カッコ良くはないですね。野暮ったいというか。田舎くさいといか。鈍臭いというか。ペンタプリズムのデザイン処理がハンペンみたいでダサくないですか。
いよいよオリンパスの35mmフルサイズの一眼レフの話をはじめることにしますね。
わざわざ35mmフルサイズと書いたのは、オリンパスといえばハーフサイズ、すなわちPENシリーズがどうしても有名ですから、きちんと区別しようと考えたからです。
でもコンパクトカメラでも「オリンパスPEN」と並んで「オリンパス35」シリーズとして、35mmフルサイズカメラは存在していたわけですから、ふたつのフォーマットを両輪として商売的に展開したいという思惑があったのでしょうね。
メーターのスイッチですが、これは後のM-1(OM-1)に影響を与えています。とか訳知りで書きましたが、たまたま同じ位置だということで。ちなみにM-1にはバッテリーチェックのポジションはありません。
そういえばカメラメカニズムライターさんのどなたか忘れましたが、「35mmフルサイズと名付けたのはオレだ」と、どこかに書かれていたことを思い出しました。
これは間違いで、筆者は1960年代のカメラ雑誌で「35mmフルサイズ」という文言を見た記憶があります。今回出典を探したのですが、見つからずですが、かなり以前からこう呼ばれていたわけですね。
M-1(OM-1)では着脱式だったアクセサリーシューは固定式です。ペンタプリズム上に突出することなくうまいこと埋め込まれている感じはするのでイヤではないです。アイピースの形状は独自で、OMとの互換機はないのでアイカップなどは共有できません。
一般的にはオリンパスの35mmフルサイズ一眼レフカメラとしては、1972年に登場したオリンパスM-1(OM-1)が有名ですよね、本連載でも、今後取り上げる予定ですが、その前にも35mmフルサイズ一眼レフは存在しました。M-1が登場する1年ほど前に輸出が開始されたオリンパスFTLが、オリンパス最初の35mmフルサイズ一眼レフになります。
シャッターダイヤルは至極、真っ当な位置にあります。フツーすぎるくらいですね。ちょっと小さいかなあ。でも別に使いづらいということはなく。
オリンパスFTLのマウントはM42プラクチカマウントを装備していました。ただし、TTL開放測光実現のためには装着レンズの開放F値をボディ側に知らせてやる必要があります。用意された純正のズイコーレンズでは独自に設けられたロックピンにより、常に定位置で固定されるようになっています。このやり方は同時代のフジカの一眼レフと似ています。他社のM42プラクチカマウントレンズ使用時は、TTL絞り込み測光が可能です。
フィルム巻き上げレバー。指に優しい感じ。M-1(OM-1)よりいいかもしれん。小刻み巻き上げできるし。フィルムカウンター窓はボディの端ギリギリにあります。
ひとつ余計なことですが、気になることがあります。中古市場で見かけるオリンパスズイコーM42マウントのレンズ、このロックピンが削り取られているものを散見します。これはマウントアダプターを使用して、ミラーレス機に装着して使うためだと推測されますが、ピンを削り取ると、元に戻すことはできません。つまり、不可逆改造ということになります。
右にあるのはM42マウント共通の絞り連動ピン。レンズの外周にあるピンは、レンズを定位置に止めるためのもの。このピンを削りマウントアダプターを装着してミラーレスカメラで撮ろうといういうけしからん人がいます。カメラ文化財保護法に抵触する可能性がありますので削らないでください。
カメラとレンズは文化資産である、とまでは言いませんが、こうしてオリンパスFTLが中古市場で流通しているのですから、不可逆の改造はやめてもらいたいものです。同様にフジノンのM42マウントレンズも同様です。ピンを削らないでくださいな。
レンズのデザインは安っぽいですね。黒色の塗装とか妙に光沢があり。絞りの位置はOMズイコーと異なり、フツーの位置にありますぜ。
話を戻します。オリンパスFTLの測光素子はCdSを採用しております。全面測光で、EV3~18(ISO100)の連動範囲になります。シャッター速度は1秒~1/1000秒です。フィルム巻き上げは小刻み巻き上げ可能です。これはエラいですね。
プレビューボタン。ヤマ型のギザがあります。OMズイコーではプレビューボタンにはギザはなかったなあ。レンズ着脱ボタンにはあったけどね。
ファインダーを覗くと驚きます。倍率は0.92倍と高いからです。フォーカシングスクリーンは交換できませんがマイクロプリズム式を標準搭載しています。マットのピントのキレはいまひとつですが、このあたりもM-1と同じなのかな。ちなみにシャッター音は一眼レフにしては小さい方で、ミラーショックも好きない。このあたりOMに通じるものがあります。
ボディのデザインは、没個性のオーソドックな大柄なデザインですね。露出計スイッチは巻き戻しクランクの基部に位置しています。ON、OFF、レバーのデザインや操作性はM-1に通じるものがあります。そういえばレンズのプレビューボタンもOMズイコーのそれに似ています。
M42マウントで汎用性があるけど。純正レンズは定位置にロックされますね。5-7時方向の半円の溝は開放測光用の連動ピンでしょう。
オリンパスFTL登場はM-1(OM-1)の一年前の1971年ということですが、当初は輸出専用機ということで国内ではお目見えしていなかったということらしいです。
そのあと国内でも販売されましたが、その台数はかなり少ないと思います。なぜ、この没個性カメラが登場したのか、その経緯はよくわからないのですが、企業の事業計画にOMシステムが間に合わなかったのでとりあえず出しておけくらいの話だったのかも。いや事実はわかりません。
レンズ着脱ボタンは目立ちませんね、11時の方向にありますので注意してください。
生産台数が少ない不人気カメラはイコール、コレクターズアイテムとなりますから、このために中古市場でも高値がつけられることがありますが、オリンパスFTLはあまり人気ありません。まったく個性がないからでしょうね(笑)。
でもM-1やOM-1よりは高価に値づけされて売られていることがあります。もの好きな変態人には楽しめますよ。さあ、一緒に変態の仲間に入りませんか?
旧オリンパスのエンブレムというかバッジというか。なんか要らない感じしますけどね、古臭くみせるし。いや実際に古いカメラなんだけどね。OMにはこのバッジはありません。
専用のM42マウントの純正ズイコー交換レンズはGズイコー28mmF3.5、Gズイコー35mmF2.8、Eズイコー135mmF3.5、Eズイコー200mmF4は確認しております。他にもあったのかはよくわかりませんけど。
シンクロターミナルです。オリンパスPEN-Fとかと同じじゃないのかなあ。流用疑惑がありますね。別にいいけどね。XとFPの切り替えレバーあります。
でも同スペックのOMズイコーレンズと光学設計が酷似しているものも多いようです。これはそのまま流用していたんじゃないのかなあ。そりゃそうですよね、せっかく設計したのにもったいないですもんねえ。と、いうことはものすごく良く写るということですぜ。
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