1994年にはF70Dというエントリークラスのカメラが登場してきます。90より下だからエントリークラスなのかもしれませんが、当時の筆者の感覚ではミドルクラスに近いようなところもあったのではないかと記憶しています。お値段もそこそこでしたが、今では中古カメラ店のジャンクボックスに見ることが多い不憫なカメラであります。
この角度で見ると、意外と端正な顔立ちなんですが騙されてはいけません。筆者のうちから出てきたF70Dさんは裏蓋が加水分解でベタベタで、蚊すら寄りつかない感じでしたぜ。
F70Dは多彩なプログラムAEが特徴ですが、これをいかに可視化するかが目標だったみたいですね。プログラムには、ポートレートモード/記念写真モード/風景モード/クローズアップモード/スポーツモード/シルエットモード/夜景モード/動感モードとありますが、上部の液晶パネルにおいてアイコンを使い、直感的設定を可能にしてきたわけです。
棚田か扇状地かというくらい変なディスプレーですが、「花」だの「走者」だのに合わせると、適宜なプログラムラインになるみたいですよ。使ったことないから知らないけどね。なんかこのクラスのカメラにしてはボタン多いし、アイコンを示す印も小さい。お爺さんの使用は想定されていません。
つまり、F90系みたいにプログラムAEのシフトが可能でも、それがアルファベットで表記されていると、設定時にどのモードなのかを覚えきれなくなります。これはアタマの悪い筆者だけかもしれないですが、F70Dでは直感的に選べます。ですが、この撮影モードを切り替える方法を忘れるんですよねえ(笑)
もっとも現在とは違い、筆者はこの当時プログラムAEを否定してましたからねえ。F4を使っている人の撮影モード設定を見て「P」にあっていたりすると、指差して非難したものであります。
ニコンフラッグシップでプログラムAEで撮るやつ、みたいないじめかたですね。はい、性格悪いです。今では良くなりまして、プログラムAEのヘビーユーザーなので安心くださいませ。
ボタン左側にはファンクションボタンとかセットボタンとか。押しながらコマンドダイヤルで切り替えればいいわけです。ボタン類は装飾の代わりにはなりませんね。
で、なんだっけ、あ、F70Dですね。プログラムAEが多種類ということは、細かく言えばプログラムAEシフトをたくさんの中から選べるということですね。スポーツのアイコンなら、シャッタースピードは高速側でシフトするようになるとか、マクロはその逆とか、他愛のないものかと思います。笑ってしまうのは、このアイコンに設定した場合でもコマンドダイヤルを回すとプログラムシフトができました。カメラが決めた値が気に食わない場合はバンバン補正してやりましょうぜ。
シャッタースピード絞りの意味、役割を知らなくても、失敗なく撮れるという触れ込みはあったんでしょうねえ。必ずしもマクロだからって絞り込むとは限らないけどね。
基本的にカメラのパフォーマンスをフルに使用するにはDタイプのAFニッコールを使用する必要があります。
内蔵スピードライト。F401Xに比べれば、デザイン的な処理は良い方ですぜ。じつは今回初めてポップアップされています。
プログラムAE時には最小絞りに設定する必要があります。それでもなおAI連動レバーは残されていますから、ニッコールオートレンズもAI改造されていれば使用できます。いやあ、ニコンは偉かったですね。
筆者はF70D登場時に『アサヒカメラ』のレビューでボロクソに書いた記憶があります。プログラムAE各種の設定の仕方とかよくわからなんとか指摘したんじゃないかなあ、細かいことは忘れたけど。
AF/MF切り替えレバーです。AF-SとAF-Cはどうするんだという人のために、ディスプレーとコマンドダイヤルでセットしますからご安心ください。
で、熱心なニコ爺の一部からお叱りを受けましたね。「F70Dはアカギみたいなジジイに扱えるカメラじゃねえんだ」と。今回も露光補正をするにはどうするのか悩みましたよ。正直面倒です。
おーそうかー!俺もついにジジイ扱いされるようになったかと、この時は逆に喜んだりしていましたが、Fマウント互換性を堅持し、かつ自動化を進め、プログラムAEすら多彩にするニコンって、内心では、ニコンのエンジニアは偉いなあと思いました。ただ、各種設定するのにおじいさんには時間がかかります。しかも間違えた設定のまま撮影していたなんていう人もそこそこいるんじゃないかなあ。
バッテリーはCR123Aを2個使います。今ではお安くないですねえ。グリップ内でできますよね。
今回取り出したるF70D君ですが、経年変化により加水分解にて、とくに裏蓋が死にたくなるほどベタベタでした。このベタベタを取るのに小一時間ほどを要しました。筆者はこう見えても忙しいんですよ。残り少ない筆者の希少な1時間を返してくれないのかしら。
なに?こんなのを紹介するお前が悪い?ですか。まあそうなんだけど、旧来FマウントのままUIがどこまで残され、逆にどこまで自動化するのにはどうしたら良いのか、頭のいい人たちが集まって考えて作られたカメラなんでしょうねえ。
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