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第25回 フォトミックSBファインダーをAI化した!「ニコンF2フォトミックAS」

2023/03/03
赤城耕一

フォトミックファインダーのみを買い換えるか買い増すことで、
常に最新のニコンF2になってしまう

 

フラッグシップ級のカメラが1年程度でディスコンになることなどありえないけど、この連載の第15回でも取り上げたニコンF2フォトミックSBの命は短かったですね。
 

短かった原因はそうです、フォトミックSBファインダーをAI化したフォトミックASが1977年に登場したからですね。筆者の想像ではフォトミックSBとASって同時に開発してたんじゃね、とか筆者は勘繰るわけです。会社には事業計画ってのはありますからねえ。

 


ノーマルのアクセサリーを装着しないF2フォトミックASの佇まいは、ほぼF2フォトミックAと変わりませんので、違和感はありません。見る人が見ると「おおっASじゃないですか!」と、なるから大丈夫でしょう。奥ゆかしいことは日本の美学ですね。

 

SBなんか出さないでASに特化したほうがいいとか思いますよね、普通はね。でもまあ、売上げのためには、ガチャガチャ方式のF2フォトミックSにも新しいSPDの受光素子を採用したフォトミックファインダーを用意しておいたほうがいいんじゃねえのか、だからSBを作るかなあという計算が働いたのかもしれません。
 

でもAI化の話が進んでしまい、頓挫したかけたんだけど、まあいいや一緒に開発して先に売ってしまえと。ええ、完全な妄想の話ですけどね。
 

ニコンF2本体はずっと変わらないわけですから、すでに何度もお話をしているとおり、フォトミックファインダーのみを買い換えるか買い増すことで、常に最新のニコンF2になってしまうという凄さはあります。本当にそれを忠実にやっていた人がいたのかどうかはわかりませんけど、ニコ爺の中にはいたと思うな。

 

ある意味ではこれが当時のニコンの先進のAE一眼レフ

 

ニコンF2フォトミックASには驚いたことに、AI化対応したサーボEEコントロールユニットDS-12も用意されたのです。もうね、ありえないですね、ここまでくると。
 

だって、絞り優先AEのニコンEL2ではSPDを採用しているし、ある意味ではこれが当時のニコンの先進のAE一眼レフで、今回のASは受光素子こそSPDだけど、絞り環をサーボモーターで回して制御するんですぜ。
 

しかもそのやり方はフォトミックSやフォトミックSBと同じですから、当然、受光素子の応答速度が速くなっても、適正露出になるまでの時間は物理的なモーターの回転に依存しますよね。誰が買うんだろうなあと思いますよねえ。でも用意したということは、少なからず欲しい人がいたということなんだろうなあ。ま、変態ですね。そうでないと説明のしようがないもんなあ。

 


カメラ上部から見ますと、SBと見分けつきません。アイピースシャッターもあります。シャッターダイヤルのリングが黒なのはいいかなあ。だからどうしたという話もありますが、フォトミックAとは違うんだぜという意思表示でしょう。

 

「ニコンF2フォトミックAS+サーボEEコントロールユニットDS-12で撮影した名作選」という写真展がニコンサロンであったら面白かったと思いますけど、購入者は無審査で全員が飾れそうですなあ。あ、ニコンはそんなことしない?そうですよね。

 

さてと、AI方式以外はフォトミックSBとASの機能はほぼ同じですからご報告することはあまりないのですが、ニコンF2フォトミックシリーズの最終モデルとして考えてみると、F2フォトミックASは希少な立ち位置かもしれませんね。AIニッコールレンズ、AI改造されたニューニッコール、ニッコールオートレンズなら、装着時のガチャガチャ不要です。便利ですが、例のごとく、いじくりまわすにはつまらなくなりました。
 

ファインダー内の赤色LED表示は指針よりも未来を見据えた感じでしたが、現在のカメラにはほとんど採用されておらず、これもなんだかつまらないですね。
 

フォトミックASは発売時も高価な部類に入りましたが、予想どおり市中に出回っている数は少ないですね。このため中古相場でも少し高価です。が、本気で探せば出てくるんじゃないですかねえ。おそらくLEDが点灯しないなどの故障は修理不能だと思います。点灯すれば救うことができるみたいですが。

 

これを持てば幸せになれると考えることができる?

 

EEコントロールユニットDS-12を装着して、シャッター速度優先AEカメラにしてみましたが、デカいコブがついたような意匠は当然好き嫌いありです。本来は専用の充電式電池を使いますが、CR2で代用もできなくはありません。でも、買うのはやめといた方がいいと思いますよ。

 

まあ、それでもうちにはF2フォトミックASとサーボEEコントロールユニットDS-12があるわけ。それは筆者が変態であるため、この連載があるため、というのは嘘ですが、メカ連動でどうやったらAE化できるのか、強い興味があったからですな。それを見たからどうしたという話でもあるのですが。

 

筆者はこのセットで外で撮影したことは一度もありません。だってものすごく恥ずかしくないですか?
 

筆者はこう見えて気が小さいので、そこまでしてニコンF2でAE撮影したいのかよ、と問い詰められたら、その場から泣いて逃げ出してしまうことでしょう。それに、このセットで撮影する人は、どこからどう見ても真面目な写真表現者には見えないよね、いや、見えなくてもいいですけどね、恥ずかしいですよね。
  

「本来は要らないものである。」これが現代のカメラの立ち位置でありますし、ましてやニコンF2フォトミックASですからね、フィルム一眼レフですからねえ。これを持てば幸せになれると考えることができるなんて、日本は平和ですよね。あ、筆者だけなのか。
 

木村伊兵衛も奥さんに言ってたらしいですよ。新しいライカを買うときに「もうこれ以上のものは出ないんだから」って。なんという説得力のない話なのでしょうか。

 

ニコンF2フォトミックAS(DATA)+モータードライブMD-2にAiニッコール135mm F2を装着しています。データバッグのケーブルがクールだぜ、という見方をする人は今後の人生の方向を考え直した方がいいかもしれません。

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