フルプラスチックボディなんだけど、どこか憎めないのは、軽量だからでしょうか。ペンタプリズム前面の雰囲気って、EOS 5Dぽくないですかねえ。なかなか収まりのいいデザインだと個人的に思っております。
新年あけましておめでとうございます。
さて、本日は2026年の1月1日の元旦であります。今年はどのような年になるでしょうか。カメラも写真業界も賑わうことを祈念するために、本連載「悪酔強酒」としては初回くらいは今年一年の行方を占うことができそうなカメラとして、なにか大物をブチあげたいところですが、選択が悩ましい。
昨年の後半から本連載では、ずっとキヤノンのカメラをなり行きで紹介しておりますので、順当にいけばお正月らしくEOSフラッグシップなどを取り上げたいところでしたが、以前申し上げたとおり、EOS各カメラは時代やクラスにかかわらず、仕様やデザインに耽溺し、撫でさすったり、セーム革で磨き上げてゆくカメラでもないと個人的には考えております。初期のEOSなんかみんな外装はプラスチックですからセーム革で磨いてもよりツルツルテカテカになるだけですし。
キヤノン関係者のみなさんなら、お正月らしく、カメラグランプリ受賞のEOS R1を選んでねと言いたいでしょうけど、筆者はR1を必然として使う仕事などありませんし、先立つものもありませんから、ご紹介して、そのスペックを礼賛し騒いだところでリアリティが不足し、お話としては説得力に欠けてしまうわけですね。
筆者の場合はEOSは「お仕事カメラ」としての認識が強いわけです。だから、手元にあるのは、手放すのが遅れて値がつかなくなり、仕方なく残っているという機種が多いわけであります。
そうですね、自分でも思いますけどね、そこに愛はないよなあ。でもね、まだ確認していませんが、年末ジャンボが当たったら、EOS R1にはウチにお越しいただく予定になっております。

絞りダイヤルに「1」があるのが良くないですか?。EF50mm F1.0L USMを装着してAモードで使うのがいいですよねえ。やればよかったけど、フォーカスは合わないだろうなあ。前にあるボタンは露出補正ですね。
ま、いいんです。愛なんかよりも、筆者としては私事で使用するカメラには、少々ヘンタイ情緒性を必要としているからです。
キヤノンのカメラのユーザーはマジメな人が多いですから、人の道を踏み外したようなヘンタイカメラなど見向きもしないでしょうけどね。でもね、筆者ももう高齢者ですから、自身のヘンタイ性を矯正するのは手遅れなわけであります。
で、見つけてしまったというか、以前からこれは所有しておりましたが、2026年の新年にふさわしいヘンタイカメラをご紹介します。
これが、1991年に登場したキヤノンEF-Mであります。なんかどこかで聞いたことがあると感じたアナタ。鋭いです。
そうです。キヤノンのAPS-Cフォーマットのミラーレスカメラ「EOS Mシリーズ」専用のレンズ名って、この冠となっていますが、それよりも前にこの名称は使われていたカメラが存在していたわけです。

最高速シャッタースピードが1/1000秒止まりというのがどこか許せないわけです。絞り設定の幅広さとは違うんですよね。なんだかこれはフツーすぎませんかね。
その実態はなにかといえば、キヤノンEFマウントを採用した、MF一眼レフ、これがキヤノンEF-Mであります。登場時期がバブル真っ盛りの時期というのは興味深いですね。
ご存知ない方がいらっしゃるのも無理はありません。いや、そうであるからこそ、正しい写真表現者の道を逝っていると思います。
キヤノンEF-M、これは輸出専用のMF一眼レフカメラでありました。ニコンでいえばF-601MとかペンタックスならばMZ-Mなど、ベースボディはAF一眼レフですが、そこからAF機能を抜いてしまったという、ヘンタイのみなさまのために用意されたモデルです。

*はAEロックですよね、使ったことはありませんが。右はセルフタイマーボタンです。これも使ったことないですね。秒数とか変えられるのかな?
こうした兄弟がいることに筆者などは安堵したりするわけですけど。あ、すみません、いずれの機種も正確には輸出専用モデルでしたね。
前にも書いたと思うのですが、海外にはAFを忌み嫌う人ってそれなりにいらっしゃるために、あえてMF一眼レフを用意して、その需要に合わせたということなのでしょうか。そういえば、この連載でも紹介していますけど、キヤノンAE-1からAEを抜いたAT-1のことは覚えていますか?これも輸出専用機でしたね。
欧米のみなさんは、カメラや写真撮影に対して合理的な方が多いと思ったのですが、ヘンタイじゃなくて、まじめにマニュアル露出だのマニュアルフォーカスを追求したい人が想像よりも多いのかもしれません。ま、これは調べるのも面倒なので謎ということにしておきましょう。
さて、EF-Mです。EFマウントのカメラなのに、「EOS」名が冠されていません。これだけでパズレって感じしません。言い方が昭和的か。

ボディ側のマウントはプラスチックマウントです。残念至極。仕方ないですよね。電子接点は当然あり、ダイヤル設定のF値を伝達するんでしょう。あと、フォーカスリングの動きはシャッターボタン半押しで動作が始まりますが、通電時にタイムラグがあるんですよね。慣れるまで厄介です。
しかもボディにはLCDはありません。軍艦部にシャッタースピードダイヤルと絞りダイヤルがあるのみ。あとは露光補正ボタンとか、AEロックボタン、セルフタイマーのボタンがあります。
ファインダー倍率は0.75倍。ファインダースクリーンは専用仕様です。無駄に明るく、マット面のフォーカスの切れ込みはいまひとつですね。中央にはスプリットマイクロプリズム距離計を備えておりますが、不満であります。しかもEFレンズのフォーカスリングの感触はスカスカなものが多くて、MFで使うには気合いが必要とされます。これで本機専用のEFマウントのMFレンズでも用意されていたら筆者は狂喜したかも。あ、そうか、コシナ・フォクトレンダーのEFマウントレンズを使えばいいのか。と、いま思いました。
シャッターの動作音はコットン、コットンという、機織り機みたいな感じの音がします、まったりしております。EOSとは違うよなあ。鶴が中に住んでいるのかもしれません。
ダイヤル好きな筆者ですからね、さぞかし喜んでいると思ったアナタ。んなことはありません。このEF-Mはオールプラスチックなカメラなので、情緒もへったくれもないわけであります。
でもね、一方でよくやったなと思うわけです。EFマウントを採用したEOSで、軍艦部にダイヤルを置いて、シャッタースピードや絞りを設定できるのは本機だけじゃないのかなあ。かつてのキヤノンA-1にも似ています。まあ、だからどうしたとも言いたくなるのですが、絞りダイヤルをみてみると「1-32」のF値表記があります。

バッテリーはこの当時お馴染みの2CR5ですね。いまはえらく高いです。時おり、ハードオフあたりでお安く売られていますね。でも電力消費は少ないようで、かなり長持ちします。
つまり本機は「EF50mm F1.0L USM」から対応しているわけであります。本機にこの特別なレンズを装着して使用するなどという、地球上で確認することすら難しいような少人数の人たちのために、きちんと対応して、F値が設定できることに筆者は感動いたしました。
筆者もこのレンズはかつて所有しておりましたが、生活が苦しくなり、手放してしまいました。残念です。このヘンタイ的な組み合わせの姿写真を撮影してから手放せばよかったのに、そこまでアタマが回りませんでした。
ご覧のとおり、シャッタースピードダイヤルにも絞りダイヤルにも「Aポジション」がありますから、両方ダイヤルともにAポジションに合わせればP(プログラムAE)モードとなります。

シャッタースピードダイヤルと、絞りダイヤル両者を「A」ポジションにすればPモードですね。たしかにわかりやすいです。でも無駄にフォーカスも露出もフルマニュアルで撮りたくなりませんか。
A(絞り優先AE)モードではシャッターダイヤルはAポジションのまま絞りダイヤルで任意のF値を選ぶ、S(シャッタースピード優先AE)では絞りダイヤルをAポジションにして、シャッターダイヤルで、任意のシャッタースピードを選べばオーケーということであります。両方のダイヤルを任意の値に設定したら、マニュアル露出ですよね。
なんとアナログな設定でわかりやすいのでしょうか。電気的なやりとりをダイヤルに置き換えてMF対応したことについてはアタマが下がりますね。
後からわかったんですが、測光は3分割評価測光/中央部分測光/中央重点平均測光の切り替えができるみたいです。取り説がないので、切り替え方がよくわからないんですが。ま、正直、どうせ切り替えないからわからなくても問題ないです。
これで、EFマウントが金属で、ファインダースクリーンの切れ込みがよければ、筆者は感動のあまり落涙したと思いますが、残念ながらマウントはプラスチックでした。
それにしても、ボディをプラスチックにして、AF機能を抜いてしまえばEOS一眼レフってこんなに軽くなるんだと思いましたよ。
あ、いや違いますね。本機は「EOS」ではありませんでした。
今年もどうぞ「カメラ悪酔強酒」をどうぞよろしくお願いします。


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