うちにあるOM30はOMFといいます。おそらく欧米で売られた輸出専用機ではないかと思われます。プラスチッキーなボディでお安い感じが全体から溢れています。こんなカメラを持っていたら、周りの人からエンガチョされるんじゃないかと、日々恐れながら暮らしていますが、今回カミングアウトしました。
1982年にはフォーカスエイド(手動によるピント合わせを機械が手伝う方式)を内蔵したOM30が登場します。
このころから一眼レフのAF化は各カメラメーカーともに視野に入りはじめ、競争は激しくなり、オリンパスとしても本格的なAF一眼レフ開発に向けて検討がはじまったのでしょう。この測距センサーは時代的にハネウェル製か思います。
まずは本格的AFの前にフォーカスエイドでお茶を濁し時間を稼ごうと考えたのかもしれませんが、OM30には専用のレンズ内AFモーターを内蔵したOMズイコー35-70mmF4 AFを装着するとAF一眼レフになるという拡張性を持っていました。
フィルム感度ダイヤル周りとか巻き上げレバーとか。これもお安い感じです。とくに許せないのは、シャッターボタン表面の形状です。丸くありません。なんかイラつきます。これだけで本機がキラいになりそうです。もともと好きじゃないけどね。なんで持ってるのかな。
でも、このレンズ、バッテリーを入れないと駆動しないものですから、マッコウクジラみたいな見苦しい体躯をしておりました。ペンタックスのズームにも似たようなのありましたよね。ME-Fにつけるやつ。もちろんうちにはこのレンズはありません。あまりにカッコ悪いので、我が家に入れてませんでした。デザインは機能よりも重要です。不憫なレンズですね。
OM30はファインダーの中に、合焦、前ピン、後ピンがLED表示されます。
MFのズイコーレンズでは合焦マークが出れば、ピントが合うことになるのですが、バカバカしく面白いのはワインダーを装着して専用のアクセサリー「インフォーカストリガー」をボディとワインダーに繋ぐと、ピントが会うと同時にシャッターが自動的に切れる「ゼロインフォーカス」機能を搭載していることです。
ただね、これ笑えるのはシャッターチャンスよりも、フォーカスの合焦を優先しているというすごい話なわけです。
メインスイッチとか、オートとマニュアル露出の切り替えとか。整然としてわかりやすいですが、なんかね。高そうなカメラには見えないですよね。少しは盛ってくれればいいのに。
たしかに写真は被写体の中でも自分の一番みせたいところにフォーカシングするのが基本であることは間違いありませんが、合焦と同時にシャッターが切れるってどういう意味があるのだろうかと。シャッターチャンスは何処へ?
バッテリーはSR/LR44を5個使います。見苦しいですよねバッテリー室。フォーカスエイドを使うために、こんなに電池食うんですか?バッテリーを一つ一つ掴んでバネに抗いながら押し入れるんですよ。途中で飛び出したりします。欧米人のデカい指でこれ入るのかねえ、筆者も苦労しましたけど。
もしかすると、筆者の知らない正しい使い方とかあるのかもしれませんので、ご存知の方、ぜひご教示いただきたく、よろしくお願いします。筆者が何か間違えていたのかと不安になっていますので。
基本的にはOM30はフォーカスエイドを内蔵したOM20みたいな感じですから、ファインダースクリーン中央にはマイクロスプリットイメージがあり、LEDはその下にあります。
シャッターダイヤルはいちおうあるんですよ、マウント基部に。マニュアル露出できますけどね。シャッタースピード表記はボディ脇にあります。もちろん使いづらいです。これ、どなたですか?設計した人は。
フォーカスエイドでは光学ファインダーでみた合焦と、測距センサーの読んだそれとは異なる可能性があります。迷った場合どちらを取るかといえば、ファインダースクリーン上でのフォーカスにしてくださいね。勘違いしないでくださいね。説明するのが面倒だなあ。
OM30は世界初の「合焦優先」一眼レフカメラかもしれません。この「ゼロインフォーカス」を考えだした人はどなたなのでしょうか?米谷さんではなさそうですけど。
OM30は全体の作りとしてはお安い感じであります。これ、見せびらかすのは難しいよなあ。それでいて、バッテリーの数を見てください。暴れたくなります。暴れないけど。
カメラ底部です。サイレントと♪マークがあるわけですが、合焦しますとおそらく音が出るんでしょう。米津玄師とか流れるといいんじゃないかな。でも常時「切る」に設定してますね。だから音色は聞いたことないです。
お安い100均で売られているLR44とか使うと、すぐにバッテリーがなくなるような気がしますね。ほんとさ、お願いしますよ。
実際にゼロインフォーカスを使用してみると、うまく機能する時としない時がありますね。
フォーカスエイド用に装着レンズの開放F値を設定します。ええ、もちろん設定を忘れますね。
当然ですが合焦マークが点灯しないとシャッターは落ちないわけですがフォーカスリングの回し方のスピードとかコツが必要みたいです。
理屈からすれば、あらかじめ特定の箇所にフォーカスしておき、置きピンですね。
そこに撮影したい被写体が来て、合焦マークがつけばシャッターが同時に自動的に落ちるはずですが、そうネズミ獲りみたいにうまくはいかないですよね。再び問います。誰ですかこれ開発した人は?。
被写界深度の深い広角レンズだからフォーカスのマージンをとって、合焦ランプが完全に点灯しなくてもシャッターが落ちるとか、大口径レンズだからより精度高く厳密なフォーカスするとかすると少し尊敬されたかもしれないですね。
ワインダーを装着してトリガーケーブルをつけました。アナログ感がたまりませんね。カッコ悪くて。これでゼロインフォーカス撮影できますが、百発百中ではありませんぜ。フォーカスが合焦しなくてもカメラが合焦と判断するかもしれんのです。おし、君に任せた。という感じになりませんね。
あとね、フォーカスエイドがうまく機能するためかどうかは知りませんけど、マウントの基部に、F2/F4の切り替えダイヤルあります。邪魔くさいですね。
装着レンズの開放F値に合わせろということらしいですが、これはね、すぐに忘れますね、はい。切り替えなくてもきちんと機能するように設計しておかないからこういうことになるのです。いくらAFの黎明期の一眼レフでもね、これはないよね。
トリガーケーブルの上のシャッターボタンですね。機能させるには、赤いボタンを押し続けないといけないみたい。ロック機能はあるけど。どなたです?これを設計した人は?
あ、いい忘れましたが、本気もダイレクト測光ですけどね、専用のスピードライトを装着してもTTL自動調光撮影はできませんからよろしくお願いしますよ。ったく。
このようにOM30は説明していると疲れるカメラですので、良い子には不要だと思います。取り上げておいて申し訳ないですけどね。筆者は悪い子なんで持ってますけどね。
たぶんこれまでフィルムを10ロールは通してないんじゃないかな。時間と暇がある人以外は興味持たない方がいいですよ。私、今回はっきり言いましたからね。
あ、じつはもっと疲れるOMがまだたくさんあるので、それはまた次回にて。
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