ベッサR2 オリーブモデルです。その昔はオリーブは軍用とされましたけど、最近では「サファリ」カラーとしての特性の方が強いのかな。ラピッドワインダーを取り付けようかなと思ったのですが、グレーなんで相性が悪く自粛しました(笑)
2002年に登場したのはBESSA R2です。ネーミングのとおり、ライカスクリューマウントを採用したBESSA Rの後継機で、最大の特徴はVM(ライカM互換)マウントで登場したことであります。もうみなさん待望の機種というか、BESSA-Tで焦らされたユーザーさんへの回答が出てきたわけです。
外装をマグネシウム合金として質感を高めたことも評価対象で、グッと高級感が増しました。けれど、廉価設定ですから、おっかびっくりライカM2のブラックペイントを持ち出して撮影するなんていう緊張感からは開放されるはず。その分、多くのイメージが生み出されます。
お気軽、お気楽なライカMみたいな考え方でいいと思いますが、素晴らしいのはBESSA R2はただの廉価版のレンジファインダーカメラではないことです。
シャッター周りの機構やフィルム給送関係は従来機種と大きな変更はありません。それでも小刻み巻き上げを可能としていること、シャッター音がボディ内にこもる音になり、静粛になりました。
巻き上げレバー、シャッタースピードダイヤルなど手に触れる稼働部は金属製ですが、ここを金属にするだけで質感は爆上がりしますね。フィルムは小刻み巻き上げ可能です。
ベッサR譲りのファインダーも然りですが、このレンジファインダーを覗いてしまうと、素晴らしくクリアで、タダモノではない雰囲気は伝わります。ライカMは別としても、それまでのクラシックなレンジファインダーカメラのファインダーを覗くのが苦痛になるほどでした。
BESSA R2のファインダーは実像ですから素晴らしく鮮鋭です。
ベース気になったBESSA Rの試作機はアルバダ式のギラギラしたものでしたが、この方針を転換し、ライカMなみのファインダーとしたわけですから、これはかなり大胆な試みでした。
距離計周りの二重像合致部分はライカMのようにエッジが明確なので、二重像合致のフォーカシングのほか、上下像合致のフォーカシングが可能になります。
距離計部分は小判形を採用。これはファインダーをまっすぐに見つめてフォーカシングをしてほしい、すなわち斜視誤差をカバーしたいために採用されています。ライツミノルタCLと同じで、有効基線長の距離をカバーし、より精度の高いフォーカシングを可能としています。
ライカMでは装着レンズの種類によって、自動的にファインダー内のブライトフレームが切り替わる仕組みですが、BESSA R2ではレバーによる手動切り替えです。でも頻繁にレンズ交換をする人以外は、そう不便ではありません。
ブライトフレームは手動切り替え方式です。ニコンSPあたりを思い出します。パララックスはもちろん自動補正です。50mmフレームが単独で出現するのは結構いいかも。
逆に、有利な面もあります。ライカスクリューマウント(L39)レンズをMアダプターでライカMに装着するときは、レンズの焦点距離ごとに対応するMアダプターを使用しないと、フレームの自動出現は望めません。これ、結構厄介です。
でも、BESSA R2はフレームは手動切り替えですから、どのMアダプターを使用しても使用レンズの焦点距離フレームを任意で出現させることを可能としています。
VMマウントの採用は、ライカスクリューマウントレンズのほか、ライカMマウントレンズの直接装着を可能としているので、使用できるレンズの幅がより広がりました。ミノルタCL/CLE用に開発されたロッコールレンズとか、コニカヘキサーRF用に開発されたヘキサノンMレンズも装着することができます。
BESSA R2はライカに耽溺することなく真面目にレンジファインダーカメラを使用して写真制作に取り組みたいという表現者のためにあるわけです。
巻き戻しクランク。金属製。見た目よりも安定感あります。結構素早く巻き戻しできます。ローレットも綺麗ですね。
もちろんライカMを撫で回すのは個人の自由、楽しみであり、筆者もそういう行為をしているわけですから、否定もしませんが、筆者は街でBESSA R2を持って撮影している人に遭遇すると間違いなく、“写真偏差値” が高い人なのではと想像し、背筋の伸びる思いがします。
フォクトレンダーレンズ群もこの頃からライカスクリューマウントからVMマウントに移行し始めますが、Mマウントアダプターがあればどのレンズを使用しようとかまわないわけですから、いよいよBESSAシリーズは楽しくなってきたわけです。ただ、デジタルカメラの黎明期と一連のBESSAシリーズはちょうどブチ当たっていたので、少々不利な状況であることは否めません、というか不運でした。
利便性とは対極の位置にある、メカニカルのレンジファインダーカメラですから、一眼レフとも立ち位置が異なります。ライカのように撮影しなくても淫してしまう方向のカメラとも違います。
今から思えば、BESSA R2の発売当時、こちらも気持ち的な余裕に欠けていたかも。仕事でもデジタルカメラ使わねばならないし、PCも新調しなきゃとか、環境の激変時期でした。
VM(ライカMマウント)互換になりました。めでたい印象です。当時、ついにコシナがやったぜ!という印象も強く、感激しました。
デジタル・フィルムの両者を楽しむ気持ちの余裕がある人、レンジファインダーカメラの一連の所作を含め、特性を生かして、楽しむことができる人以外は、ライカのように高価ではなくても、すぐには手を出しづらいという、面もあったかもしれませんね。このときまだライカM7は登場していませんでしたから、どこかライカMに対して“待ち” の姿勢をとっていた筆者には、BESSA R2の登場はとても嬉しかったことを覚えています。
それでも、この当時、BESSAについてかなり多くの相談が筆者の元にも寄せられましたので、興味のある方はとても多かったのだろうと思います。
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