中学生くらいの少年が好きそうなデザインだけど、当時は十分に高級カメラですからね。購入は結構たいへん。憧れた人もいたんじゃないかなあ。ブラックボディは確認していません。
デラックス(D)でコンパクト(C)な1971年発売のオリンパス35DC。ストロボ使用時にもプログラムオート撮影が可能な世界初の自動フラッシュマチック機構や逆光補正機能(BLC)も搭載しています。
デラックスなんだから、AE外せばフルマニュアルで使えるぜ、みたいなことはありません。
プログラムAEオンリーだから、距離指標だけね。絞りが決められないから被写界深度指標がないわけですよ。つまらないよね。
シャッタースピード優先AEもできず、プログラムAEだけしか使えません。ダイヤル類はシャッタースピードも絞りも設定のための排除されています。これまでのSPとかRCとかと異なるコンセプトですが、デザイン的な完成度がいちばん高いですね。まとまりがいいというか。ネックストラップアイレットもあります。外装のメッキも綺麗ですし、けっこうな凝縮感もあります。
小さいですが、ものすごく軽いというイメージはありません。発売当時の価格26,800円というのは伊達じゃないですね。1971年の大卒初任給は43,000円でしたから、かなりデラックスなんじゃないでしょうか。
フィルム巻き上げレバーは小刻み巻き上げ可能です。誰も有難いとは思わないだろうけどね。一応エラいと思います。
でもね、このカメラつまんないですよね、いじくるところがなくてね。おお、えらいなあと思うのは、フィルム巻き上げレバー、小刻み巻き上げができます。このあたり、仕様としたのか、仕方なくそうなったのかはわかりませんがわかりませんが、前者と信じたい。でもありがたがる人は筆者のような変態だけでしょう。
プログラムAEオンリーですが、ファインダー内にはシャッタースピード、絞り値の表示があります。でもそれぞれをコントロールできないもどかしさがあります。なんの意味があるのか、いちおうどういう状態で露光が与えられるのか、撮影者に知らせるためでしょうか。知ったところでなにも学習することはできません。
逆光時に使用するBLCボタンは、確認したところ押せばたしかに露光量は多くなるようですが、補正量は一定でしょうね。これを変えるならフィルム感度設定ダイヤルを使いますが、そのほうがラクなんじゃないかな。
逆光の時に押してねというBLCボタン。まさかバック・ライト・コントロールの略じゃないだろうね。そんな単純じゃないか。
ブライトフレームは明るくて二重像も見やすいのですが、パララックスの自動補正はなく、近距離補正指標でごまかしています。このあたりはデラックスではありませんね。べつに筆者は困りませんけどね。
はい、デラックスですからねレンズも大口径のF.ZUIKO 40mm F1.7が搭載されています。みんな大好きな40mmはこのころからコンパクトカメラの多くに採用されているわけです。実際に使いやすい画角なんで、いま見直されていることはいうまでもありません。
レンズ性能はとても優秀で、実際にあらゆる条件で、よく写るということで現在も人気です。
“よく写る” という機能面と、デザインと作り込みの良さで現在でも人気のオリンパスDCですが、先に述べたように、撮影者がやることはフォーカシングだけなんで、使用していると飽きちゃいます。メカニズムに溺れることのない、表現者には向いているのかな。
フィルム室です。35mmフルサイズですからこのアパーチャーです。レールなどの仕上げは一級です。
せめてプログラムシフトくらい可能ならば、もう少し持ち出し頻度が増えるとは思うだけどねえ。やはり当時のコンパクトは簡便な操作でよく写るということを第一目標にしたんでしょうね。
ちなみにメーターの受光部はレンズの脇にあるので、レンズキャップをつけると、シャッターを切ることができません。メーターは低輝度の連動限界があるのでしょう。これを超えるとシャッターがロックされるのだと思いますね。
ホットシューもありますけど、シンクロターミナルもあり。フラッシュとストロボの切り替えあるけど、使い方がよくわからず。サードパーティのストロボを使う場合、絞り値はどのように設定するんですかね。ま、ストロボは使わないからいいけどね。
このためキャップの外し忘れを防止するとか、フールプルーフはよく考えられているわけです。どのような条件下でも、なにがなんでも、とにかく写してやるぜという気概を本機から感じとることができますが、自動化を進めすぎてしまうとカメラがつまらなくなるという典型的なモデルでもあります。
ボディ上部。シンプルでいいですね。ただ、何もすることないから使っていて退屈です。GN設定ダイヤルはありますね。これ、GN合わせると専用ストロボだとフラッシュマチックになるのかね。
もっとも、つべこべうるさいことを言わずにとにかくシャッターを切るのだというのがスジなんでしょうし、それが本機の正しい使い方なのかもしれません。
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