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推すぜ!ニコンFシステム

第14回 いまやすっかり立場が逆転。アイレベルは「愛レベル」が強い!?「ニコンF2アイレベル」

2022/12/15
赤城耕一

「F2フォトミック」がF2シリーズのベースモデルだった時代

 

ニコンF2はフォトミックファインダーを装着したものをベースモデルにしていることは既に述べましたが、では、メーター非内蔵の三角屋根のアイレベルファインダーを装着したモデルはどういう位置づけだったのでしょうかねえ。これ、あまり言いたくない名称ですが、他のモデルと区別するために「F2アイレベル」と呼びますね。いや、フォトミックファインダーだってアイレベルじゃんとか突っ込まないでください。

初期のF2カタログには普通に「F2」とだけ書いてあったような記憶がありますが、記憶だけなんで、間違えていたらすみません。
 

F2アイレベルって、なんだか謎なんですよね。と、いうのは筆者は70年代から80年代初頭の大学生の最後の頃はアシスタントで撮影現場にいることもあったので、時おり先達の同業者のみなさんの機材を見る機会もあったのですが、見かけるニコンF2にはほとんどフォトミックファインダーが装着されていました。このころも「F2フォトミック」がF2シリーズのベースモデルだったわけです。プロはTTLメーターなんぞアテにしないぜと何度もここで言いましたけどね。
 

ニコンF2アイレベル+ニッコールN・Cオート 24mm F2.8 Ai改

ニコンFの角を落として、モダンに仕立てた、という印象ですが、基本的には50年前のカメラです。十分すぎるくらいクラシックですがこれでカメラとしては十分だったわけです。この個体はシリアルナンバーからみると後期の製造なのですが、一番使用した個体らしく(もう現場での記憶が薄いのです)外観はそこそこヤレています。

 

見た目はかっちょいいF2アイレベル。兄貴分Fより優しい雰囲気に

 

昔からカメラに対しては面食いだった筆者ですから、デザイン優先で見てみると、フォトミック系ボディよりもF2アイレベルの方がかっちょいいと感じていたわけです。でもメーターがないわけですから、デザインを優先する代わりにトレードオフとして、TTLメーターがなくなると惜しい感じがしたのです。ええ、矛盾しちゃいます。往時の写真学生なんかそんなものですわ。今は知らんけど。あ、真面目な写真学生はカメラになんか興味は示さないのかな。
 

F2アイレベルはTTLメーターは非内蔵ですから、露出は単体露出計を使うか、勘に頼るしかないわけですね。もちろんプロのアイテムとしてはそれでオーケーでなんの問題もありません。
ニコンはどちらかといえば報道畑での使用が多かったこともあり、これらのカメラマンはTTLメーターをそれなりに活用していたということなのかもしれません。単体露出計とか取り出して測光している時間に被写体が逃げちまったりしますんで。
 

F2アイレベルはフォトミックよりもあたりまえですが軽量です。もちろんガチャガチャも不要ですから、操作的な楽しみはそう多くはありませんね。レンズ側のカニのハサミも役割をあてがわれず暇そうです。シンプルすぎるくらいです。

唯一、専用のスピードライトを使用すると、チャージした時にアイピース上にあるチャージランプが点灯するレディライト機能は有していました。これらはフォトミック系ファインダーにもあるんですけどね。アイピースから目を離さずとも、専用スピードライトのチャージ完了がわかるわけです。だからシャッターチャンスを逃しません。とかいう理屈なのかな。
 

F2アイレベルは兄貴分のFとどこが違うのかと問われると困るくらい似ていますが、デザイン面ではFの角張った直線から丸みを帯びたものとして少し優しい雰囲気になりました。エッジに手を触れても少しも痛くないわけですが、これがFと比較して、撮影者を少し弛緩させてしまうように感じたことも事実なわけです。Nikon銘板はファインダー側にありますから、ファインダーを外した時のF2のボディは面白くない形になりました。この状況でデザインの評価をする人はいないでしょうけど。

 

レディライト用の接点。専用のスピードライトを使うとチャージランプと連動して光ります。スピードライトは巻き上げクランクの上に装着するので、フィルムを巻き上げてもクランクが回るかどうかチェックは難しいのです。面倒臭いから調べていませんが専用スピードライトはSB-2とかいうのではなかったかと。もちろん筆者の手元にはありませぬが、これを使うとアイピースから目を離さずとも、チャージ完了が解ります。ま、なくても誰も困らないのですが、光るものは一度は光らせたいですね。


 

ここでクイズを出題!

 

F2アイレベルはフォトミック系ボディと比較してシャッター音が大きく聞こえるのはなぜでしょうか。フォトミック系ボディは動作音がファインダー内に籠る感じがしますが、アイレベルは開放されているからでしょうか。そんな印象がありますね。
 

最後にF2アイレベルに関してカルトなクイズをひとつ出題して終わりにしますがいいでしょうか。
 

「フォトミックファインダーを装着すると使用できない機能がありますこれは何でしょう?」
 

F2アイレベルはTTLメーターがないのだからフォトミックよりも機能的には劣ることになるはずですが、その逆があるということなのです。
ま、機能的にはつまらないことですし、なくても誰も困らないから気にしていないかもしれないのですが。わかりますか?
 

回答します。
 

これはシャッターダイヤル内にある、シャッターチャージ/フィルム巻き上げ完了マークはF2アイレベルでは見ることができるのに、フォトミックファインダーを装着してしまうとシャッターダイヤル上にフォトミックファインダーのシャッターダイヤル表示カバーがかかってしまうので見られないということです。つまり、大袈裟に言えば機能面ではひとつ劣ることになるわけです。
 

フィルム巻き上げレバーが動作するか否かを確認すれば、フィルムが巻き上げられているか、シャッターがチャージされているかどうかは確認すれば、撮影者は特に困ることはないんですけど、ちょっとつまらない意地悪を書きたくなってみたわけです。忘れてください。

 

 

シャッタースピードダイヤル中央にある巻き上げ完了指標線。線が7時方向にあると巻き上げ未完了、9時の位置にあれば巻き上げ完了です。ニコンFのシャッタースピードダイヤルにも同様の指標ありましたが、こちらは「・」でした。

 

脱アイレベルのススメ。F2フォトミックでいいじゃん♪

 

フォトミックファインダーはTTLメーターが経年変化とか、故障で動かなくなると、価値がなくなるというか意味がなくなってしまうので中古市場ではニコンF2アイレベルが人気のようですね。とくにブラックボディが。その昔は、新品が売られていた当時は当たり前ですが、F2アイレベルが一番廉価だったわけですがいつの頃からか逆転しました。
 

話は少し逸れますが、ニコンF2はバッテリー室がカメラボディにあり、フォトミックファインダー用の電気接点は、ファインダー開口部の両脇にあります。
中古カメラ屋さんでニコンF2フォトミックを見かけることは非常に多いですが、プライスカードに「メーター不動」という表記のある個体も少なからずあると思います。
 

これまでの筆者の経験では、完全にメーターがお亡くなりになっている個体も確かにありましたが、試しに電気接点をちょいと拭いてみると、あら不思議、メーターが復活するという経験を数回しております。
なんせ、誕生から半世紀をへている個体もあるわけで、接点の通電が怪しくなっているのではと推測します。動いているものがあればラッキーと考えて当然なんですけどね。

 

何度も言いますが、筆者のF2フォトミックにはバッテリーが入っている方が少ないくらいです。外見からのカタチを変えることが楽しみなわけです。
そんなに血眼になって、F2アイレベルを探さなくても、いいんじゃないかと思いますよ。いや、アイレベルは「愛レベル」が強いんでしょうかねえ。これじゃなきゃイヤという気持ちも少しだけわかるし、止めはしませんが。ええ、筆者はおっさんですが、何か?

 

F2アイレベルのブラックボディとシルバーボディです。今ふうに言えば前者はブラックペイントボディか。両者の差額はどれくらいかしら。年寄りになると陰湿なブラックよりも白いカメラが好きになります。それにフォトミック系ファインダーはみんなブラック仕上げだから、ボディーがシルバーだと白黒のツートンカラーになります。だから白いアイレベルファインダーをつけると新鮮に感じませんか。「F」文字がアタマにないこともあり、外観はスッキリしてます。

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