1979年登場のOM-1Nです。何度も紹介しておりますが、ずっと使用している愛機であります。なんの問題もなく動作します。
今回はオリンパスOM-1を中心に話をします。間違える読者はいないと思うけど、OM SYSTEM OM-1のことじゃないですからね。OLYMPUS OM-1のことです。
OM-1話、またかよと言われてしまいそうです。この30年くらいで単行本1冊になるくらいカメラ雑誌にあれこれオリンパスOMのことを書いています。そうだ。実際に拙著に「使うオリンパスOM」(双葉社)というのがあります。
もちろん絶版ですから、おすすめはしませんが、でもよい本です。自画自賛(笑)。オリンパスのデジタル化直前の発刊でしたからねえ、本は売れなかったんじゃないかなあ。
詳しいOM話は、以前こちらのサイトで連載した「推すぜオリンパス」を参考にしていただいたほうがよいかもしれませんが、これ読むとね、OM-1が欲しくなりますから。
ここでは正直に書いてしまいますが、OM-2はどうもミノルタXEなみに脆弱な印象なのです。個人の感想ですが、結局は経年変化でダメになる個体が多ですね。この45年の間、ダメになれば買い換えるという感じでOM-2は半ダースは買っています。もともとは幸薄そうな華奢な印象なことは確かです。
もっとも半世紀近く前のAE一眼レフカメラにあれこれ文句を言っても仕方ありません。でもね、うちのニコマートELなんか、えらく元気ですぜ。誕生から半世紀なのに。比べてはいけないんだろうけど。さすがニコンだなあと思ってしまうという。これはそのうち話をしようかな。
シャッタースピードダイヤルはマウント基部にありますが、ニコマートFTNとかよりは操作しやすいですかねえ。
さてと、うちで最後まで生き残っていたOM-2は昨年末についにお亡くなりになられました。
最後は辛かったですね。指針は動いたり、動かなかったり。けれどシャッターはフツーに切れているという。いや、試験機で測ったわけじゃないので精度はわかりません。
OM-2の受光素子はマニュアル用のCds2個とAEのダイレクト測光用のSBC2個に分かれてました。ハーフミラーを採用しなかったからですね。
ファインダー内に指針表示したり、マニュアル露出時に使う受光素子はCdsで、AEの受光素子はSBCですね。とうぜん特性が違うし、寿命も違うのかもしれないし。でもこの切り替えは楽しいんです。
亡くなったOM-2、いや正確には改良型のOM-2Nでした。1979年に登場したモデルです。指針が最終的にビクビク震え、そして動かなくなりました。断末魔みたいで見ていて辛かったですね。
それでもAEで撮影するとフツーに写ったりしましたが、指針を無視すればマニュアル露出でもイケたんでしょう。でもね、さすがに撮影に使うにはリスクが大きく。筆者もそこまで寛容ではありません。
OM-1Nのフィルム巻き上げレバーのプラスチックの指当てです。こちらは連続撮影しても親指の腹へのでメージは小さいですね。
カメラ内のメーターはアテにしてないぜとはいいながらもOM-2はバッテリーを入れないとマニュアルのシャッターも動作しません。結局は、このろくでもない動きをする指針をファインダーで見続けることが辛くなりました。もっとも使わなきゃいいんですけどね。一晩寝て起きたら自然治癒しているんじゃないかとか妄想したり。期待したんだろうな。
OM-2がダメならOM-2NとかOM10とかOM20とか30とか40とかOM-4とかOM-2SPとかOM-4TiとかOM-4Tiブラックはどうよという。どうよじゃあなくて、OM-4Tiだって最後は2000年代の前半くらいおしまいではなかったか。さすがにもう疲れ始めるころでしょう。
とにかくOMのAE機の多くは壊れると終了です。筆者はOM全機種の使用経験があり、ほとんどを所有したことがあります。筆者としては、莫大なお金を支払ったつもりです。OMを愛していたわけです。自分でいうのもなんですがエラいと思います。
でも、これらのAE機は時間を経るごとに多くがなんらかのトラブルを抱えました。故障の不安から、仕方なく複数台を用意したものもたくさんあります。もちろん生き残って、正常動作するOMのAE機もありますが、最近は元気なうちに別れを告げることが多くなってきました。筆者も残りの時間が少なくなってきましたので。
だから好きなカメラが次第にダメになってゆくのをみるのが悲しいからです。実際に中古カメラ店で元気なOMのAE機をみることは稀です。ジャンクボックスの常連であることが多いのではないでしょうか。
と、いうことでやはりOMの中でいちばんエラいのはOM-1ということが結論になります。
OM-1です。うちのOM-1Nよりも綺麗なのは後から手を入れたからですね。この頃はブラックボディがエラいとか勘違いしてましたね。
おいおいメカニカルシャッター搭載のOMは、OM-3とかOM-3Tiとか、OM2000があるぜと反論されてしまいそうです。
比較的新しいOM-3TiはともかくOM-3は1984年の発売です。経年変化で液晶表示とか薄くなっていたりしていませんか。筆者は液晶が薄くみえるのは、加齢で衰えた自分の目のせいかと思ったくらいです。現実を認めたくなくて。
もちろんバッテリーを入れないで使えば、薄い表示を見なくて済みますが、いまではOM系カメラの中でもっとも高額なカメラたちですからねえ。メーターなんか使わないのに、いちおうはその液晶の動き見てみたいと考えるのが人情です。マニュアル露出でマルチスポット測光とか使いもしねえくせに。あ、大きなお世話ですねすみません。
OM-3Tiは、中古なのにちょっとした現行ミラーレス機なみのお値段がついていたりします。お好きなら購入を止めはしません、個人の自由ですが、同じ対価支払うなら、彼女とか奥様にプレゼントでもしたほうが世界の平和が保たれるような気がします。
もしかすると当時のオリンパスはデジタル化してもフィルム時代のOMの使命を長期間貫くため、メカニカル一眼レフのOM-3をベースにしたOM-3Tiを企画したのかもしれませんね。
ま、何が言いたいかといえば、メカニカルカメラということで、どうせバッテリー抜いて使うのならOM-1でいいのではありませんか。ということが結論です。
OM2000はミラーがコンタックス系カメラみたいにテープで貼ってあるらしく、しばらく経つとずり落ちてきて、ミラーボックス内に干渉し、お亡くなりになる可能性があります。うちの個体がそうでした。この個体は突然、ミラーがボックス内にひっかかり動作不能になりました。しかも撮影中になりましたから、キレそうになりました。
おまえさ、ヤシコンかよ。ったく。OM2000を保管する時はミラーが落ちないようにひっくり返すか縦向きに置き、ミラーがズレないように、引力から逆らうようにしましょう。ヤシコンのコンタックスも同じですから念のため。
MD(モードラ)仕様のOM-1です。連動軸のカバーは紛失しやすいので注意が必要です。この穴から漏光する可能性あります。都市伝説かもしれまえんがMDのほうが頑丈とか言われています。酷使される可能性があったからでしょうか。
OM-1はモルトプレーンでプリズム固定してあるためか、プリズム腐食している個体が多いですが、OM-10をドナーにして、プリズムを移植してある個体をよくみます。
これは問題なさそうです。カメラをニコイチにするのは以前は筆者も否定的でしたし、オリンパスファンからは怒られそうだけど、今後のことを考えるともうやむをえないと考えることにしました。
そうまでして、キレーなファインダーのOM-1を見たいのかと言われると困るけど、筆者はカメラはファインダーを基準に評価したいので見たいですよ。
OM-1はノーマルのボディとOM-1MDというモードラ装着可能のモデルと、ノーマルのボディをモードラ装着可能な改造したボディがあり、最終的にはOM-1Nというマイナーチェンジ機で締めて終わります。
OM-1の前身、M-1とかが本当はコレクション的にはいいんでしょうけどね、でも筆者は好事家か、カメラ歴史研究家のみなさん以外にはそれをおすすめしてません。
なぜって、初期のM-1とかOM-1とかファインダーのガラスなんかアイピースからあふれ出そうで、キズだらけのものが多いですぜ。実際メーターへの逆入光の影響があるようです。メーター使わない人には関係ないけど。
巻き上げレバーのプラスチックのアテが割れているものとかもよく見ますし。だいたい手入れをしていない個体が多いから、シャッターの精度も怪しく、実用的には不安ですし、先に述べたプリズムの腐食している個体が多いようです。
筆者のおすすめは、OM-1Nです。最後のOM-1ですし、モードラは無調整装着可能ですし。巻き上げレバーのプラスチックのアテも丸く面取りして優しくなったので、連続してフィルムを巻き上げても、右手親指が赤くなったりしません。
ファインダー腐食がない個体もまだ存在しているほうでしょう。それでもOM-1Nは1979年発売ですから、今年で46年を経ておりますね。うちにある数台のOM-1Nで最も古いものは、3度ほどオーバーホールをしていますが、いまでも動きはOKです。使用頻度が適当にあるカメラは調子を保てるようです。
メーターは、お好きな人はお使いになればいいのでは。水銀電池はありませんから、代替えか、電池アダプターが必要になりますが、フィルムの箱に露出値が書いてあるのでそのとおりに設定すれば、だいたいは写りますけどね。
OM-1系は市中のカメラ修理店でも対応していただけるところが多いのでは。ならばライカ並の素晴らしさではありませんか。オリンパスOM-1があれば、今後の写真人生は安泰です。
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