Photo & Culture, Tokyo
コラム
top コラムカメラ悪酔強酒第56回 見つめるだけでピントが合う視線入力AFを搭載した「キヤノン EOS 55」

カメラ悪酔強酒

第56回 見つめるだけでピントが合う視線入力AFを搭載した「キヤノン EOS 55」

2026/01/08
赤城耕一

全体にソツがない性能だし、もっと評価されて良さそうなカメラですが、今日に至るまでまったく盛り上がっていないのはかわいそうです。軽いけど、さほど小さくないという仕様がまずかったのでしょうか。

 

自分の残り時間もなんとなく見えてきましたので、使用頻度が極端に低いフィルムカメラは粛清、処分するか、問題なく動いているものは使いたい人に託したいと思っております。自分でも極端に使用頻度が少なくなった機種は、エントリーからミドルクラスまでのAFフィルム一眼レフが多くなりますね。
 

フルメカニカルの一眼レフだと、メンテナンスをすれば、何の問題もなく高精度を維持したまま動作することも珍しくありません。ところが、露出からフィルム巻き上げ、巻き戻し、フォーカシングまで自動化しちゃったAF一眼レフですと、調子が悪くなれば、不燃ごみ扱いであります。
 

いや、違いますね。筆者の仕事場のある自治体でフィルムカメラはごみの分別のどこに当てはまるのか調べたら「小型家電」に分類されるようです。いちおう資源ごみだそうですから、そこからレアアースって採れるんですかねえ。知らんけど。

 

でもまあ、動いていれば使いたい人に託したいわけです。知人だと要らないものを“押し付けた” 感じになったり(笑)。そこで、中古カメラ店に売りに行くのですが、素人目に問題なく正常動作しているのに、まったくお値段がつかないことがあります。

 


35mm AF一眼レフボディ、しかも完動品が、税込200円というのは筆者のカメラ買い物経験ではレコードです。プライスシールを剥がさずに証拠として撮影しました。この状態で居酒屋で見せびらかして仲間内のネタにしてましたが、本機は実際にアサイメントの撮影にも使用しております。だれも200円のカメラで撮影しているとは思わなかったでしょう。

 

ヘタすれば処分代とか取られそうです。うーむ。いや、さすがに古いAF一眼レフに高額のお値段がつくことは期待していないけれど、普通に動作するカメラが1円にもならないとなれば、なにか存在そのものが全否定された気分になりませんか。そのカメラを所有していた筆者も否定される気分になるわけです。
 

ならば、オークションとかではどうかと考えますが、いやもう面倒で、実際に使う人ならば結構差し上げております。みんな使ってるのか?(笑)。
 

冒頭から何が言いたいのかといえば、今回取り上げる「キヤノンEOS 55」は写真のとおりのお値段で販売されていたので、救出してきたというわけであります。ジャンク品コーナーじゃないですからね、一時期、フィルムカメラ投げ売りの時がありまして、偶然見つけたのであります。

 


撮影モードダイヤルです。ボディ軍艦部の左上にあります。けっこうゴテゴテとアイコンはあるものの、無視することができるのはありがたいと思っています。

 

いかんなあ、カメラの数を減らさねばならないのに増やすとは。バッテリーを入れたらなんの問題もなく動くわけですわ。なんだかなあ。はい、バッテリーは2CR5ですから、お値段はこの個体の何倍もしました。
 

本機の登場は1995年ですからなんと31年も前になります。遠い目になります。
 

筆者自体EOS 55に思い入れはないのですが、ある時に立木義浩さんが使用されていたのを目撃したことを思い出し。
 

筆者はこういうことに弱いわけであります。大写真家の愛用カメラで撮影しても同じ写真は撮ることはできませんけれど、ま、使いたくなるわけでありますよ。皆さんもそういうのないですか。ないですよね。
 

EOS 55のウリは視線入力ですね。AFエリアが3点しかないのにどうやって使うのでしょうか。
 

キヤノンのアナウンスでは動体を目で追うだけでAFが追尾するみたいですぜ。使い方のコツを教えて欲しいくらいですが、こうしたテクノロジーはキヤノンのお家芸ですし、視線入力は、フラッグシップのEOS R1などにも生かされています。
 

筆者はこれらの機種を使う時も視線入力はOFFにしますけどねえ。まあいいや。使いこなせない筆者に問題があるのです。そうです。

 


LCDパネルの表示を確認して、いまのカメラの状態を知れということらしく。カメラに慣れている人ならば問題なく認識できる要素ばかり。しかしAFモード切り替えダイヤルをこの位置に持ってくるのは大胆ですね。

 

で、なんだっけ、そうだEOS 55ですね。
 

これね、生意気にも上部の外装カバーはアルミだったりします。だからどうしたという質感ではあるのだけどバランスも悪くありませんし、ミドルクラスの一眼レフとしては軽量ですね。
 

でも裏蓋を開けると、プラスチッキーですね、思いっきり。
 

裏蓋も安っぽいんですが、デート機能の他に電子ダイヤルがあったり、ISO感度設定やブラケッティング、視線入力とかフラッシュの露光補正とか、電子音とか多重露光とか、結構多くの機能を切り替えるためのボタンがあります。フィルム巻き戻しボタンもあります。
 

そうそう、パノラマの切り替えレバーもあるなあ、一時流行りましたよね。ファインダー内にはパノラマ時のフレームラインが常時表示されていますが、切り替えるとラインのはじ、上下4点にオレンジのLEDが点灯して、パノラマ切り替えであることを示します。同時にシャッター後ろにパノラマ用の36×13mmマスクが出現します。

 


EOSならではの背面での大型ダイヤルの操作設定は本機でも生かされております。ただ、ISO感度設定など、肝心のところが裏蓋での設定に握られているのは少し気になりますね。

 

つまり、この当時のパノラマって35mm判画面の上下をクロップして、横長にすることで、はいパノラマですぜ。っていうなんちゃってパノラマですから、写真屋さんに依頼するときに、「パノラマサイズで焼いてください」と指示すれば、35mmフルサイズ画面でも、パノラマ調のプリントに仕上げていただけるわけであります。
 

これを思い切りバカにしてたら、先達の写真家にアマチュアの皆さんが喜んで使っているのだから、ケナしてはいけませんと注意されたことを思い出しました。確かに了見が狭いですね。ごめんなさい。

 


低輝度時のAF補助光のほかセルフタイマーにも使われるランプです、。調べてないけど。妙に目立つのですが、ライカの赤バッジのような象徴的なイメージがあるのです。

 

まあ、プリントのアスペクト比がパノラマに合わせて極端に横長になるわけですからそれなりのパノラマ効果は得ることができるわけです。目のマジックですね。今は写真屋さんでパノラマのプリントは受けつけてくれるのでしょうか。
 

軍艦部にLCD窓があり、各種設定が表示されます。ペンタプリズムにはポップアップ式のフラッシュ内蔵されています。これまで使ったことがありません。精度はどうでしょうか。おそらく筆者はこのフラッシュは死ぬまで使わないと思いますのでどうでもいいのですが。
 

全体のデザインは正直ヤボったいところもあるのですが、発光部の存在を忘れるという意味ではペンタプリズム部はうまく収めた感じがします。

 


内蔵フラッシュです。ポップアップ式であります。どうせ使わないので放置していました。発光部が出現するとものすごくカッコ悪いですよね。

 

AFは筆者の感覚ですとフツーに使えますね。べつにスポーツ競技を超望遠で撮るわけではありませんから問題ないです。AFのスピードもこの当時にしてはフツーなんじゃないかと思うのは筆者だけかなあ。ファインダーも悪くないと思います。
 

シャッター音も静かなんですよね。ここにカメラの品を感じます。真面目に作っているなあと、いや、他のEOSが不真面目に作っているということはないですから念のため。でも、こういう優れた一眼レフが悪い冗談のような価格設定が行われていると、なんだかなあとなるわけです。

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する