ラピッドワインダーを装着したR2A。これは迅速巻き上げの目的というよりグリップ感がいいこと、重心が下に来るので使いやすいのです。レンズは最新のヘリアー40mm F2.8を装着しています。
今回は2004年に発売されましたコシナ・フォクトレンダーBESSA R3Aを取り上げます。そうですBESSAはついに絞り優先AEを採用したのであります。これ、つい最近のカメラじゃんと思ったあなた。はい21年経ちましたからね。もう同じ年に生まれたみなさんは成人しております。年寄りは時間の感覚が失われておりますから20年前なんて、つい先日ではないかという昔話をして、若者に嫌われるわけであります。
露出のことなど面倒なことを考えたくないアナタにぴったりなんですが、筆者は真面目ですから、AE任せだと、当たり前のように写って、個性を生かせねーじゃんとか思うわけです。
その昔はポジフィルムの使用が多かったので、ことさら露出に神経を使ったので、1/3絞りの違いでも、写真に味わいがでてくることがあります。まあ、気持ちの問題ともいえます。今みたいにカラーネガやモノクロフィルムを主流にして撮影していますと、なんだか露出はテキトーになったりします。
あれだけ鍛えた露出の勘を失ったのであります。いやだからといってテキトーな露出を与えていいというものではありませんからね。でもBESSAが真面目だなあと思うのは、背面にはAEロックボタン、シャッターダイヤルには露光補正指標がありまして、二段構えで露出補正に対応しようとしているわけであります。
絞り優先AE時はシャッタースピードダイヤルを「A」ポジションに合わせます。±2段の露光補正が可能。巻き上げレバー下にあるのはAEロックボタン。親切すぎるくらいですね。
とはいえ、補正量というのはいわば撮影者個々の判断というか、勘になるわけですから、そんなに気にするならマニュアル露出にした方がいいんじゃねえのか、とも思うわけです。ま、あまり神経質になると撮影も楽しくないですから、うまくやってください。
R3Aには、40mmのブライトフレームが内蔵されました。ライツミノルタCLとかミノルタCLEみたいですがR3Aは40/50/75/90mmのフレームを手動切り替えで出現させることができます。
すごいのはファインダー倍率は等倍であること!お前はライカM3かよっていう勢いであります。いや、R3Aの方が正確に等倍ですからすごいですね。しかもファインダーは恐ろしくクリアで心地いいのですが、筆者のように眼鏡をかけていますと40mmのフレーム枠を一度に見渡すことができず、目玉をくるくる回すハメになります。まあ、これはやむを得ないところであります。
フレーム切り替えレバーです。手動ですから、L-Mアダプターリングの種類を考慮する必要はありません。
またデザイン的には巻き戻しクランクのある箇所が切り落とされてユニークな雰囲気になっています。コニカのレンジファインダーカメラにも似ています。カバーはマグネシウム合金です。
AEになったことで、シャッター動作音も低くなりました。ガバナーがないからですかねえ。これもまた良いことかと思います。本機を選ぶ意味が出てきました。
コシナの本気度が伝わるのは、フレーム内蔵の種類別にそれぞれAタイプ(絞り優先AE)機とメカニカルのマニュアル、Mタイプを用意したことであります。そこまでやるかの精神ですよね。
でも一眼レフとは異なり、使用レンズに合わせてのフレームを用意したカメラを揃えるって、これもまた正気の沙汰ではないわけであります。もちろん褒めています。
フィルム巻き戻しクランク。レバーの中ほどはくり抜かれて、折り畳んだ時、中央のマイナスネジとツラ位置になるように考えられています。素晴らしい。
考えてみればライカも一時期、ファインダー倍率の異なるM型を用意していたことがあります。一番の売れ行きはやはりノーマルのR2Aあたりなのでしょうか。それでもコシナはフレームと倍率の異なるBESSAを用意したのです。
でも、しつこいようですがR3AはM型ライカにはない40mmフレームの存在とか、等倍ファインダーによる高精度のフォーカシングで大口径レンズや中望遠レンズ使用時の精度向上による安心感は特筆すべきものがあるかと思います。
そこまでしてレンジファインダーカメラを使いたいのか、と言われれば「使いたい」としか言いようがありません。
広角から標準用としてR2AかR2Mを標準から望遠用としてR3AかR3Mを用意しておけば、世界のあらゆる事象に対応できそうな気さえしてきます。いや対応できるでしょう。
あのさ、素直に一眼レフを使えば済みだろ?ですか。
違うんだよね。世界の事象をレンジファインダーのクリアな窓から観察したいわけであります。
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