本来はキチっと撮ってあげると映えるカメラなんですが、面倒なんで、簡単に撮りました許してください。それでも、それなりの充実感のあるカメラでありますよね。
キヤノンEOS-1Vが機材のロッカーから出てきました。前回のEOS7sより4年前のカメラであり、EOSフィルム一眼レフ、最後のキヤノンフィルムフラッグシップ機となります。
ちなみに筆者は本機に最後にフィルムを装填したのは4年くらい前ですかね。つまり使ってないんですね。EOS 7sとは大違いです。これではいけませんねえ。いま、反省しておりますけど、まあもう仕方ないなあという気分であります。年寄りなんで気まぐれです。

この角度だと単体でもどっしり感があります。惚れ直したぜ。って感じしません?
スペックとしては、スキのないカメラであることは重々承知しているのですが、重たいしデカいので、さて、持ち出してやろうかと気持ちだけは前向きになったとしても、実際に手にすると気持ちが萎えて、結局は機材のロッカーに戻すことになります。そして、EOS 7sを選んだりするわけであります。
ただ、プライベートな撮影では滅多にあることではないのですが、1/250秒でシンクロ撮影を行いたいような場合では、必須機材となってはいました。最高速の1/8000秒はあまり使用した記憶がないんですよね。フィルムですから無理もないのですが。
高速のAFスピード、45点のフレームによる多点測距が本機のウリであります。AFフレームを選択するだけで疲れそうですが。ならば自動選択でいいのか。例によって使いこなせていない筆者ですが、周囲のカメラマンとくに、スポーツ畑のカメラマンは絶賛しておりました。

立木義浩さんが、EOS-1登場のころでしたか、カメラのAF化に伴い、カメラマンの手と指のいくつかは失業したのだから、仕事を作ってやれというようなことを発言され、コマンドダイヤルを操作して、なるほどと思ったことを思い出しました。
ただ、ファインダー上のフォーカスの切れ込みなどは筆者の目ではちと辛いかなあと思うのですが、目のよい人とか若い人には問題ないのでしょう。もっとも高性能、高精度AFだから、ファインダーは明るければそれでいいのかもしれません。
ファインダーといえば、少し関係ない話をしますと、同時代に登場した各社のフラッグシップのファインダーを覗き比べて、どの機種がもっとも切れ込みがよいかとカメラ雑誌の特集で検証したことがあります。
でもこれは個々の肉眼の性能の違い、数値化できるようなものではないでしょうから、筆者の印象評価だとミノルタα-9が最高によくて、ニコンF6が続いて、EOS-1Vだったかなあ。F5はあのフォーカシングスクリーンのECデバイスのせいでしょうかねMFの時は時としてマット面の見え方に釈然としないところがあり。

ボディ左上のボタン類なんですが、仕上げ、艶がいいです。筆者はこのボタンを作っている会社に知人がいまして、簡単なものにみえて、けっこう高い品質を要求されますと述べておられました。さすがです。
筆者は本機をベースに進化していったEOS1D系のデジタル一眼レフのほとんどにもおつきあいして導入してきました。けど、結局はカメラ部に関してはいずれの機能も持て余し気味であったことは確かです。ええ、裏をかえせば見栄を張る余裕があったということでしょう。
露出精度も褒め称えられていたことを記憶してしますが、EOS-1Vを使う仕事では、筆者の場合、スタジオや室内などでの撮影で使用することが多かったわけで、AEで撮るということはあまりなかったはずですね。
本機は重たいので、単独で動く取材撮影などでは携行したくなかったのでしょう。専用のスピードライトでベタに光を当てるような仕事も少なくなっていたこともあり、このあたりの露出精度に関しては、これも記憶が薄いのでありますが、「TTL調光がやっとニコン並みになった」という声も聞こえてきたり?そうなの?

EFマウントをまじまじ見ると、すでにノスタルジックな思いがあり。嘘です。でもね「V」のエンブレムの金属感がたまらんですね。
筆者は持っていませんが、パワードライブブースターなんとかをEOS-1Vに装着すると10コマ/秒の高速連写もできちゃうという。いまの価値観ですと、フィルムがもったいないー。というか連写を生かした仕事もないなあと。
もちろん本機は防塵防滴仕様でとても堅牢な造りです。外装はマグネシウム合金ですよね。
ペンタプリズムまわりのデザインの流れるよなフォルムは独自の個性があり美しいですね。前機種のEOS-1Nは、使い込むとテラテラの光沢が出てきて、外装プラスチック感がバクハツしてしまい気持ちが萎えてしまいましたが、本機は大丈夫です。

裏蓋を開けます。ここには創りの品格を感じますね。フィルム給送の技術って、デジタル化に伴い、未来に受け継がれることはないんだろうなあ。まあ、不要だけど。
それでもねえ、使い込んで塗装が剥げて、マグネシウム合金のグレーの地肌が剥き出しになると、あまり美しくないんですよね。本機の性質上、使い込んでボディの味わいがどうの、などという情緒的な期待を抱かることはありませんから、これでいいのかもしれませんけど。
筆者の手があまり大きくないせいか、サイズ的に少々持て余す感じはしますが、ボタンやダイヤルの位置関係とか、操作性はよく考えられていますし、その動作感触やトルク感は一級のものがありますね。あたりまえか。
だから、操作していても手や指が喜ぶ感じです。裏蓋を開けてフィルム室の仕上げを見ただけでも、気合いを感じてしまいますね。EOS 7sとは大きく違います。やはりフラッグシップはスペックだけではないわけです。ただ、ボディ単体で使用した時のシャッター動作音、フィルム巻き上げ音はもう少し静かにならなかったのかなあと。

EOS-1V登場時に開発者インタビューをしました。その時にキヤノンのエンジニアさんから、そこそこのサイズの部屋が全部埋もれるくらいフィルムを使ったと聞きました。感動したと同時に、富士フイルムは喜んだんじゃないですかね。
いや、もう仕事でEOS-1Vを使用することはないと思うので、ことさら静粛性を求めるつもりはないのですが、動作音に関しては、品格がもうちょいあるといいなあとは思いました。これはなんちゃらブースターを装着すると解決するのでしょうか。でも無駄にフィルムを使うのはどうかと思うけど。
2018年にEOS-1Vは生産終了になりました。メンテナンスは2025年10月に受付終了となっていて、最後に点検をお願いしようかと考えていたのにまったくそのことを思い出すことはありませんでした。つまり自分の撮影スタイルの中ではEOS-1Vを思い切り生かせるシーンがなかったということになりますね。もったいないなあ。
いや、でも久しぶりにあれこれ触ってみると、今さらながらですが、よく出来ているカメラだなあとは思います。これは嘘偽りのない本心であります。


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