一時はフィルムカメラをきちんと使うためにローテーションまで考えてそれぞれの機種をまわしていたのですが、このフィルムの値上がりでは、お気軽にフィルムカメラでの撮影がしづらくなっています。
そういうわけでカメラ本体も断捨離中なのですが、本日、変態じゃない、ヘンなキヤノンのカメラを機材ロッカーから見つけました。一時は断捨離筆頭候補でしたが、奥に隠れていたのでかろうじて生き残れることができたようであります。
その名はキヤノンEX AUTOといいます。購入した経緯はすでに綺麗さっぱり忘れています。1972年登場ですが、非常に面白いのは前玉交換式というユニークなレンズ交換方式が採用されていることであります。ええ、ご存知ない方は正しい生き方をされていると思います。
マニュアル露出時の絞り設定はフィルム巻き戻しノブの下のダイヤルで行います。大雑把ですが、これはファインダー内に絞り値を示す指針があるので、それを見て、適宜な値に合わせろということのようです。
本機のレンズの前玉はM42みたいにくるくる回せば外れます。このネジ径は独自のようなので、良い子はM42レンズなどをあてがったりしないでください。
ボディ側には2群3枚の後玉部分が残してあり、これは固定されていて外れません。前玉部分だけを交換する前玉交換式システムを採用しているのです。
いわゆるコンバージョンレンズシステムと考えていいかもしれません。交換レンズの種類は 35ミリ F3.5、50ミリ F1.8、95ミリF3.5、125ミリF3.5がありますね。
標準レンズ、EX50mm F1.8を外してみます。ボディ側にはレンズが残ったまま。精度的な問題ないのかなあ。あると思いますよね。
理論的にはこの方式では高画質は期待できないみたいに書いていたカメラ雑誌もあったと記憶していますが、以前に筆者がテストしたところ、50mmと35mmに関しては。まったく問題ない画質を得ることができました。他のレンズはわかりませんが天下のキヤノンが恥じる画質のレンズを出してくるわけがありませんから大丈夫でしょう。
シャッターは横走り布幕のフォーカルプレーンシャッターを内蔵。ただね、最高速が1/500秒というのはちょっと暴れたくなります。ISO400のフィルムを入れたら絞られっぱなしです。露出制御はシャッター速度優先AEですが、マニュアル露出もできなくはありません。やりづらいけど。
絞りやフォーカスリングはボディ側の鏡筒にあります。つまり、交換レンズ側にはヘリコイドや絞りは設けられていないのでお安くできることは素人にもわかります。
EX35mmF3.5を装着してみました。先細りのヘンな形ですね。レンズフードはスクリューマウントの35mmF1.5用と共用みたいです。
本機とその前のEX EEがキヤノン一眼レフ初のTTL開放測光内蔵機だそうですが、FT系とかF-1などとはレンズ互換性はありませんから、あまり嬉しくないですね。ちなみに前身のEX EEは、交換レンズの開放Fナンバーをカメラ側にセットする手間がありましたが、本機では開放Fナンバーは自動設定になっています。素晴らしいですね。
実際の使い勝手はどうでしょうかねえ。いわゆるエントリー機のくせに重たいですね。真鍮のカバーも厚そうです。ずっしりきます。エントリー機だと軽くみられては困るぜと、おのれの存在感を示しているようであります。
本機のファインダーを覗くと妙に明るいのです。フォーカスリングを回しても像が大きくボケないのです。いや、画面中央のマイクロプリズムはフォーカシングすればチラチラ激しく反応します。
EX35mm F3.5の単体の姿です。えらく安普請といいましょうか。でも普通にキレーに写りますけどね。こんなもんでよかろうという鏡筒設計なのでしょうか。
つまり、本機のファインダースクリーンは空中像方式でありまして、視野全体が明るいのはいいのですが、画面中央のマイクロプリズムを使用しないとフォーカシングできないのですよ。
スナップなどでは目測設定するという手もあるのですが。でもね、お願いしますよ、レンジファインダーカメラじゃないんだから、一眼レフの特性を殺してはいかんなー。ライカフレックスの真似をしたのかキミは。
それに全体の動作部のスムーズさに少々欠けるのが残念です。これは機械的な経年変化だけの問題ではないようです。もう少し使用感触に品格があるといいですよねえ。エントリー機はこんなものなのでしょうかねえ。だから、カメラ好きな人に積極的にはお勧めしませんけどね。
筆者としては全体のフォルムが好きなので時々持ち出しておりますが、レンズ交換のパフォーマンスをするにはちょっと面倒です。ねじ込みマウントなわけですから時間がかかったりしますね。ブラックボディがあればよかったですね。
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