ボディのカクカク感は踏襲されています。スマートなようで野暮ったさもあります。本個体はうちの子にしてはヤレていて、使用しても気持ちが上向きになりません。見せびらかした時に馬鹿にされるのではと心配しちゃうからです。
今回は1970年に登場したオリンパス35RCのお話です。
これまで意識してオリンパス35RCのことを調べたことはなかったのですが、ニックネームを「リチャード」というそうです。どなたがつけたのしか知りません。まさか米谷さんじゃないよね。カメラがRCだから「Richard」なんですか、あるいは逆ですかね。
ホンモノのリチャードさんには申し訳ないのですが、コンパクトカメラにつけたこともあって、なんだか軽い感じがします。リチャードさんが軽いわけじゃないですよ。コンパクトだから軽くていいんだけどね。
でも、本名がリチャード・ロジャース・オスカーⅢ世とかかもしれないし。しつこいですね。
で、オリンパス35RCの話をしないと。前回のオリンパス35SPなんかと比べるとありがたいサイズですね。
露出制御はシャッタースピード優先AEでありますね。見てのとおり、カメラ上部のシャッターダイヤルを先に決めて、絞り環をA位置に設定すれば機能します。ちなみにOFF位置もあります。
話題のシャッターダイヤルです。サビがひどいですが、機能は問題なく。低速シャッターは1/15秒ですか。まあアベイラブルライトフォトを手持ちで行う限界と考えればいいところでしょう。どうせ低速シャッターが細かく設定できても使わねえって。
絞り環をA位置から外せば、任意の絞りを選ぶことができます。最小絞りなんかf22までありますぜ。そんなに絞ってどうするんでしょうか。フルマニュアル時にはシャッター速度との適宜な組み合わせで撮影者が求めたい任意の露出設定を可能としています。このクラスのコンパクトカメラとしては珍しい仕様ですね。A位置から外した場合はバッテリーはなくてもマニュアル撮影可能です。
絞り環をAに合わせればシャッタースピード優先AEになるわけです。ちなみにこの当時EEとか呼ばれることの多い時代にAUTOのA文字をつけたのは偉いですね。
もうひとつ珍しいのは、普通はレンズシャッターコンパクトカメラの場合、シャッタースピードが任意設定できるカメラはシャッタースピードダイヤルもレンズの鏡胴にあるのが普通です。
ところが本機ではシャッタースピードダイヤルはボディ上部にあります。これが往時のコンパクトとしてはかなり珍しい仕様なわけです。デザイン的にも影響を与えていますね。この理由はよくわかりませんけど、当時の一眼レフのサブ機として使用して欲しいということもあったのでしょうか。ベテラン向きとかね。この時にはまだOM-1は登場していませんけど。そうだOM-1があったとしても、これはシャッタースピードダイヤルはマウント基部にあるんだぜ。
距離計連動式ですから、確実なフォーカシングが可能。レンズ性能のポテンシャルを生かした撮影が可能になります。
裏蓋開閉は巻き戻しクランクを上げるのではなくて、ボディ脇のピンを引き下げて行いますので、クランクを無理やり引っ張って壊さないでくださいね。筆者は壊しそうになったので念のため。
本機が惜しいのは、肝心のシャッタースピードダイヤルのデザインがいまひとつ安っぽい感じがすることではないかと。黒色なのは視認性がよくていいんですけどね。それにクリックのフィーリングがいまひとつです。もうちょい確実なクリック感が欲しいですよね。カチカチ。
だから、なんだかオマケ的な雰囲気が強いのです。シャッタースピードダイヤルにはAポジションはありませんからプログラムAEはできない理屈ですね。惜しいですね。
マニュアルにしろAEにしろ、シャッタースピードに関しては、撮影者ご自身でちゃんと少しは考えて設定してねということのようです。
昨今、ブラックボディの呪縛から逃れることに成功した筆者ですが、なぜか本機に関してはブラックが欲しかったですね。シャッタースピードダイヤルがブラックだったことが起因しているようにも思えます。うちの個体のメッキのヤレを見たくないということもあるんですが。
メーターの受光窓はレンズ脇になりましたからスマートですね。フィルム感度(ASA)はレンズ外周のリングを回して合わせます。まあフツーの仕様です。
かなり以前、本機のブラックボディをどこかの中古カメラ店で見たような記憶もあるんですが、あれは幻だったか、物好きな人がカスタマイズしたリペイントボディかもしれません。どちらでもいいんですが。珍しくブラックボディがあればなあと。そんなことを考えました。
シャッタースピードダイヤルをRCと同じ位置に搭載した後継のコンパクトカメラはオリンパスからは登場しませんでしたが、これはシャッタースピードダイヤルの存在意義というか、そこまでダイヤルを主張しなくてもいいんじゃないかということもあったのかもしれませんね。もったいないです。コンパクトなんだからあまりダイヤルなどを操作設定することなく簡単に写ってほしいということ望んでいるユーザーが多いということです。このあたりにローライ35あたりの思想と離れた部分が日本のコンパクトにはあります。
純正のフード(ウラはとれていませんがOLYMPUS刻印あり)を装着。精悍になりますが、この個体の外装がサビ気味で、オーナーの筆者は気持ちが入りません。錆びたトタンを撮影するのは好きですが、カメラはどうもね。ピカールで磨くと綺麗になると聞いたのでやってみますか。本当か。
往時のコンパクトカメラは、カラーネガフィルムを使うことを前提としているためでしょうか、多くの機種はAE露出レベルをオーバーめにしていることが多いようです。ポジフィルムを使用するとこれがわかりました。
またモノクロフィルムを使用する時も、美しいプリントを制作しようと考えるときは、ネガの階調が重要になりますので、撮影時に正しく確実な露光を与えたいということもあるので、そういう時はRCは間違いなく重宝します。
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