top コラム推すぜ!ニコンFシステム第41回 エントリークラスのAF一眼レフ 「ニコンF-401X」(1991年)

推すぜ!ニコンFシステム

第41回 エントリークラスのAF一眼レフ
「ニコンF-401X」(1991年)

2023/06/22
赤城耕一

F-401に使用可能なレンズは原則としてAFニッコールレンズ

 

F-501登場から2年を経て、1987年にF-401が出てきます。エントリークラスのAF一眼レフですね。F-501には搭載されなかったマルチパターン測光が搭載されておりまして、新型のAFセンサー「AM200」を採用しております。これはCCDセンサーですね。
 

正直、デザイン的には絶望的にカッコ悪いですね。このため筆者は登場時、ほとんどスルーしとりましたが、エントリー機とはいえ、いま、見直してみますとF-401にはいくつか、これまでのニコン一眼レフとは異なるインターフェースが採用されております。
 

グリップにある「Nikon」のデカいロゴと赤ラインだけで筆者なんかはF-401Xを外に持ち出すのはどうよと思うわけ。こう見えても小心なんで。全体としてはブスカメラなんだけど見慣れてくると意外にイケるとこもないことはない。

 

F-401に使用可能なレンズは原則としてAFニッコールレンズ、つまりCPUが内蔵されていなければいけません。
 

MFレンズでもCPU内蔵の「P」タイプはイケます。言い換えますと、本機にはAiレンズ対応の露出計連動レバーが省略されているわけです。と、なれば内蔵のメーターが動作するのがCPU連動方式のみのレンズということになりますね。メカ連動なんかパスしますぜという割り切りですね。「不変のFマウント」とはいったい何だろうなとも思いますが、旧来のFマウントのまま機能を進化、発展させるためには仕方なかったんでしょう。もちろんコストを下げるという面についても有効ですね。

 

マウントの基部にはAi連動ガイドもなくすっきりしとります。8時の方向に最小絞り設定ガイドがありますね。AE露出の場合は絞り環は最小絞りに設定しますが、この時レンズの絞り環にあるピンでこのガイドを押さないと正常に機能しません。

 

では非CPUのMFニッコールレンズをF-401に装着すると、どうなるかです。
 

これはMモードだけ使用可能でP、A、Sモードに設定すると、カメラはロックされて、うんともすんとも動きません。ぶっ壊れてるんじゃねえのかと早合点しないでください。またCPU内蔵のAFニッコールレンズでも最小絞りにしていないと動きません。このためにマウントの8時方向に最小絞り設定警告レバーが設けられております。

 


CPU内蔵のMFニッコールなら、F-401Xでもイケると踏んで、Aiニッコール45mm F2.8Pを装着。問題なく動作確認しました。それだけのことです。ハイ。

 

F-401で一番驚いたのはファインダー内にシャッター速度、絞り値が表示されないこと

 

これまでのニコン一眼レフならば絞りを最小にするならば、PとかSモードしか使えないのかと言われればそうではなくて、AもMも最小絞り設定のまま使います。

 


AF/MFしか切り替えられられません。F-501の時はAF-SとAF-Cが切り替えることができました。ミノルタの真似しちゃいかんなあ。だいたいこの当時の技術で、被写体が動いているか静止しているかをカメラに判断させるにはムリありません?

 

つまり、カメラ上部にある2つのダイヤルで、絞りやシャッタースピードを設定し、カメラ側から絞りを制御するわけです。これね、何を思い出したかといえば、キヤノンA-1かなあ。なんか無理やり感がなくもないけど。

 


全体はプラスチッキーなんですよね。テカテカしているしさ。軍艦部のシャッターダイヤルと絞りダイヤルが微妙な大きさでおもちゃみたいなわけ。これもサイケでいいという話もあるけど。どうしてもボディ側から全て制御したかったのはわかるけどね。

 

ダイヤルにしたのはLCDパネルを使用した表示を行う前の方策というか、ダイヤルを採用することで年寄りに配慮したんですかね、技術的にまだ間に合わなかったということなのかな。どうなんでしょうね。
 

筆者がF-401で一番驚いたのはファインダー内にシャッター速度、絞り値が表示されないんですよ、どんなレンズをつけても、もうね、カメラを信頼して任せて、あなたはシャッターを押すだけですからね、ということにしたかったらしく。
 

表示はAF合焦のグリーンランプと、赤色のLEDの「○」と、Mモード時の「−○+」だけなんですね。低速シャッターになる時は、手ブレに気をつけてねと点滅したりします。ご苦労さまです。
 

これだけ簡素化しておりますね、なんかファインダー覗いてもトキメキがないですね。コンパクトカメラじゃないんだからヤメて欲しいですけど、ニコンはやっちまったわけですね。このカメラはビギナーしか使わねえんだから、撮影情報は要らねえんじゃねえかと考えたんでしょうか。
 

スピードライトを内蔵するのはいいんだけど、発光部が丸見えってのがブスに拍車をかけるわけよ。ここだけ黒いパーマセルを貼りたくなるもん。

 

今の時代からF-401Xを見ますと、先達のニコンのエンジニアはようやったという感じがします

 

そうだ、今回お断りが遅くなりましたが、うちにはF-401のマイナーチェンジモデル、1991年に登場したF-401Xしかありませんでしたので、今回はこれで話を進めます。
 

外観デザインもファインダー内表示も大体F-401と同じです。たぶん。そうだ、1989年にF-401Sってのも途中で出てますね。これはF-401との違いがよくわかりません。調べるのが面倒くさいんで、興味ある人は調べてください。
 

F-401Xには予測駆動フォーカス機能を内蔵されています。一般的にいう動体予測ですね。
 

動きもの撮影に強くなったわけですが、F-401にもF-401XにもAF-SとAF-Cの切り替え機能がありませんので、動体の撮影は信頼が薄く、どこまでも怪しさがつきまとうのですが、ないよりもある方がいいんじゃないですかね、どうでしょうかねえ、F401Xでスポーツなど動体撮影したことないからわからないですね。運動会なんかでは使われたと思うので、効果はあったのかな。今回も電車くらい撮ればよかったですかねえ。

 


バッテリーは単三アルカリ電池を4本、縦と横に入れますね。電池入れるときに中島みゆきを歌いたくなったりします。わかるやつだけにわかればいい。

 

あとは特筆するところは何かといえば。F-401はすべての撮影モードでシャッタースピードは1秒が最低速度でしたが、F-401XではPで8秒、Aで30秒、S・Mで1秒と低速シャッター側が延びたくらいかな。だからどうしたって感じですけどね。別に特筆すべきところはないですね。

 

ボディ左上。筆者が弱含みなムシのようなマークが並んでますね。これはセルフタイマーボタンのマークでして、一度は10秒で1回、長押しすると10秒と15秒後に連続してシャッターが切れるという。こんなの使うのかよ。

 

それでも今の電子マウント時代からF-401Xを見ますと、先達のニコンのエンジニアはようやったという感じがします。素晴らしい仕事ですね。
 

「ったくAFの時にマウント変えてしまえばこんなにも苦労しなかったのによ」と大井町の居酒屋でボヤキながら、ニコンのエンジニアはウサを晴らしていたに違いありません。 
 

嘘です。これは筆者の推測ですから本気にしないでください。
 

小型のボディのサイズですから、単焦点広角レンズをつけて、街に切り込んで行くという撮影に使うと、おおっ、とか思われるかもしれない。というのはムリがあるか。

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