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カメラ悪酔強酒

第57回 コマ速10コマ/秒の連写を実現したAF35mm一眼レフ「キヤノンEOS-1N RS」

2026/01/16
赤城耕一

パワードライブブースターE-1が最初っから装着され、それを外すことができないという特別な仕様がいいなあと。キヤノンF-1の高速モータードライブなんかどうでしたっけ?外れないのかな。それにしてもプラスチッキーな外観でテラテラですね。大して使用頻度は多くないのに。

 

コマ速10コマ/秒といわれても、現在の認識だとスーパースペックではないですよね。いまは120コマ/秒で撮影することができるカメラもありますし、動画撮影を基本するカメラならば、仕様としては特殊な部類には入りません。
 

でもね、フィルムカメラ時代は違います。とくにスチールカメラでは、フィルムを高速で給送、急ストップさせて露光し、またフィルムを送るを短時間の中で繰り返すわけですからね。このメカニズムの構造はたいしたものじゃないですか。一眼レフならば、ここにミラー駆動を考えねばなりませんから大変ですが、ミラーを固定したままならコマ速度は稼げます。古〜いモータードライブでもミラーアップするとコマ速度の上がるものはありますね。
 

今回取り上げますEOS-1N RSは1995年に登場しました。ベースモデルは前年登場のEOS-1Nです。10コマ/秒の高速連写を可能としています。

 


ペリクルミラーには触らないようにって、キツく取り説に注意が書いてあります。汚れたらSCに持ってこいよ、吹いてやるから、とまでは言ってないけど、今持ち込んだら、断られたりするのかなあ。持ってゆく勇気はないですね。

 

36枚撮りのフィルムは3秒弱で終了しますね。フィルムが超絶高価になったいま、これはお大尽がお使いになるカメラでありが、そのウリはペリクルミラー搭載であります。
 

コマ速度自慢ならば、筆者よりも先達の報道カメラマンたちはBell & Howell の小型のアイモで相撲とかスポーツを撮影しており、その昔のことですが、どこかの酒席で先達同業者に自慢されたことがあります。とはいえ、フィルム映画のカメラで撮影した動画を切り出しても、あたりまえですが、微妙にブレていて、精度の高い写真を得るのは難しかったわけです。新聞の粗い印刷ならいいのかもしれませんけど。
 

EOS-1N RSはEOS RT同様にペリクルミラーを採用し、高速連写を可能としているのですが、世界最短(発売当時)の0.006秒でレリーズを完了するリアルタイム機能のほうにも注目する人もいました。


筆者は高速連写もリアルタイムも必要としていないわけですが、でも本機が欲しかったわけで、いまもこの人はウチに場所をとりながらお住まいになられています。

 


RSモードですね。設定してシャッターボタンに触れると遮光シャッターが開く音がします。さらにシャッターボタンを押すと撮影開始です。AIサーボは設定できないので、高速連写しても、フォーカスは最初に固定したままになるわけであります。変なの。

 

筆者はお大尽ではありませんから、深夜、原稿に行き詰まった時に、本機の空シャッターを切って、その動作音にうっとりしたり、たまにスピードライトを装着して、シャッターを切って発光させて、被写体に浴びせた光をファインダー上で目視して感動したりしています。ええ、とてもではありませんが、人にみせられる姿ではありません。ヘンタイと言われようが、これはどうしようもありませんね。
 

いまだから告白しますけど、本機が欲しかった理由ってのは、スポーツを撮影するわけじゃなくて、パワードライブブースターE-1がつけたままのカタチになっていることですね。しかも、これが外れないところがいいわけです。特別な機能のために、改造されたモデルという立ち位置がいいですよね。EOS一眼レフで、一般発売されたカメラでペリクルミラーを搭載したものは本機が最後となったということも、アドバンテージとしては大きいですね。
 

バッテリーは単三を8本使います。だからものすごく重たいですね。

 


背面のコマンドダイヤルもこれくらいデカいと楽しいですよね。デジカメはLCDつけないといけませんから、ダイヤルが遠慮がちになってしまいました。

 

おまえさ、重たい、デカいカメラはイヤというくせに話が違うじゃねえかよ。
 

ですよね。いいんです、私事カメラは話が別というか、デカくて重たいことに価値があるわけです。あとね、同系列のフラッグシップクラスのコンシューマモデルでは、EOS-1N RSは唯一無二の存在といえますね。
 

例によって、ペリクルミラーによって、光量のロスが生じます。この量は2/3段相当になります。細かくいえば色再現やら、画質にも影響はあるんでしょうけどね、ま、気になる人は使わなければいいわけです。

 


カメラ上部のLCDです。レンズをつけ忘れたのでF値表示がありません(笑)。視認性が良くて好きなんですよね。うちの今の愛機、キヤノンEOS R6 MIIにはないんです、上部のLCD。

 

シャッターボタンに軽く触れると、“カシャ” っと小さな音がして、遮光シャッターが開いたあと、ホンモノのシャッターが動作して、露光が行われます。この最初の音で撮れたと勘違いしないようにせねばなりません。
 

ええ、じつはいまだから告白しますけど筆者はこの動作音で撮れたと、勘違いした苦い経験があります。

 


撮影モード設定ボタンとかISO感度設定とか。測光モード切り替えボタンとか。レイアウトに品がありますね。

 

ついでに言いますと、筆者は単体露出計を主に使うので、本機の露光のロスを忘れて撮影画像がなんだかアンダーだぜ、という状況になったこともあります。
 

いずれもアサインメントでの撮影でなくてよかった。ええ、悪いのはぜんぶ自分です。取り説を読まないのが悪いんです。シクシク。
 

RTの時にも書きましたが、光学ファインダーがブラックアウトせずに撮影まで行う一連のシーケンスはミラーレス機のそれとは異なる快楽があったりします。

 


裏蓋を開きました。EOS-1Nと同じです。遮光シャッターは前面ですから動きはこちらからは見えません。ペリクルミラー越しには見えますけど、写真撮りづらいのでパス。

 

これで最終的にRSモードにしてもAIサーボAFがきちんと機能すれば、さらなる感動はあったんでしょうが、ペリクルミラー後継機が登場しなかったこともありまして、とうとう実現することはありませんでした。ま、だからといって、今後も高速連射で撮影することはないと思いますけど。
 

ま、せっかく引っ張り出したのですからこんど使うかなあ、EOS-1N RS。1コマ撮りで(笑)。

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