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カメラ悪酔強酒

第64回 キヤノン35mmカメラの原点と呼ばれた「キヤノンIV sb」

2026/03/06
赤城耕一

ファインダーが小さいので、外付けのファインダーをつけています。こうすると、やはり一眼式のファインダーの利点は失われますよね。でも、ライカIIIfを日々使用している筆者はラクなんですわ。写真右にみえるボディ側面のレールに専用のシンクロターミナルつきアダプターをつけるとフラッシュ発光できますが、今回は出てきませんでした。

 

終わり終わりと言いながら、今週も信用ならないアカギがやってまいりました。ええ、1952年のキヤノンIV sbのことを先日まで忘れていたからであります。忘れることは誰しもあると思いますので、今回も許してください。
 

実はですね、筆者はずーっと1954年登場のIV sb(改)を探していて、なかなか良い個体に巡り会えずに挫折したまま今日に至ったのです。ですので、IV sbの取り扱いが雑で、このヒトは防湿庫にも入れてもらえずに、ウチの戦力にはならないと判断され、セーム革を涙で濡らし、悲しい日々を過ごしていたのであります。
 

「E・P」マークです。最初のオーナーは日本土産のカメラとして購入されたのかもしれません。いまの円安どころじゃないレートでしょうから、ライカなんかよりも絶対にお安いはず。

 

キヤノンIV sbとIV sb(改)の違いはキヤノンのサイトのアナウンスでは「シャッターのレリーズ後にも、使用しているシャッタースピード値がわかる中軸指標付きのシャッターダイヤルとなり、シャッタースピードの段数が倍数系列化して使いやすくなったこと。そして、巻き上げノブ基部にはフィルムの装填枚数が記録できる手動セットによるメモ表地板が付いた」
 

とありますが、合ってますか? IV sbとIV sb(改)のオーナーの方?他になんかないですかね?ファインダー倍率とか違うような記憶があるけど、調べるのが面倒なので調べませんが、IV sbよりも、IV sb(改)の方がよく写ることが知られているので今後も探す必要がありますね。

 

「キヤノンの高級35mmカメラは、IV Sb型、IV Sb改型で頂点に達し、キヤノンカメラ(株)の黄金期を迎え、これらは、ニコンS型と共に日本のカメラ工業力を世に問う垂涎の最高級機であった」とキヤノンのサイトのアナウンスにIV sb(改)の解説があるわけですが、何がそんなに最高級かといえば、作り込みなんでしょうかね、ボディの仕上げ?ボディは角ばって(アサヒカメラのニューフェース診断室ふうに書くとオクタゴンタイプか)いるので、手のひらにはなじまないですね。

 


シャッタースピード系列がちがいますけど、だいたいでいいんですよ。この時代のカメラで1/1000秒がしっかりと出ているカメラがあったら、お目にかかりたいです。

 

とはいえ、1950年登場のライカIIIfとどこが違うんだお前は、と言われたら、いわゆるIV sbは一眼式のファインダーの採用ですかねえ。これはたしかに意味あります。 
 

IIIfではフォーカスを合わせた後に改めてファインダーを覗いてフレーミングせねばならんですもんね。IV sbはファインダー倍率は小さいけど、手間はないですね。
 

このあたりはIV sbはファインダー機能は少しだけコンタックスっぽいけど、全体のフォルムやマウントはスクリューマウントライカというニュアンスもありますね。

 


ファインダーにはマグニファイヤーが仕込まれております。距離計は1×と1.5×の2段階の拡大可能で、Fは全視野を観察可能。大口径レンズとか長焦点レンズ使用時には役立ちますね。このために筆者は外付けのファインダーをつけるわけです。

 

ニコンS系は全体のデザインとマウントはコンタックスだけど、シャッター機能はライカ形式ですから、IV sbはこの逆張りっぽい感じがしたりします。
 

ウチのIV sbさん、放置プレイ状態で扱われていたのに元気です。
 

距離計のコントラストとか低くなっていないですね。シャッターもいい音だし。

 

ボディを握った感じは角張っていますから、ライカよりもゴツい感じはします。けれどその分、細部まで気を使われて仕上げられているように思います。これは売れますよ、当時のインバウンドのみなさんに。
 

ファインダーアイピース部分です。小さいですぜ、視野。これでどうやってフォーカシングして、構図を決めたのか謎ですね。ま、筆者のようにだいたいでいい、みたいな判断を下す人がどのくらいいたのかと。

 

ちなみにIV sbのお値段は85,000円(50mm F1.5付き)とあります。
 

この当時の国家公務員の初任給は9,200円で、小学校の教員は5,850円とありますから、当時の人たちは暴れなかったのでしょうか。今のライカM11-Pにノクチの50mm F1.2付みたいなニュアンスですか、いや、それよりも高いですよね。
 

この時代のカメラは重要な輸出戦略商品だったんだろうなあ。今もそうですけど、日本人が新品カメラ買うのは大変ですわね。

 

ちなみにこの個体の上部には〈E・P〉マーク刻印があります。

 

これは「Exchange Post」の略だそうで、「PX」とも呼ばれた米国陸軍の駐頓地にある売店向けに戦後出荷されたものということです。他の国産メーカーのカメラにも見ることがあります。

 


底蓋を外してみます。おせっかいなことに、フィルム装填時にはスクリューマウントライカと同じように、リーダー部を細く切らないとうまくいかないよと警告のように書いてあります。みなさんご存知でしょうから書かないけど、装填には裏技ありますよね。つまらない自慢をしても仕方ないので、紹介もしません。
 

物品税の免税識別のために刻印されたようですから、この個体は里帰りしたのか横流しされたものかはわかりませんが。
 

確か、この個体は先達の同業者にいただいたような記憶があるのですが、お名前が思い出せない。
 

すみません。心当たりのある先輩、筆者宛にお知らせください。ビール1杯くらいはなんとか奢れるかと思います。
 

そうだ、ライカビットみたいなトリガータイプの迅速巻き上げ装着(確かラピッドワインダーという名称だったかと)もあったと思うのですが今回探しましたけど見当たりません。もし出てきたら、またご報告したいと思いますね。
 

何? もういい? いやいや遠慮なさらず、そこをひとつ。

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