初代のOM-4Tiです。OM-4の改良発展型として登場。チタンカラーのカメラは一時的に流行りましたよね。チタンは頑丈であるというイメージもあるんですが、これは都市伝説ですね。海外では「OM-4T」と表記しているところもあり。
なかなか話をはじめるきっかけが掴めなかったのですが、1983年に登場したOM-4の話をします。
いや、ちがった、1986年発売のOM-4Tiの話にします。というのは、OM-4は昨年でしたか、外観と中身ともに見苦しい状態でうちで発掘され、取り上げるモチベーションが下がったからです。
具体的にいえば、ファインダー内部の液晶のヤレとか、シャッター関連の不安定さでしょうか。さすがにもう修理は無理なので、そのまま引退していただいたのです。さすがに市の分別ゴミである「小型家電」で廃棄するのは気が引けたのですが、仕方ないですね。
OM-4TiにはOM-4の機能は当然のごとく内蔵されており、スピードライトの機能が増え、外装がその名のとおりチタン製になったことが大きな特徴でした。
ないよりはあるほうがいいというくらいのグリップ。下はLED方式のセルフタイマー。
発売時はブラックボディはなくて、このチタンカラーのみですが、どうみてもシャンパンカラーですよね、これ。なんとなく隣国でウケそうな印象です。当時のオリンパスがそれを狙ったのかどうかは知りませんけれど。でもニコンF3/Tとかも当初はこのカラーでしたよね、使い込むとキタナくなるのも同じです。
筆者は最近まで3台のOM-4Tiを使い回していたのですが、経年変化にもめげずに、現在もいずれの個体も頑張って調子を維持しております。これはこれですごいですね。もうすぐ登場から40年ですね。
OM-4Ti、登場した時は萌えましたね。専用のスピードライトを使うことで、いわゆるスピードライトがすべてのシャッター速度に同調する「フルシンクロフラッシュ」を搭載していました。たしか「スーパーFP発光」とかいいましたか。これはOM-4には採用されていませんでした。
それ、何がいいのとか質問しないようにしてください。全速同調ですから、日中シンクロには圧倒的な優位なことは言うまでもありません。フルシンクロしたいがために、レンズシャッターの中判カメラを使うという人もたくさんいた時代であります。
OM-4Tiの後ろ姿が個人的に好きなわけです。なぜだろう。メモホルダーは標準装備です。
35mm一眼レフでフラッシュ全速同調という使うの条件は限られてしまうかもれませんが、注目すべきことです。シャッタースピードの制約が取っ払われるのですから、これも最高です。筆者も日中シンクロ写真は嫌いではありません。もちろん表現として効果が上がれば言うことはありません。
まあ、でも結論をいえば、あまり効果をあげませんでした。ここからは悪口を言いますのでOM-4Tiファンの人は読まないようにお願いします。
基本的にOM-4Tiのシャッターは布幕の横走りの平凡なフォーカルプレーンシャッターです。通常のスピードライトの同調速度は1/60秒かと。最高速のシャッター速度は1/2000秒になります。
フルシンクロにするのにはどうするかといえば、スピードライト側の閃光時間を長くして高速のシャッタースピードに対応させるたけですね。この専用スピードライトはF280といいます。
したがって、高速で動く被写体を鮮鋭に止めるという方法にはまったく向いていません。F280の閃光時間が長いからブレて写ります。昔のフラッシュバルブみたいなものですね。したがって、高速のシャッタースピードになるとガイドナンバーは落ちますね。
カメラ底部。ワインダー2とかモータードライブ2の装着が可能。後者ではフィルムの自動巻巻き戻しも可能です。旧モータードライブ1も使えます。この互換性はエラいですね。
ただ、問題はありますね。先に述べたように、普通のスピードライト撮影でもF280は閃光時間が長いものですから、動きを完全に静止させるのは難しいですね。例によって、絞り優先AEで機能するものですから、撮影者がシャッタースピードを選択することもできません。
しかもフルシンクロフラッシュを使う場合はフル発光させるものですから、リサイクルタイムが長くなります。外部電源を使えればよいのですが、これは用意されていません。ただ、本体の下部には外部電源のソケットを作ろうとした形跡があります。またF280自体に発光量を調整する機構が存在しないことも問題です。さらに外部調光もできません。
筆者もこのF280を積極的に使うべきでしたが、あまり効果が上がった記憶がないわけです。
メインスイッチです。オートとマニュアルの切り替え、バッテリーチェックなど、ぜんぶOM-2ゆずりですよね。OMユーザーなら、取り説要らずで使えます。
そのころ、筆者はもう写真の仕事を本格的にはじめていたのでリサイクルタイムに時間のかかる、閃光時間の長いスピードライトなどありえないという実用上は問題があるという結論になりました。
結局は、通常のスピードライトでも高速のシンクロが可能になるニコンFE2とかNEW FM2を使うことになるわけですね。ま、これは仕事ですから仕方ないですね。
ボディ上部にはボタンがたくさんあります。何をどうするのかという話はまた来週しますが、ろくに使わないです。ボディ周りにいじくるレバー類、押せるボタンがあると喜びを感じる人にはいいんじゃないかと。
本当は先にマルチスポット測光のことを書かなければいけなかったのですが、OM-4Tiではフルシンクロフラッシュのことがすぐ頭に浮かび、書き始めてしまいまして、申し訳なかったです。しかも肝心のF280の実物が出てこない。引き続きいまも探索しております。
OM-4Tiは長いつきあいなので、撮影現場でもコボレ話が出てくるはず。一週間かけて思い出すことにします。では次回に送ります
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