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推すぜ!オリンパス

第15回 「大きく、重く、シャッター音が大きい」一眼レフの欠点を克服した!「オリンパスOM-1」

2024/02/22
赤城耕一

うちで一番キレーなOM-1を引っ張り出してきましたよ。使うのには惜しいような。自分の残り時間を考えると、だれか大切に使用してくれる人に譲りたいような。遺贈するかな。だれも欲しくないか(笑)

 

いま、オリンパスOM-1というと、いまはミラーレスのOMDS(OMデジタルソリューションズ)のフラッグシップを思い浮かべる人が多いのかなあ。エンブレムは「OLYMPUS」のままのやつ。
 

おっと、いまはOMDS OM-1と呼ぶんですよね。いや、ちがいますね。今月登場の最新型はOM SYSTEM OM-1 Mark Ⅱと呼ぶのかなあ。どれが正しいのか調べるのも面倒なアカギです。こんにちは。どなたか教えてください。
 

OM-1と聞けば、フィルム一眼レフカメラのOLYMPUS OM-1をどうしても最初に思い出してしまうのですが、これは筆者が年寄りだからです。だからどうしようもありません。何か問題あるでしょうか。
 

最近は他のカメラメーカーの製品にもあるのですが、カメラ名がフィルムカメラと同じだと混乱の原因になります。先日も酒席である人との会話でフィルムとミラーレスのOM-1を取り違えて話をしていまして、途中で気がついて、なんだか笑い話ではなくなってしまい、少し気まずくなったりしました。
 

それにしても、旧来のフィルム一眼レフ、オリンパスOM-1と同じネーミングをつけてしまうところに、名前頼みの商売みたいな感じもいたします。でも、栄光の名前を永久に残したいという思いも感じることも確かです。もちろんどちらにしろ悪いことではないでしょう。

 

「大きく、重く、シャッター音が大きい」一眼レフの三悪と言われる欠点を克服したのがオリンパスOM-1であった。
 

なんて書き出しは、みなさんはもう読みたくもないでしょうからここではユルくやることにします。今回は筆者とOM-1の関係について、話をしようかと思っております。

 

OM-1を背面方向から見ます。「OM-1」「ON」「OFF」の白塗料の入れ方が少々雑ですね。シャッターダイヤルの代わりにASA(ISO)感度ダイヤルがありますね。なんだかデカくて大袈裟です。同じように、マウント基部にシャッタースピードダイヤルがあるニコマートFTNなんかプレビューボタンしかなかったのに。

 

例によって、本連載は資料性は薄い(笑)ので、OM-1の歴史的な登場経緯とか細かいスペックの話はどこかで調べてくださいませ。
 

さてと、機能や性能、耐久性を維持しながら同時に小型軽量化を両立できないのか。
 

これは設計上背反する要件だとよくエンジニアは話をします。そんなのユーザーの知ったことではありません。こちらは年寄りカメラマンなんですからカメラやレンズは小さいほうがいいに決まっております。
 

このことに一番真摯に取り組んできたのはオリンパスでしたし、OM-1登場の時点で実現しました。
 

私が本気でオリンパスOM-1を使いはじめたのは1979年に登場する、正確にはOM-1Nからです。
 

OM-1Nは正式名称は「New OM-1」だと思います。OM-1の改良型で、専用のスピードライト、T20とかT32を装着すると、ファインダー内にチャージランプが点灯するとかモータードライブが無調整で取り付けられるとかいう程度のマイナーチェンジ機でした。でもTTL自動調光機構は内蔵されていなかったのです。ヘンですよね。たしか、着脱可能なアクセサリーシューは最初から取りつけられて販売されていました。

 


これがですね。45年の長きにわたり苦楽を共にしてきたOM-1Nですね。発売と同時に購入していますね。それなりにヤレてはいますが、ファインダーのシミとかもないし、絶好調です。やはりカメラは使ってあげないとダメです。メカニカルカメラだから今でもメンテ可能ですぜ。

 

当時、写真学生だった筆者ですが、同級生もニコンやキヤノンを持つのが当たり前の時代でした。みんな裕福だったのかな。その当時でも、オリンパスとはねえ、という風潮がすでにありましたよ。
 

この当時から今と同様にヘソが中央からヅレた位置についていた筆者は有名メーカーの人気のカメラってなんだか使いたくありませんでした。お金もないしね。
 

それに当時のオリンパスはカメラ雑誌で広告の積極的な展開を行なっていましたので、著名な写真家がOM-1や兄弟機である絞り優先AEのOM-2を持って誌面に登場したり、あるいは作品制作にも使用しておりました。
 

もちろんこれはプロモーションによるものとか機材提供によるものがほとんどでしょうけど、筆者も若くて単純でしたから、これだけでもオリンパスはニコンやキヤノンに負けていないカメラなのではないかと確信するに至りました。ただし、OM-1Nの美しく華奢にみえる姿とカタチは、逆に他社の大きな一眼レフカメラの前では迫力が足りず、気後れしそうになります。

 

でも小型軽量でスポーツカーのような小回りきく躍動感ある小型スポーツカーのようなOM-1Nは他社の大型フラッグシップ機に負けていないと考えておりました。
 

システムカメラとして交換レンズの種類はもとよりモータードライブ、マクロ、フラッシュのシステムに至るまでその充実度は他社のそれに十分に対抗できる膨大なものでありました。
 

大げさに言えば、OM-1Nが私をプロカメラマンにしました。そのまま卒業後に、なし崩し的に仕事をはじめた筆者の愛機もまだOM-1Nのままでした。でも駆け出し若造がOM-1Nを手にしていても、その姿はプロカメラマンには見えません。

 


OM-1Nにいま、人気のOMズイコー40mm F2を到着してみます。このレンズ米谷さんの指示で作られたということであります。当然、売れなかったのです。このためにいま高騰しているわけですね。写りはフツーですよ。

 

同業者が多数集まる記者会見場などでも先輩同業者から訝しく見られていたようです。でも週刊誌やグラフ誌などでは、グラビアページにてルポなどの仕事にも従事しましたが、OM-1Nが小さく威圧感がないことから、取材相手に警戒されず良い結果を残したこともありましたし、海外のロケでは多くの交換レンズを入れたバックでも信じがたいほど小さく軽いサイズになりました。
 

OMズイコーレンズ各種は小型軽量ですが、当時でのトップクラスの性能を誇ったこともOMの評価を高めました。とくにカメラ毎日別冊の「カメラレンズ白書」では、性能ランキングをみると、驚くほどOMズイコーの性能が高いことがわかります。実際に仕上がりの写真をみるとレンズ性能の高さを実感しました。

 


これは保存用のOM-1Nです。あまり使ってない(笑)、ズイコーマクロ50mm F2ついてます。マクロなのに開放値はF2です。すごいです。えらくよく写りますぜ。興味のある人は買っておいたほうがいいんじゃないかなあ。いや、なんでもありません。

 

学生時代から使用しているOM-1Nは今年で45年を経ますが、数回のオーバーホールをした以外は致命的な故障には見舞われることなく、現役で活躍中です。具体的なOM-1、OM-1Nのメカ話は次回することにしますが、またグダグタになりそううな予感がするなあ。

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