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推すぜ!ニコンFシステム

第20回 熱心な写真少年だった私を魅了した、FTNのマイナーチェンジモデル「ニコマートFT2」

2023/01/26
赤城耕一

なぜか好きなニコマートシリーズ。

 

お前、ふだんはテキトーにやっているように見えるけど、ニコマートのことになるといや熱心じゃねえかよ。と読者の方に言われてしまい。
 

いやあ、どうですかねえ。あいかわらずテキトーですよ。熱心といえば聞こえはいいけど、ニコマートはシリーズをコンプリートしているので見せびらかしたいだけかもしれないですね。もっともニコマートシリーズでは誰も関心ないし、羨ましがらないからつまらない(笑)ですけどね。それでもニコマートFT系は個人的に好きなカメラであることは間違いありません。理由はよくわかりません。
 

で、呆れられるでしょうが、懲りずに今回もまたニコマートFT2の話に行きますよ。登場するのは1975年ですから筆者が熱心な写真少年の頃でしたからねえ、ニコマートFTNのマイナーチェンジ機なんですが、なぜかその存在を無視することができないんですよね。
 

ニコマートFTNとFT2ってどう違うのさというのことを羅列するだけで正直、本稿の目的は達してしまいますので余計なことも書きますけど。しつこいようですがマイナーチェンジモデルですので本稿には大した中身はありませんから興味のない方はここから先はお読みにならなくても大丈夫です。資料的にも大したことないです。

 

ニコマートFT2+Ai-Sニッコール24mmF2.8

ニコマートFT2全貌ですが、わずかな改良でも真正面からみると、精悍さが増したデザインにも見えます。なんてもっともらしく書きたくなりますが、嘘です。気のせいです。もともとのFT系デザインはよくまとまっています。

 

アクセサリーシューが固定式に

 

ただね、ニコマートFT2発売当時のお子ちゃまだった私には、ニコマートFTNよりもなんとなくFT2の方が“刺さる” 感じはありました。カメラ雑誌の広告とか、カタログに出ている姿写真がデキそうなニュアンスを秘めておりました。
 

着脱式のアクセサリーシューが固定されてホットシューになっただけでも精悍な感じがしましたし。でも、ホットシューが固定式になっただけで、シューの角にセーターが引っかかって不便みたいな、言いがかり的なレビューを読んだことがあり、こりゃ可哀想だなあと思いましたね。なんか恨みでもあるのか?言い返してやりましょう。じゃあ、お前、ニコマートFTNで撮影する時に、セーター着てたら、着脱式のアクセサリーシューはマメに取り外すんだろうな?あ?(笑)。

 

ペンタプリズム上に固定式のホットシューを新設。TTL調光とか、ニコン得意のレディライトが点灯するとかそういう技はありません。普通すぎますね。デザイン的にはシューは美しくないのですが、FTやFTNはよく頭頂部の凹んだ個体を目にしますが、FT2はシューがあるので衝撃からには強そうです。

 

このロック機構必要なの??

 

FT2ではシャッタースピードダイヤルセットレバーの先端にフィルム感度セット用のロックピンが設けられました。このピンを引っ張りながらISO感度を変更せよということらしいです。
 

ニコマートFTNにはこのロックはありませんでした。もともとフィルム感度設定レバーの動きが固く、少し動かすだけで爪が割れそうになるのに、ここにまたロック入れる必然性というのがよくわかりません。これ、今もそう思っています(笑)。神経質なエンジニアが設計に加わったのでしょうか。
 

シンクロターミナルはとスピードライト用のXとフラッシュバルブ用のFPの二つ存在したものを一つに統合しました。もっとも、アクセサリーシューがホットシューになったわけだから、ターミナルを使うことは少なくなるんじゃないですかねえ。ニコマートFTNとシャッター機構は変わらないから、コパル製金属幕縦走り最高速1/1000秒で、最高シンクロ速度は1/125秒です。
 

 

シャッタースピードダイヤルに取り付けられたレバーの先端にピンがあり、これを引きながらASA(ISO)感度設定指標を動かします。こんなものなくても困らないのですが、なぜつけたのかは知りません。

 

 

シンクロターミナルは1つになりXとFPの自動切り替え式に。ホットシューがあるのだからターミナルの使用頻度は減るわけで、FTN同様、そのままの放置でもいいと思うのですが、ニコンは真面目なわけです。

 

摩訶不思議な現象も問題解消

 

あとね、前には書きませんでしたけど、ニコマートFTNまでのモデルは、ごく稀になんですが、シャッターを切っていないのにフィルム巻き上げができてしまったり、巻き上げレバーを中途半端な位置で止めた時にシャッターが切れてしまうことがあったようです。操作のタイミングとか個体にもよるみたいですけど。筆者もこれは経験があります。
 

ニコマートFT2では、巻上げ関連はこのような問題が起きないように改良されているようです。ウラは取れていませんから気のせいかもしれません。ロングセラーカメラなんだから、巻き上げ機構なんぞ早く改良せえと思いますよね。ま、ミドルクラスのカメラだからこんなものだと思ってトラブルが起きても皆さん納得の上で使用していたのでしょうか。今なら許されないですよね。

 

ニコマートFTシリーズ同様、シャッターダイヤルがマウント基部にあるオリンパスOM-1は軍艦部にフィルム感度ダイヤルがありますし、ボディが小さいので“空き地” が少ないイメージです。ニコマートFTシリーズではプレビューボタンやフィルムカウンター窓を大型にするなどして、うまく空き地を埋めています。

 

基本設計に優れ、完成度の高い大成功機種

 

あとはバッテリーの変更ですね。ニコマートFTNでは水銀のHD電池1個を使用していましたが、ニコマートFT2ではSR44あるいはLR44を1個使用します。水銀電池は環境問題もあり使われなくなりましたから、時代に合わせてますね。
 

1965年の初代ニコマートFTから10年目で登場のニコマートFT2ですけど、その変わらなさ。ということに逆に説得力があるわけです。つまり、基本設計が優れていること、完成度が高いカメラであったからこそロングセラーになったわけですね。製造側も作りやすかったのかもしれません。ニコマートFTシリーズは総計で100万台以上売っていると思いますから大成功機種であり、売上げにも貢献していたのではないでしょうか。

 

バッテリーはLR44かSR44に変更されました。TTLメーターの使用頻度が多く重視したい人はバッテリー入手のしやすさから、FTシリーズはFT2以降を購入した方が便利かと思います。けど、製造から年月が経っていますから、精度を追求するようなものじゃないですね。筆者は例のごとくバッテリーを入れていません。

 

外部のTTLメーター窓は残され、新たに+とーの表示が加わりました。便利ですとか書きたいとこですが、顕微鏡での撮影などに使うんですかねえ。これを大いに役立て、便利に使用した人とかいるんですか。あ、この窓での測光を本気で使いたい人はアイピースからの逆入光に注意しましょう。

 

  

 

 

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