FVはクロームボディしかありませんからブラックペイントを血眼になって探す、みたいなことはしなくていいので助かります。自分でリペイントとかしちゃダメですよ。美しいメッキの仕上げを堪能すべきです。
新年あけましておめでとうございます。新年早々に、大きな地震、事故が続きました。被災されたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。
本連載「推すぜ!シリーズ」も2024年の初回となりますが、今年もどうぞよろしくお願いします。
で、新年一発目ですから、ここは派手めな機種で、という考え方もありかなあと思いましたが、オリンパスのカメラで派手な機種って何?というか思い浮かばないので、続けて一眼レフのPEN Fシリーズの中でも人気のFVを取り上げることにします。
寄って見ると、文字の墨入れが今ひとつ美しくないですね。新人が行ったのかしら。それとも作業した人が二日酔いだったとか。
本機ですが、購入した記憶が欠落しているということは、どなたから譲ってもらったんだろうなと、その節はありがとうございました。と、ここで、お礼を言っておくことにします。思い出そうとすると眠れなくなるので。
カメラ正面に花文字Fが入った初代はパスして筆者はTTL露出計が搭載されたPEN FTを入手したことは前回お話をしました。
上部から見ると、TTLメーターのための明かり取り窓がありません。このほうがいいですね。
このFTから露出計を除いてファインダーが明るくなったのが、1967年に発売されたPEN FVであります。機能的には後退したという見方もあるのですが、往時はオリンパスに限らず、多くのカメラメーカーは同系統の機種でメーター内蔵、非内蔵の2種を用意するのは珍しくありませんでした。
内蔵メーターは経年劣化等で、不動となっているものが散見されるのは本誌読者ならご存知かと思いますが、最初からメーター非内蔵の機種となれば、故障の心配をする必要はなく、同系列、系統のカメラの場合はメーター非内蔵のもののほうが、いまや高額で取引されています。
このPEN FVもPEN FTより少し高額なのはそんな理由もあるわけですが、スペック的にも注目されるのは、FTのTTLメーターのようにミラー後ろにあるCdsに光を導く必要がないために、ミラーは全反射となっていることです。すなわち理屈ではファインダー視野が明るくなるはずであります。
果たしてどうか。「劇的に!」ファインダーが明るいとでもいえば、強い説得力があるのですが、個人の視覚意識の差とか印象の差もあるでしょうけど、F値の暗いレンズを装着しても、期待したほどではないというのが筆者の結論であります。
同じ明るさのレンズを装着し、FTとFVのファインダーを覗き比べて、「ああ、なるほど」といった認識ですかねえ。早い話が、FVでもさほど明るくないわけであります。ミノルタのアキュートマットくらいの説得力が欲しかったですな。この時代ではさすがにムリなのか。
TTLメーター非内蔵のカメラの多くは、外づけの外部測光方式の専用メーターが用意されていますが、初代のPEN FにもFVにも、専用のものが用意されています。
ときおり本稿のような書きもののためのネタになるかと、中古カメラ店でPEN F用のメーターを見かけると、購入しそうにはなるのですが、いまだに実現していないのは、実用性云々ということもあるのですが、そのデザインが絶望的に酷いからでしょう。絶対に実用では使わないですしね。メーターはシャッターダイヤルのところに取り付けますが、FVにはこのための専用の突起があります。
シャッターダイヤルの周りには外部メーターのための突起がありますが、永久に使うことはないだろうなあ。美しくないから取り払いたいけど。
あとはボディ上部にはメーターの表示窓を照らす、乳白の窓がありません。ボディ底部には当然、バッテリー室もありませんから、全体がなぜか風呂上がりな人みたいにすっきりした印象です。
TTLメーターがありませんからバッテリー室も不要ですね。すっきりしていて気持ちいいですね。レンズの絞り環の裏はTTLナンバーですが、表舞台には出てくることができません。
TTLメーター非内蔵ですからTTLナンバーシステムも使うことがありませんのでレンズの絞り環は通常のF値表示で行うことになりますね。
大した違いはないと想定されていますし、調べてないけど、TTLメーターの分、PEN FTよりも重量は軽いはずですね。
面白くないのはPEN FVにはブラックペイントボディが用意されていないことであります。往時はメーター非内蔵の機種は廉価であると同時に、プロが好んで使うとされていたこともあったので、ブラックボディは用意すべきでしたね。
FVはシンクロターミナルはX/Mの切り替えが省略されております。なぜかは知りません。スピードライトは全速同調します。左がFT。右がFVですから念のため。
とはいえ、このところいろいろなところに何度も何度も書き散らかしておりますが、年寄りになったらシルバークロームボディが好きになりましてね。不思議ですね。
最近ではPEN FTのシルバークロームボディが欲しいわけです。2024年になっても、「カメラへの旅」が終わりそうもない筆者でございました。
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