あまりにもフツーすぎる一眼レフというか特徴がないことが特徴というか。でも真面目に作っているという感じはしますよ。デザイン的に少し大きく見えますが小型軽量です。
OM10はマニュアルアダプターとよばれるシャッターダイヤルのユニットアクセサリーを装着することで、マニュアル露出を可能にしたわけですけれど、前回述べたように、いちどこれを装着してしまうと、取り外すことはなくなるわけで、だったらつまらないギミックはやめにして、最初からシャッターダイヤルを組み込んでしまえというのが、OM20の開発背景かもしれません。米谷さんも許したんでしょうね。
基本的にOM二桁機は輸出用の廉価機として用意されたものです。合理的な欧米の方々からすれば、単に使いやすくて簡単に撮れればよいわけですから「マニュアルアダプター?何それ?けっ。面倒くせえな」と思われたのかもしれません。
OMの一桁ボディで巻き上げの感触が悪いとか色々と言われたので、フィルム巻き上げレバーを長くしたりデザイン変えたり頑張りました。でもこれも普通です。
だから、輸出担当の営業のほうから「シャッターダイヤルを組み込んだ安いOMを作ってください」という要望が出たのかも。ええ、まったくの想像ですけど企画としてはそんなものですたぶん。全然違っていたらごめんなさい。
OMシリーズの中でももっとも地味な雰囲気のあるOM20なのですが、筆者は意外にも好きほうなのです。発売は1982年になります。
ペンタプリズムあたりのデザインの処理とかね、コンタックスRTSあたりの影響を受けていたりしませんか。しないか。
カメラ前面からみて、アクセサリーシューが見えないように頑張ったデザインにしたのは、米谷イズムの継承かもしれませんね。ほら、米谷さんアクセサリーシュー嫌いなフシがあるし、ボディ上部と、アクサセリーシューの上部がツラ位置になっているだけで涙出そうです。
新しく組み込まれたシャッターダイヤルもOM-1やOM-2同様にマウント基部にあります。ダイヤルの厚みも薄くて、存在感が希薄でありあります。これは意図的なのでしょうか。
シャッターダイヤルの厚みが薄くなったような。部品をケチったということではないですね。でもねカメラを真上から見るとシャッタースピードの数字見えません。カメラを傾けないとダメです。誰ですか?これデザインした人は。
ファインダー内には赤色のLEDによる11段階シャッタースピード表示を採用しています。絞り優先AEも当然ダイレクト測光であります。
ところが、OM20においても、TTL自動調光は機能しませんし、ファインダースクリーンも固定式で交換することはできません。モータードライブは装着できずワインダーのみが動作します。
OMの一桁ボディで巻き上げの感触が悪いとか色々と言われたので、フィルム巻き上げレバーを長くしたりデザイン変えたり頑張りました。でもこれも普通です。
このあたりはOM-2と、あえて差別するための意図的な仕様なんだろうなと考えられます。なんか無理して機能を省略している感じもしますね。よくOM20を購入した人は暴れなかったよなあ。
デザイン的には悪くないOM20なのですが、気に入らないのがカバーの材質がプラスチックということです。
真鍮ならば塗装の剥げも味わいがあるとみることもできるのですが、塗装が剥げると絶望することになります。うちにいらしている個体はブラックなんですが、剥げるといきなりシルバーが出ます。インチキな後塗りブラックみたいで気分悪いです。この当時でも品のよいプラスチックカバーのカメラはありましたが、OM20は、とてもお安い雰囲気があります。
それにこのブラックボディは、ポッキーは本来チョコレートを二度づけして製造しているのに、こちらは一度づけだけにして薄くしてケチったみたいな印象で、しかも表面が妙につやつやしています。使い込んだらツヤが出るのはわかるんだけどね。最初っからツヤツヤですぜ。
メインスイッチ。視認性は良い方だと思います。感触もそう悪くないし。
シャッターは布幕横走りであります。これは自社内の組み込みだったのかもしれません。だとしたらすごいことです。コパルからシャッターユニットを買ってきて、ボディに組み込んで、はいおしまい。と、しなかったのは、けっこうエラいかもしれませんね。
そういえば、米谷さんにインタビューした時に、横走り布幕のシャッターをカメラ本体に自動的に組み込む巨大な装置を開発したとおっしゃっていましたが、このモトを少しでもとるためかもしれません。すみませんウラはとれていません。
各部の動作感触とか、シャッター音はそれなりではありますが、なんとなく落ち着きがありません。だからどうした、という程度ではありますから実用性としてはなんら問題はないでしょう。
それに全体的にとんがった印象を受けないのはよい感じです。若者には抵抗感なく受け入れられるのではないでしょうか。たしか、鬼海弘雄さんの「ぺるそな」の一枚にOM10かOM20を首から下げた80歳すぎのおばあさんが登場していたと記憶していますが、これが良い感じに似合っていたので、もしかすると年配者にもイケるカメラかもしれませんね。
カメラの底部です。ワインダーの接点とか見えますね。連動軸も。これらにカバーはないみたいですけど、剥き出しのままでいいんですか。本当はあるのか?誰かご存知の人。これだと酒宴で撮影するには向いてないですね、ビールとか侵入しそうだし。
OM20は売れなかったために数がないのか、それとも耐久性に難があるのか、最近では中古市場で見かけることも少なくなりました。出てきても安心してください、安いです。
でも華奢な感じだし、決しておすすめできる機種ではありませんが、少し変わったOMも知っているヲレ。ということを写友に向けてアピールすることができるかもしれません。誰も誉めてはくれないと思いますが。
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