ニコンFGにニコンレンズシリーズE36-72mm F3.5をつけてと。よい組み合わせです。このレンズ、ヨンサンハチロクより間違いなくよく写ります。安っぽいけどね。それは仕方ないですね。
ニコンFM系とかFE系の陰に隠れて、目立たないんですが、ニコンFGというカメラがあります。過去PCT本誌の連載「推すぜ!ニコンFシステム」でも取り上げました。
今回は本音をちらと言ってしまうことにしますけど、筆者個人としてはですね、New FM2とかFE2なんかよりもFGの方が好きかもしれないのです。いや好きかな。
いやいやNew FM2のようなフルメカニカルだと壊れても、今でも治せるぜ、と言われるんだけどね、なんかねえ、それらは実直なカメラすぎて、本業の激務(笑)の間に戯れても、仕事の延長みたいな感じであまり楽しくないわけです。
だって、これらのカメラの現役時代って、とにかく1/250秒シンクロが使いたくて、というか日中シンクロ必然みたいな仕事もわりと多くて、ニコンF3よりも出番が多かったわけですわ。あくまで実用という意味ですね。だから情緒的な感覚はないですね。
それに、なんかさ、クラス委員みたいなヤツですね、とくにNew FM2とか。マジメでつまらないヤツとかいませんでした?中学の時とかさ。成績はいいんだけどさ。表面上は人あたりいいんだけど、実際は。みたいな。でもないか。
FG系はさ、背が低くて小柄で普段は目立たないけど、特定の科目が突出してデキるヤツという感じがするわけですわ。他の科目を捨てても。いや、単なる個人の印象です。
プログラムAEを使うには最小絞り設定ですね。Sタイプレンズと同じ昨日がシリーズEにすでに採用されていたわけですね。でもシリーズEにカニの鋏を採用しなかったのは、最小絞りに設定した時、カニの鋏が12時方向にこないので、デザインの美学から外れると考えられたんじゃないかな。テキトーな意見だけど。
筆者が最初にとても感動したのは、FGがニコン初のプログラムAEが可能な一眼レフというよりも、縦走りシャッターを装備しつつ、かつ小刻み巻き上げを可能としたという点にありますね。これで1/250秒シンクロができたら、一緒に天城峠を越えらえたと思います。
FGの前身はニコンEMで、これも小刻み巻き上げを可能としていたのですが、このことを評価する人は多くはなかったように思います。
筆者はフィルムライカMを使うときは、2回巻き上げを行うので、他の機種というか一眼レフでも、どうしても小刻み巻き上げにこだわりたくなるわけです。共用することが多いので。
ですので、筆者はFM/FE系カメラを使う場合は、すぐにモードラ使いたくなりますからねえ。手で巻き上げるがイヤで。だから、小刻み巻き上げができなくても諦めていたのかな。FM3Aでも小刻み巻き上げができなかったときには失望したなあ。
こういう話をデジタル時代にしても意味がないことがわかっていてお話しをしておりますので念のため。
逆光補正ボタンです。1.5段くらいでしたっけ?補正量は。これ左手の指で押しながらシャッターを切るんですか?被写体が動いてフォーカシングをやり直す時には、ボタンから指を離して、フォーカスを一からやり直すのかしら。
往時は縦走りのフォーカルプレーンシャッターを採用したカメラに小刻み巻き上げを可能としていた機種は少なかったのです。メーカーのエンジニアからできないと言われていたかもしれませんね。でもコシナ・フォクトレンダーのベッサTとかR2とかできましたぜ。ベース機は縦走りシャッターの一眼レフなのに(ということはやろうと思えばニコンFM10も小刻み巻き上げできたのかな)
FGの巻き上げレバーのトルクは軽く、スムーズです。中折れ式のレバーもなかなか使いやすいし。その軽い巻き上げトルクは、F3のそれに伍すのではないかと思えるのです。最後、カッチャン、と安い音がしますが。
EMは絞り優先AEモードオンリーのカメラだからなあ。基本は露出に関して、なにも工夫することができずなんですよね。露光補正だって逆光時のボタンしかありませんから、筆者は撮影時に光の状況と、被写体の反射率と測光範囲を見つつ、ISO感度ダイヤルで露光補正してましたわ。ほんとですぜ。
そこまでしてEMを使うのか、と言われたことありますが、先に述べたように、往時はNew FM2とかFE2はアサインメント用のカメラでしたからプライベートタイムでは見たくなかったわけです、ええ、筆者のワガママですよね。でもそれでいいのではないでしょうか。
もっともプライベートタイムに使うEMにしても、とりあえず使うからには、多少は工夫も必要なんじゃないかと発言してみたわけ。ほんとはどうやって使っていたかはあまり思い出せないんだけどね。
ただし、ある程度の時間を過ぎると、飽きてしまうのは、この種のカメラではいつものことでありまして。もっとも、これはいくつかの理由はあります。大きな理由はプラスチッキーなボディと剛性感の少なさ、動作音の安っぽさが今ひとつココロに響かなかったことです。寝る前にシャッター音を聴こうとは思わないもん。
筆者はニコンFGが登場したとき、シャッタースピードダイヤルが省略されていなかったことに小躍り、かつ安堵したわけです。
いや、お前が安堵してどうするのかと思われるかもしれませんが、結局はEMのサイズの一眼レフカメラでマニュアル露出の設定で撮影したかっただけというのがFGを使う大きな理由であります。
巻き上げレバーが不当にデカいよね。しかも小刻み巻き上げできますから操作性は最高です。無駄に空シャッターを切りたくなりますねえ。設計した人に一杯奢りたいですね。
FGってEMとサイズはほぼ同じだし、登場したとき理想的な小型軽量一眼レフカメラに見えたわけですわ。シャッターダイヤルがシャッターボタンと同軸上にあるのもオサレな感じがしました。ライカM5みたいとは言い過ぎですな。キヤノンEFみたいね、くらいにしておきますか。
FGを使用しても、あくまでもP(プログラムAE)モードは使わないつもりだな。と言われそうだけど、そう、そのとおり基本的にはPモードでは使わないんですよね。
瞬間絞り込み測光の絞り優先AEに頼りっぱなしの露出制御って、撮影していてどうも楽しくないわけ。精度の問題とかも関係なく。ただね、機構的にカメラボディとレンズの間で電気的な交信を行わずに、プログラムAEを可能としたことは素晴らしいと思うわけです。考えた人とは一緒に飲みに行きたいです。ほんとです。
でも、実際のシーケンスをみると、プログラムAEに設定して、レンズ側から絞りの運動を観察すると、シャッター切るたびに絞りの大きさが変わったりしますぜFGは。同じ明るさなのに。
つまり、FGはPモードでは瞬間絞り込み測光を採用して、シャッタースピードを可変させ、絞りの機械的な開口誤差を撮影者にはわからないように補正しようという姑息な手段を採用しているからです。後で露出の誤差を埋め合わせするわけです。ちなみにニコンFAとかもそうです。
単純な話です。なぜ筆者はFGが好きなのか。M(マニュアル露出)モードで、筆者が決めたシャッタースピードが正確に走り、信頼できる絞りで稼働すれば、それ以上FGに、いやフィルム一眼レフカメラ全般に望むことは、多くはないわけです。これでもう少し全体に高級感があるとか、真鍮外装だとしたら、予備として、数台のFGを買い込み、いまも筆者のニコンフィルム一眼レフのメインカメラになって、寝食を共にしていたかもしれません。
FGの兄弟機、FG-20です。チープさはさらに加速しますので、モードラを装着してみました。せっかくの小型軽量さが台無しになり、シャッターボタンはボディ側を使用しますので、手の小さい筆者の右指はつりそうになります。
年寄りになってから、よりカメラは小型軽量でいてほしいと強く望むようになったのです。だからFGを選ぶという理由もあるわけです。あ、書き忘れたけどFGの廉価版のFG-20もかなり好きです。いいですよさらにチープで。
おいおい、こういう廉価版のAE一眼レフは壊れたらどうするのさ、ですか?はい、治せませんね。
そんなの稼働するものに買い替えれば済むことです、今晩、焼き鳥屋に行くのを諦めれば、再びFGは手元にやってくるでしょう。あるいは、きっぱりとFGを捨て、再びNew FM2あたりとヨリを戻してゆくという手段もあります。
彼女は出戻りの男にも寛大ですよ。こういうところは筆者はわりと合理的に考えています。なに?あれこれカメラを渡り歩いているヤツ信用できない?今ごろ言われてもねえ。
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