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推すぜ!オリンパス

第21回 撮像素子じゃない、受光素子が4つもある!「オリンパスOM-2」③

2024/04/06
赤城耕一

OM-2も3回めになります。いいかげんシツコクない?という声を読者の一部の方からいただいていることは重々存じておりますけれどもね、自分の中で決算がつかないというかなんというか。
 

OM-2でヤバすなのは、受光素子が4つもあることです。なんか脈絡なく、大盛りカツカレーが脳裏に浮かびました。まるで関係ありません。
 

で、撮像素子じゃない、受光素子4つはそれぞれ何の役割をしているでしょうか。うち2つはファインダーの光路内にありますね。
 

単純にいえばこちらの受光素子はOM-1と同じ役割で、マニュアル露出時のためにあるのですが、もうひとつOM-2のAUTO時にも役割があります。

 

OM-2Nとなってフィルム巻き上げレバーのカドがとれて親指にやさしくなりました。たしかOM-1なども換装してくれたと思います。今は受け付けてくれんだろうけど。

 

そう、設定絞りに対応するシャッタースピードを表示するために使用します。
 

ダイレクト測光はシャッターを切ると同時の勝負になります、撮影前にはAE用の受光素子SPDに光がいかないんですよね。でもシャッターを切る前にあらかじめ絞りに応じて切れると推測されるシャッタースピードがわからないと困るわけです(このため光路内にあるCds受光素子が必要になります)。
 

で、もうひとつ困ることがありまして。それはマニュアル露出とAE時の表示用の受光素子はCdsなんです。ダイレクト測光用はSPDであります。それぞれの特性は思い切り違いますね。これ、次の試験に出ますから。

 

高速シャッター時に使用する乱数パターンです。QRコードみたいですね。初代OM-2とOM-2Nではパターンの模様が異なるようです。

 

Cdsは低輝度下では応答速度が遅いこともあるのですが、おそらく当時のオリンパスの工場ではOM-2のマニュアル時の露出とAE時の露出をすり合わせて出荷はするのはたいへんだったんじゃないかなあ。
 

ちなみに、うちにあるOM-2Nは、マニュアル露出とAE露出では半段の露出の差があるように見受けられます。AEの基準にあわせて、マニュアル露出だけでも調整したいところですが、考えてみれば、筆者はマニュアル露出時にはカメラ内蔵のTTLメーターはあまりアテにすることなく経験値で撮影していますから、正直、メーター指針は参考程度にしか考えていません。

 

その後の多くの一眼レフミラーはピンホール方式になり、ミラーが降りている状態でも、受光素子に光を導くことができるようになりましたので、受光素子の数を減らすことができ、マニュアル測光時とAE時の測光値を合わせることができたわけで、時代とはいえOM-2の考え方は贅沢ですよね。
 

OM-2とOM-2Nの違いは前回も書きましたけど、専用のストロボを使用したTTL自動調光時に光量が足りないと判断された時に、不用意な長時間露光にならないようになっていること、ストロボのチャージランプがファインダーの中に内蔵されたこと。露出補正時に警告も出ますが、これはあまり目立たないすね。

 


ボディ前面のエプロン下にはBの解除ボタンがあります。AE時はシャッターダイヤルの位置はどこにあってもいいのですが、B位置はメカニカルシャッターなのでロックされています。

 

筆者がけっこう好きなのは、ファイダー内のAEのシャッタースピード表示とマニュアル露出の表示板を一体化して、マニュアル時には先っぽだけの定点表示になり、AE時には全体を表示させるというもの。前者の表示はOM-1と同じですよね。指針式の超絶アナログなんだけど、このアイディアは、なかなか出てこないですよね。

 

マニュアル時のファインダー内表示。この指針の位置ですと1段オーバー露光であることを示しています。OM-1と同じ考え方の指標ですが、少しシンプルですね。絞りやシャッタースピード表示がないのもOM-1と同じ。

 


絞り優先AEに切り替えると、指針が絞りに応じたシャッタースピードを示します。右側にはマニュアル測光時の定点指標が残ったままで煩わしいという意見もあったらしいのですが、問題ないと思うんだけど。 

 

OM-2について、いろいろと書いてきましたけれど、よい機会ですからはっきり申し上げておきますが、筆者は正直OM-2はおすすめいたしませんね。もちろん、どうしても欲しいというなら止めはしません。AEの精度が怪しいものも多いですし、先に述べたように、AE時とマニュアル露出での露出の差異も気になります。

 


モータードライブMD-1は無調整装着可能。これはニッカドバッテリーパックをつけてみました。左の下部がボディ本体よりも短いのは左手首で抑えやすいということからという理屈を読みました。本当ですかねえ。 

 

OM-1、OM-1Nはプリズムの腐食以外は、まだ機械的に動作良好の個体をみることができます。まーTTLメーターは針がうごけば参考にはなるかもしれませんが頼ってはダメです。
 

だいぶ昔のことですがオリンパスのエンジニアから聞いたのですが、OM-1にさらなる堅牢性を求めるなら、モードラ仕様のほうがいいみたいですぜ。ノーマルモデルよりもパーツが良いとかなんとか(ウラはとれていませんのでよろしくお願いします)。

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