今回はニコンFE2を取り上げますね。絞り優先AEの一眼レフでFEの後継機です。小型軽量の一眼レフです。登場は1983年ですね。1/4000秒の高速シャッター、ニコン初の1/250秒シンクロを可能としております。
当時のカメラ雑誌では1/4000秒の方で騒いでいましたが、重要なのは1/250秒シンクロを可能にしたことでした。この理由は後述します。
前年の1982年に登場したニコンFM2でも最高速1/4000秒の1/200秒シンクロは可能にしていました。最高速1/4000秒、カタログでは「MAX4000」とかキャッチつけて騒いでましたね。今みたいに電子シャッターが普通になってくると、それがどうした的な感じもするのですが。当時はすごかったみたいですぜ。でもさ、1/4000秒で何撮るんだろうなあ。
FM2の1/200秒のシンクロ速度はあまり注目されていなかったようにも思えます。前機種のFMも、その前のニコマートだって1/125シンクロが可能でしたから、数字だけみるとなんだか中途半端な感じがしました。なぜ1/250秒でシンクロしねえんだよって。
なかなか良い面構えですFE-2。ペンタプリズム前の処理はFM2よりも好きかなあ。この個体はうちの二代目ですね。初代はアサインメント撮影に思い切り使って使い潰した記憶があります。F3よりも高速のシンクロができたので稼働率が高くなったわけです。
記憶で書いちゃいますが、一部のカメラ雑誌でFMをテストしたところ、1/250秒でもシンクロ撮影できるぜって結果も出ていたようです。
ただし、一部のスピードライトは閃光時間の問題で、きちんと同調しない可能性があるので安全をみて、1/200秒としたみたいです。
石橋を叩いても、なお渡らないというニコンの真面目な姿勢ですが、保守的に見えてしまうこともあります。ですので、理屈はわかっていても中途半端には感じますね。
それでもニコンF3のシンクロ最高速は1/80秒ですからねえ、1/200秒でもハイスピードシンクロだと思うんですが。多くのレンズシャッターカメラは最高速シャッター1/500秒ですからねえ。あ、ちなみに筆者はFM2は所有しておりません。New FM2ならあるんですけども。さすがにこれはいらねえよね。でも希少かもしれんなあ。中古市場ではあまり見ないもんね。
で、話を戻しますが、FE2は真の1/250秒のシンクロです。素晴らしいですね。でもね、これもまた少しからくりがありまして。
最高シンクロ速度は1/250秒ですから数字も赤色です。バッテリーがなくなってもM250にセットすればメカシャッターでいけますね。1/4000秒を使うようになったのはデジタル時代になってからでこの頃はほとんど使った記憶がないのです。ちなみに絞り優先AE時はAのみの表記です。つまらんです。A位置でロックします。シャッターダイヤルの中央にロック解除ボタンがあります。
再び記憶のままに書きますけど、往時のカメラ雑誌のテストでFE2の1/250秒のシャッタースピードを計測してみると、意図的に1/200秒程度の遅めの設定になっていたりしたようです。
これ、笑ってしまうんですが、精度に問題があるのではなく意図的な設定です。先のニコンFM2とは逆の話なんですが、話は同じです。つまり、どのような種類のスピードライトを使用しても、問題なくシンクロするように、安全をみて、ややスピードを低速にして設定してたみたいです。もちろん露出が狂ってしまうと困りますから、これもまた規格内での調整だとは思いますよ。
1/250秒シンクロで喜んだのは、新聞とか雑誌などの報道系カメラマンとかファッションなどのカメラマンですかねえ。いずれも日中シンクロ撮影の機会が多いからでしょうね。
前者でいえば、多くの同業者が集まる記者会見や事件現場など混乱の状況下では昼夜関わらず、撮影にはスピードライト使いました。これは今もそうじゃないかなあ。
被写体をブレなく鮮鋭に捉えるという理由もあるけど、集まったテレビクルーの照明さんが持つ強いライトによる逆光状態でもきちんと写るようにという理由もありましたね。フィルム時代ですからねえ、高感度フィルムの感度も今からみたら大したことないし、苦労したわけですわ。
露光補正ダイヤルというかフィルム感度ダイヤル兼用なわけですが、やっと1/3段刻みで補正可能になりました。ポジフィルムに対応したのかねえ。遅いですね。ま、こんなもの使うよりもマニュアルに切り替えて撮影した方が早いし、間違いがないですね。
1/4000秒がどうよって話はあまり聞きませんでした。これは推測するに、フィルムの感度が大したことなかったこともあると思います。でもね、ものすごく天気の良い日に撮影された大口径レンズの開放絞りの写真ってヘンに見えたりすることもあるわけです。これは年寄りの保守的な意見ですけどね、メカニズムを知っていると、年寄りには無理やり撮影している感が強く感じます。今では見慣れましたし、鑑賞者には何も関係のないことです。はい、この話は忘れてください。
FM2はフルメカニカルなんだけど、FE2は絞り優先AE機だから、バッテリーが必要ですよね。AEの利便性よりも、このあたりが引っかかるんですよね。肝心な時にバッテリー上がったらどうするんだみたいなね。不安神経症みたいですけど、商売に使う場合はけっこう真剣に考えておりました。
ファインダー内はFM2のLEDと異なり、指針式が採用されました。これ、ニコマートELの時から申し上げていると思いますが、極めて見やすいですね。たしかにEL時代のそれから変化を感じませんが、AEよりもマニュアル露出のズレ量が瞬時に認識できることでも、非常に評判が良かったのです。指針式はわかりやすいわけです。ええ、年寄りなんで、こう思うのは当然のことですね。
カメラの上下カバーは真鍮製だし、それなりの作り込みの良さを感じました。これは評価対象ですね。TTL自動調光もできましたね。誰も使わないけど。
FGでプログラムAEを搭載しているのだから、それよりも高級機であるFE2で、絞り優先AE搭載だけでもいいのかよ。と、当時のメカニズムマニアさんが思ってのかもしれませんが、FGのプログラムAEを実際に使い、これをありがたがる人なんかどのくらい、いたのかなあ。どうなんでしょうね。
デザインも含めて、FE2は完成度高いですねえ。やはりカメラはシンプルな方が良くないですか。
セルフタイマーレバーのデザインも気を遣っているんでしょうね。マウント側に押すとわずかに倒れますから、これはAEロックできるんじゃないかなあ。使ったことないけど。
シャッターボタンの表面積が増して指の腹に優しくなっています。ソフトシャッターレリーズとか使うとその感触は分かりません。このようにアップにしてみると細かい部品でも美しく仕上げられていることがわかります。さすがニコンです。
忘れてはいけないのはモータードライブMD-12ですね。コマ速度は遅いんですが、手ブレを防ぐ上ではグリップ感もよく使いやすかったですね。ただ、ヒステリックな音です。本稿を執筆にあたりロッカーを探したんですが、出てきません。最近はフィルムも高いので、筆者は滅多なことではモードラ使わんのです。たぶんそのうちに出てくるでしょう。出てきたらお話しします。
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