単純にKXは、デザインが大ぶりにみえるだけということがわかれば、ここはKXで攻めたほうがよくないですかねえ。と、この女子にアドバイスしました。
存在を軽んじられているためか放置されている個体が多いのか、中古カメラ店のジャンクボックスでもよくみるんですよねKX。かわいそうですよね。若い頃なら片っ端から救出していたかもしれませんが、さすがに年寄りにはもうこれ以上要らないですね。使いきれないし、何より、うちのKXくんは元気で稼働してますので。
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