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推すぜ!ニコンFシステム

第42回 とにかくデカくて重たい!モータードライブ内蔵の「ニコンF4」

2023/06/29
赤城耕一

4世代目のニコンフラッグシップはついにAF一眼レフ

 

さて、いよいよ、ニコンF4の話をせねばならないみたいですね。機能が多いから面倒なんで、そのあたりはいろいろと端折りますよ。だってそんなの書いても仕方ないでしょ。だから例によって思い出話を中心に。とはいえ、いま機材ロッカー見たらF4は3台もあって、うち、一台は、もう絶対に使わないからお前のところで使ってやってくれという同業者から寄贈されたものです。今、F4の中古は安いですからねえ。処分しても悲しい価格だろうな。

 


ニコンF4Sですね。F4の代表的な姿であります。デザインはF3に続いてジュージアーロですが、F3と比較してどっしりしておりますね。貫禄はあるんだけど、外装がプラスチックなんで、しばらく使うと表面がテラレラしてくるのです。中古の個体は評価低いですね。プレビューボタンを押すとキューキュー鳴くのも共通点です。問題なく写るけど。

 

F4の発売は1988年ですね。バブルの最中だと思いますが、翌年は日本での初の消費税導入の年だったかと。なぜ覚えているかといえば、カメラの物品税がなくなり、消費税に代わったので、F4は発売時よりも翌1989年になってから少し値下がりしたことを覚えています。
 

カメラって、いわゆる贅沢税だったんですかねえ。よく知りませんけど。発売当初は品薄だったので、筆者も消費税導入後に購入した記憶があります。
 

4世代目のニコンフラッグシップはついにAF一眼レフになりますね。あ、「フラッグシップ初のAF」はF3AFなのか。でも一般的な感覚ではF4はAFの本格派とか初AFの、とか冠つけても間違いじゃないはずですよね。F3AFって筆者の周りでお買い求めになられた同業者は一人もいなかったと思います。
 

F4ボディはとにかくデカくて重たいですね。バッテリーの本数の違いでバッテリーパックの形状が変わり、F4/F4sという区分けがあり、大きさ重さも変わりました。

 

F4はバッテリーパックMB-20で、単三アルカリ乾電池4本、F4SはハイパワーバッテリーパックMB-21で、単三アルカリ乾電池6本を使用します。また1991年にF4Eという機種も登場します。
 

ニコンフラッグシップでは初の縦走りシャッターが採用されました。このため最高速度1/8000秒、シンクロ速度は1/250秒で、日中シンクロにも使いやすくなりました。良かった良かった。耐久性もまあ大丈夫だったんじゃないかなあ。現場で壊れた記憶ないし。

 


この当時でもシャッタースピードダイヤルをあえて“残した” というのはニコンは偉いなと思いましたよ。これは保守的なカメラマンへのサービスでしょうか。露光補正ダイヤルもデカめで、操作はしやすいのですが、これって頻繁に使うからこの位置においてこの大きさなんでしょうかね。だって、マルチパターン測光って、露光補正しないで適正露光になるのがウリなんじゃねえのかと。

 

フィルム巻き上げが自動化、すなわちモータードライブが内蔵されたことで、フィルム巻き上げレバーは廃されたのですが、フィルム巻き戻しノブは残されました。
 

バッテリーが低下しても、フィルム巻き戻しは手動でできるからいいのだという人がいましたけどね。どうですかねえ、筆者はたぶんF4のクランクを回した記憶がないなあ。本来はフィルムが正常に巻き上げれば巻き戻しノブが回るわけで、このことの方が重要視されたんじゃないんですかね。

 


巻き戻しノブです。クランクを立ててみました。こだわるよなー。でも筆者はフィルムの巻き上げに連動してノブが回るのを見るのはけっこう好きですね。

 

フラッグシップ使うプロが「P」とか使うのかよ

 

自動巻き上げのモーター動作音にも気を使われていて、連続撮影モードはCS、CL、CHの3種あるわけですが、CSモードの場合は、超低速でフィルムが巻き上げられるので動作音も小さいということがウリでしたねえ。手動でフィルム巻き上げができない不安の解消かもしれませんが、手巻きだって動作音はするしね。それでも筆者はCSで使用した記憶がないんですよね。なんかまどろっこしいというか。

 

撮影モードはPが2種ですね。レンズによって自動シフトとかしてましたよね、以前は。パスしたわけです。焦点距離リッジをメカ的にもう読みたくなかったんでしょうか。

 

AEもマルチパターン測光、中央部重点、スポットの切り替えできましたね、ダイヤルで。撮影モードなんかP(プログラムAE)モードありますからねえ、フラッグシップ使うプロが「P」とか使うのかよ、と若かった私はバカにしてました。正直なこところ。

 

まあ、プロ用だの、フラッグシップとか言っても、そのお客様の大半はアマチュアの皆さまです。カメラの場合もF4に限らずですが、一眼レフも自動化が進み、誰でも手にする時代になりました。
 

高いお金を払ったけど、うまく写らねえぜ、どうしてくれるみたいなクレームもそろそろで始めた時期だったみたいですぜ。けっこう笑えない話です。そういうクレームが来ないのはライカだけなのかな。カメラの発展って、自動化のことですもんね、基本的には。

 

マルチパターン、中央部重点、スポットに切り替え可能です。どうやって使い分けるか?ですか、条件によりますが、ベテランなんかは中央部重点測光じゃなきゃダメとかいう人いましたね、そういえば。マルチパターン測光でカメラの中で何をどうしているのかわからないからイヤなんでしょう。
 

ただね、当時でも筆者の周りのプロの間の評価として、F4のAFは失格とされました。使いものにならないという評価ですね。かわいそうに。

 

某新聞社写真部のカメラマンに実際に聞いたことがあるのですが、写真部の上司からはF4のAFを使って撮影するのは禁止されていたそうです。AFのエラーが多かったんですかねえ。今と異なり、多点測距とかできないし、センター一発の測距点で勝負みたいなこともあったかと思います。
 

そのころから筆者はカメラ博愛主義でしたからね、F4のAFの動作を分析し、AFの性能に見合った被写体の箇所で気を使って測距し、AFがエラーにならないようにしてあげたりしていました。最もフォーカシングする場所って、被写体の最も見せたい場所になるわけですから、使用するレンズにもよるわけですが。最も仕事でもルポなんかだと、大口径レンズでポートレートをキメる。なんて撮影はそう多くはなかったからAFは割と重宝しました。ま、AFがダメならMFで合わせるまでよ、みたいな考え方は根底にありましたし。
 

でもね、筆者はすごくカメラに優しいでしょ?このこともあって、F4のAFは使いものにならないとカメラ雑誌に書いたことはないと記憶しております。おそらく本当です。

 


裏蓋を開けてみます。フィルムは先端を赤指標に置いて、裏蓋閉めるだけで自動的に1枚目まで巻き上がります。エラーが出ると巻き戻しクランクの近くにあるランプが点滅して知らせます。接点がたくさんあるのはマルチコントロールバックという多機能の裏蓋のためですね。

 

AFの中央の測距点のみって、フォーカスロックを多用することになり、コサイン誤差の発生などには気を配らねばならないはずですが、どうだろう、このことも、そんなに深刻に考えてはいなかったですね。少し絞ればOKみたいに割り切って使用していたような記憶もあります。だってライカMだって真ん中でしかピント合わねえじゃん。ま、仕事は合理性と効率、スピードですからね。
 

面白いのは、他のAF一眼レフでは合焦しづらい人肌などコントラストが低めでグラデーションだけの被写体にF4は合焦したりするのです。
 

いわゆるAFの合焦に使われるテストパターンの通商「G(グラデーション)チャート」にも合焦するわけです。
 

おお、これはさすがだと思いましたが、考えてみれば、言い方は悪いけど、これはAFの精度がある意味でアバウトだったから可能になったのかもしれませんねえ。

 

F4登場までに発売されたFマウントニッコールのほとんどが装着可能

 

でもF4の名誉のために言っておきますが少なくとも合焦確認して撮影したコマで、フォーカスを大きく外したというコマはそう見受けられなかったのです。合焦サインが出た後に撮影したコマを確認しても、大きく誤測距していたものは少ないという意味でもあります。AFセンサーは「ニコンアドバンスAM200センサー」というやつで、名前だけはカッコ良かったですね。いかにも正確にピントが合いそうじゃないですか(笑)。
 

それに今では笑い話になるかもしれないですが、F4にはニコンAF一眼レフ初の「予測駆動フォーカス」が搭載されました。メーカーによっては動体予測とか言ってましたっけ。カメラに等速度で向かってくる被写体なら、被写体が動いた未来位置を予測して、フォーカスし続けてくれるというわけです。
 

これって、とくに動体を撮影しているわけではない筆者にも、おお!すげえ。と思いました。人間は軽く走ってくる速度くらいならほぼ補足できるので、ポートレート撮影の多い筆者としてはアプローチの方法が増えたわけです。
 

ただし、予測駆動フォーカスは連続撮影モードがCLでしか機能しなかった記憶がありますがどうだったかな。それに万が一、フォーカスを外した状態で連続撮影をしてしまうと全てのコマのフォーカスが外れるという恐怖があります。

 


連続撮影モードだけで3種あるわけですがCsって、小刻みにゆっくりフィルムを巻き上げ、動作音を低くしますがなんか気になる音なんですよね。舞台撮影とかに使えということなんでしょうかねえ。

 

某新聞社でAF使用が禁止されたのもそのような理由があったのかもしれませんね、スポーツ競技などは、本番一発勝負で、失敗しても撮り直しできませんし。それにフルタイムMFが可能なニッコールレンズは少なかったし。
 

F4はフラッグシップのお約束であるファインダー交換、ファインダースクリーン交換できました。当時のライバルだったキヤノンEOS-1はファインダー交換できませんでしたので、F4の方にアドバンテージがあったわけですが、おそらくこの当時から交換ファインダーはあまり売れず商売にはなっていなかったと思います。必要な人には必要なんでしょうけど。

 


ファインダー交換できます。ファインダースクリーンも。スライド式になったので脱着もスマートですね。やっとキヤノンF-1みたいになったかと思いましたもん。スピードファインダーとかウエストレベルファインダーありましたね。使っている人は見たことないけど。

 

F4の凄さというのは、実はAFではないという人もたくさんいます。それは、F4登場までに発売されたFマウントニッコールのほとんどが装着可能であるということです。
 

ニッコールオートレンズ、NEW ニッコールレンズ、AIニッコールレンズ、AIAFニッコールレンズ、AF-Sニッコールレンズと、歴代のMF、AFニッコールでメーターが動作します。F3AF用のAFニッコールレンズもAFが動作しましたからねえ。これは感動でした。面倒見がいいんですよね。考えた人にはビールの一杯くらい奢りたいですね。
 

そしてびっくりなのが、専用のスピードライトのTTL自動調光が極めて精度が高く機能したことです。TTL-BL調光といって、室内な夜間などは言うに及ばず、日中シンクロでもかなりの確率で露出が当たり、驚いたことを覚えています。マルチパターン測光がスピードライトで使用できたことも大きかったのではないかと。このため日中シンクロでは、定常光よりもやや弱めに発光するフィリンフラッシュ的な役割を担います。はい補助光ですね、シャドーを起こす感じで。この時はまだ被写体までの距離情報は加味されてはいませんでしたが精度は高かったのです。説明するには時間がかかるのでこのあたりで。興味のある人は勉強してください。
 

コマーシャルのフォトグラファーは、クリップオンのスピードライトを直打ちで発光して撮影なんてことはほとんどしないので関係ありませんが、このニコンのスピードライトの制御は週刊誌などのグラビアで活躍する報道畑のカメラマンのためにあったのではないかと思われます。当時はバブルの恩恵もあり、雑誌もカラーページが増えてきたこともありラチチュードの狭いポジフィルム使用も多くなり、時に日中シンクロが精度が高く容易に使用できることはかなり重宝したのではないでしょうか。
 

機能満載で登場してきたF4ですが、趣味性という部分でみると、ちょっと弱かったですね。図体がデカいのですが、ボディのカバーはプラスチックだったこともあります。真鍮カバーのF3とは異なり、少し仕様を続けると表面がテカテカして、安っぽくなり、いきなり品格が落ちてしまうのです。Nikonのロゴもプリントで、擦れたりブツけたりすると剥げてきます。
 

ニコンはプラスチックのボディでも頑丈だとアナウンスしてましたが、筆者は、とある現場で、同業者が使用していたF4のファインダーの一部が割れ、中身が見えてしまった個体を目撃したことがあります。なんかショックでしたねえこれ。

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