オリンパスOM2000であります。装着レンズはOMズイコー50mm F2です。名玉であります。廉価版カメラにはレンズを奢るというのはアカギ家の家訓であります。ええ、嘘です。
推すぜオリンパスもいよいよオーラスが近づいてまいりましたが、その前にご紹介せねばならんオリンパスOM一眼レフがあります。
これが1997年発売のOM2000ですね。3ケタのAF機はヘタ打ったので、もう4ケタにいっちゃうよ。と、いうことかなあ。いや、来るべき21世紀に向けての記念すべきモデルとして作られたのかなあ。どうにもよくわかりません。
この当時でもなぜ、フルメカニカルの廉価版のOMのMF一眼レフが出てくるのか謎でしたもん。前年にはニコンF5が出てますからね。OMは多くの人の視野の片隅にもいなかったのでは。どなたですか企画したのは?あ、でもね、筆者は使ってましたぜ。周りから隠れるようにして。
で、OM2000はいつものボディのマウント基部にシャッタースピードダイヤルがありません。これはボディ上部にあります。なんだかフツーすぎますね。ダイヤル自体、なんかどこぞのカメラで見たことのあるデザインであります。1/2000秒も装備しますぜ。
巻き上げレバーは特異な型です。でも小刻み巻き上げできないのは反省してください。レバーの基部に板があり、収納時にはシャッターボタンの押下を防げる仕組みです。
ボディ底面には、フィルム巻き戻しボタンがありますけども、多くのOMはボディ前面か上部にあるんじゃないのかなと。これも従来のOMと比べるとフツーじゃん。
巻き戻しボタンは普通のカメラと同様に底部にありますぜ。つまらんのう。
なんでこんな凡百なモデルになったんでしょうか。答えはカンタンでありまして、これはコシナのフルメカニカル一眼レフカメラ「CT-1」系カメラをベースにしたOEM機でありますね。
いやOEMというか、生産委託品ですが、もちろんモトになるカメラがあったわけだから、ボディの外装以外の内部の設計と製造は手を加えずに済みます。お安くできるわけであります。本機はニコンFM10とも兄弟機になるのかもしれません。後のフォクトレンダーのベッサシリーズとも同じです。もちろんこういう話を追求しても、すべてのカメラメーカーは認めることはありません。遠い目をしてはぐらかすだけですから念のため。
OM2000の登場は、さすがに21世紀を迎えるにあたり、オリンパスとしても、一眼レフのことは忘れてないんだぜという、ユーザーに向けてのアピールだったかもしれないですね。でもね、役不足だよね。
このロゴを見て、栄光のOMシステムが崩れたように感じたのは筆者だけではあるまい。何もない方がきれいなのに。
これでユーザーの気持ちが満ち足りたならば、まったくの世話なしですが、筆者はこの時OMの新型機の登場は1ミリも想定していなかったので、予想外の登場にそこそこ驚いた記憶ありますが、機能をみてすぐにがっかりすることになります。OM2000をみて、愛機のOM-1Nのオーバーホールを依頼したりしたような記憶があります。
でもね、優しい目でみると、デザイン的にはなかなかよく練られているカメラであります。上下の外装カバーもガンメタというかブロンズというか綺麗な仕上げです。プラスチックなんだけどね。何層が塗ったのかな?角度によっては人を勘違いさせるチカラはあるかも。いや、よくみると、ないか。
生産委託のカメラだけど、マウント周りはよく取り付けられましたよね。フランジバックの距離が長いからでしょうか。
ひとつだけ、OM2000には面白い機能があります。それはスポット測光を装備していることです。
巻き上げクランクの基部に切り替えノブがありますが、この操作だけであります。スポット測光を搭載するのは米谷さんの指示だったという都市伝説があるのですが、本当かなあ。とにかく、ひとつくらいは、新しい機能がないとマズかろうということでのスポット測光採用かも。あ、マルチスポットとかはできませんよ、もちろん。
どこかでみたことがある、巻き戻しノブとスポット測光切り替えレバー。
本機にはモータードライブどころかワインダーもつきません。手巻きでフィルムを巻き上げて、露出合わせてシャッター切って、という手順ですが、小刻み巻き上げもパスされており、巻き上げレバーを予備角まで引き出さないとシャッターロックがかかったままです。だから街中でスナップを撮影する場合はフィルム巻き上げレバーを常に予備角まで引き出しておいたほうがいですね。
動作音などはシャキシャキしていて好感は持てますけどね、コパルからの調達と思いますけど。
ビルドクオリティがどうのということでいえば、正直厳しいところもありますが、CT-1ベース機としては、がんばっているほうではないかと思うわけです。オリンパスファンとしては受け入れるしかありません。
おそらく世の中に出たOM2000はさほど多くの数はないはずですが、どこかその存在を否定したくないのは私だけではないと思います。
OMズイコーレンズをダイレクトに装着できるお気軽MF一眼レフと考えれば、その存在意義はあったと思いたいですね。OM-1あたりと並べて、写真仲間とあれこれ見比べながら、一回くらいは酒宴のネタにはなるかも。ならないか。
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