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カメラ悪酔強酒

第44回 AE-1の発展型後継機として開発された「キヤノンAE-1 PROGRAM」

2025/10/17
赤城耕一

デザイン的な新鮮味は薄いけど、PROGRAM文字を前面に出してくるという覚悟は感じます。1988年くらいまでは売られていたようなのでエントリー機のMF一眼レフとしてはベストセラーですね。

 

今回は1981年登場のキヤノンAE-1 PROGRAMのお話であります。これね、手元にありましたけど、購入した記憶がないわけです。何らかの理由でトランス状態に陥り自分でもわからないまま購入していたとか。
 

いや、誰かからイラネと言われて救出したんだったか。1ミリも思い出せないということは、思い入れないわけです。忘れましたすみません。しかしですね、筆者より、少し若い同業者、あるいは編集者でAE-1プログラムで写真を始めたという人が少なからずいて、驚いたりするわけです。
 

はい、A-1の時にも書いたかな?繰り返しますが「せっかくの一眼レフなのに、プログラムAEを使うのは何ごとか!」とまったく説得力のない怒りを周りにブチまけたりする筆者であります。ま、年寄りですからね、妙に頑固で譲らないのです。噛みつきはしませんが、開き直って吠えたりします。注意してください。
 

ちなみ現代ではプログラムAEをデフォルトの撮影モードにしていても怒りません。だって、筆者も使用しておりますし、別にプログラムシフトを使えば、絞り優先AEとシャッタースピード優先AEを使用していることとなんら変わりありません。使い勝手が違いますね。

 

AE-1 PROGRAMって、実際に使用して少しイラつくのは、シャッタースピードダイヤルが回しづらくできているわけです。これ、前機種のAE-1の歯車みたいなダイヤルくるくるとは位置関係から違います。兄貴分のA-1とも違うし、慣れません。

 


シャッタースピードダイヤルの周りには一部を除いて壁があります。PROGRAMのポジションにロックがないので、不用意に回らないようにという配慮でしょう。フィルムカウンターは見にくい位置にあり、暗くなるとおじいさんにはよく見えません。

 

シャッタースピードダイヤルは、前機種よりも奥まった位置にあり、これをつまんで回すというよりも、右手人差し指でクリクリするのが基本になるように、ダイヤル周りの一部にカバーがあるわけです。
 

筆者はマニュアル露出のためにシャッタースピードも設定しやすくないとイヤな人ですから、正直、こういうユーザーインターフェースはカラダに合わないわけであります。いや最終的にはカラダを合わせてゆきますけどね。それでも、なんだか気に食わず、本機の使用頻度は極端に少なかったと思います。たしかフィルム数本通して、おしまいになり、ロッカーの奥底に眠ることになり今回発掘されたわけですね。
 

もう少し感覚的な話をすると、これはキヤノンEFの頃から変わりませんが、キヤノンFDレンズを使用して、プログラムAEなりシャッタースピード優先AEに設定する時は、絞り環を「○」なり「A」のポジションに設定するのですが、筆者は絞り環の表記数値が使われることなく“遊んで” しまっているところを見るのがイヤなわけです。ワガママであります。本機のシャッタースピードダイヤルにある「PROGRAM」の緑文字もなんだかイヤですね。通常のシャッタースピードを軽視しているみたいで。もちろんしてませんよ、感覚の話をしております。
 

フィルム感度表記は「ASA」ですね。AEロックボタンはありますけど、露光補正はフィルム感度ダイヤルからヤレということになるのかなあ。

 

本機ではシャッタースピードダイヤルをPROGRAM位置に設定してもロックはかからないのです。ヘタすると動いてしまうこともあります。このこともあって、本機はシャッタースピードダイヤルが無用に動かないように、ダイヤル周りを工夫したのでありましょう。それでもなんかテキトーに感じますけどね。設計者に訊いてみたいですね。でも「コストがかかるから採用しませんでした」というお答えが返ってくるだけだと思います。
 

ちなみにファインダーは情報集中ファインダーではありません。表示はLEDです。プログラムAE、シャッタースピード優先AEの時も実際に動作するF値表示が表示されます。前者では「P」の表示が出て、プログラムAEで撮影してますよというお知らせがあり、低速での手ブレ警告とか、連動範囲外になると「P」が点滅したりします。後者では連動範囲外になった時にf値が点滅表示します。筆者は何も悪いことをしてはいないのに警告されてしまうわけです。
 

何を言いたいかといえば、プログラムAE時は露光時のシャッタースピードはわからず、シャッタースピード優先AE時にもファインダーの中では設定シャッタースピードはわからないので、カメラ上部のダイヤルの表記をみてシャッタースピードを確認するということになりますね。いいのか?これで。
 

だから、シャッタースピードを大事にしたいアナタはシャッタースピード優先AEを選び、露光のことなどは何も考えずに美しい写真を残したい人はプログラムAEを使えということなのでしょう。
 

なんか、一眼レフのくせにビギナーは余計な設定とか、何にもするなよ、的な雰囲気が根底にあるわけですよ。繰り返しますが否定はしていませんけど、やはりA-1の時に感じていたPROGRAMモードの優位性は事実だったんですね。 
 

時代に合わせてNew FDレンズを装着してみましたが、ブラックで精悍ではあるけど、なんか作りが嫌い。Aポジションに入れると他のF値表記がつまらなそうに遊びます。

 

ちなみにマニュアル露出の時はですね、いわゆる適正露出読み取り方式ですね、設定シャッタースピードに対応した適正f値が表示されるので、絞り環のAポジションを解除して、表示の同じf値と同じf値を絞り環で合わせたら、適正露出になるわけです。
 

ま、使いやすいやり方とはいえませんが、任意に露出量を変えないのであればAE撮影と同じことになりますからメーターの反応などは無視して、俺さまの好きなシャッタースピードとF値を選択しましょう。
 

本機ではセルフタイマーの動作は音のみになります。レバーとか物理的に動くわけでもなく、前機種のAE-1みたいにLEDがチカチカしたりしませんぜ。つまらないですね。だから筆者のような年寄りにはこの音が聞こえづらくていけません。ま、いいんです。本機でセルフタイマーを使うようなことは死ぬまでないと思いますから。

 


セルフタイマーのレバーはA-1のそれを踏襲しています。でもレバーもランプも光りません。露光開始時間をお知らせするのは音のみであります。年寄りには聞こえづらいですね。使わないからいいけど。

 

ボディまわりはプラスチッキーで安っぽいです。右側のパームグリップはA-1時代から好評で踏襲されたようです。ワインダー、モータードライブも装着できます。バッテリーは4LR44だから前機種やA-1とも変わらず。筆者のところにある個体はシャッター鳴きありますね、シャッター切ると“チュンチュン” 音がします。Aシリーズ共通の事案ですが、メンテに出せば治るはずです。こいつはどうするかなあ。

 

あ、そうだ本機はファインダースクリーン交換できます。A-1用と共通かな。でも本機みたいなエントリー機で、スクリーン交換とか必要なんですかねえ。
 

何としてもマット面での確実なフォーカシングを行うのだというココロザシの高い青少年、いや、青少年でなくてもいいけど、そういう人はいたのでしょうか。世の中は広いからわかりませんけどね。
 

マット面のフォーカスのキレ、明るさは優れていますから、一眼レフでのMFの練習をするというのはどうでしょう。あまり意味ないのか。

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