今回は読者のみなさまの予想通り、ニコンF-501いきます。
そうです、ニコン初の本格派AF一眼レフですね。ベース機は前回のF-301になります。
嘘つけ! ニコンのAF一眼レフ初号機はF3AFだろうが、という意見はごもっともですが、その後F3AFはどうなりましたか? F3自体は20年のロングセラーですが、F3AFは途中どうなりましたか、挫折してませんか? という話をここでするのは意地悪でしょうね。
マウント下にAF切り替えスイッチがありますが、AF-SとAF-Cを手動で切り替えるようにしたのは正しいですね。確実性が増しました。
私がいつもニコンの黎明期AF一眼レフの話で嫌味を書いてしまうのはF3AFのAF駆動はレンズ内モーター方式だったのに、F-501ではカメラ内モーター駆動になったことです。
F3AFは機能的には満足な出来ではありませんでした。それに2本の交換レンズも鏡胴内にモーターを仕込むためにそのスペースが取られて、苦しそうでしたもんね。F3AFは試作機がそのまま外に出てしまいました的な感覚で市販されます。相当に無理したんじゃないですかね。
それでもですよ、ものすごくニコンが偉いなあと思ったのは、F3AF用に用意されたAi AFニッコール80mm F2.8SとAi AFニッコールED200mm F3.5Sの2本のAFレンズはF-501に装着してもAFが駆動するんです。素晴らしいですね。これを言いたいがためにここまで引っ張った筆者を誰か褒めて欲しい。
F3AFは高いし、性能今ひとつということで、誰も買わなかったんだから、たった2本しかない専用AFニッコールレンズの面倒もみちゃうよと。この頃のニコンは粋でした。Sタイプだし、カニのハサミもついているんだから、MFのニコン一眼レフで使えばいいのにね。でもAFで動かしてみたいではないですか、レンズ内モーター駆動だし。今のニコンは不真面目とは言ってないですから、念のため。
カメラ内モーター駆動AFとは、ボディ内のモーターから出た軸をマウントから突き出して、レンズ側のカプラーにドッキングさせ、フォーカシングのレンズを動かしてAFにしてやろうという方式のことです。ボディ内AFなどとも言われます。
AEロックボタンと新設のAFロックボタン。ボタンの形状が違うけど、AEロックしつつ、AFでもロックしたいというような芸当はできるのでしょうか。
初期のミノルタのαのAFはボディ内AF方式、ニコンもペンタックスのAFもそうですね。ところがキヤノンEOSはレンズ内モーター方式でした。当時のEOSは孤高の存在感がありました。どちらの方式が優れているかなど、当時のカメラ雑誌では論議があったと思います。
ニコンは強気でしたからボディ内AFモーターの方が、絞り込んだ時もコマ速度が落ちないと言ってましたからね、一部の人ですけど。でも、なぜF3AFの方式をやめて、こちらにしたのかは謎ですね。その後のニコンAF一眼レフの経緯、とくにデジタル化されてからのシステムはレンズ内モーターAFの方が主になりましたよね。話が違うじゃねえかよって。
レンズ設計者に言わせると、ボディ内モーター駆動の方は急激にレンズを動かし、急ブレーキをかけて合焦させる。つまりフルスロットル、フルブレーキと同じことをやっているらしく、レンズの合焦精度的にはよろしくないそうです。
厳密にみればそうなんでしょうが、精度の問題を言い出したら、一眼レフの位相差AFの精度なんか、TTL ではあるけど、センサーは変な場所から被写体を睨んでいたわけで、必ずしも良いわけじゃないです。
今のミラーレス機の多くが、撮像面でAF測距を行っているのでこちらは精度が高いです。あ、本題に入らないまま終わりそうなのでこれくらいでやめときますが、F-501のAFを久しぶりに駆動させてみましたら、スピードや精度は辛いけど明るい場所ならば実用になりました。
Ai AFニッコールED200mm F3.5S(F3AF用)を装着。レンズ内モーターAF駆動で撮影が楽しめます。素晴らしい新旧互換。AFの速度は遅いし迷いますが、ま、撮り直せる条件なら大丈夫でしょう。
もしタイムマシンがあれば過去に遡り、キヤノンEOSのレンズ内モーター駆動方式が正しい方向であることをミノルタとニコンとペンタックスのエンジニアに知らせたいところであります。
ちなみにボディ内モーターAFを採用したミノルタ(ソニー)もニコンもペンタックスですら、のちにはレンズ内モーター駆動のAFに寄って行くことになります。
ミラーレス機でカプラー方式のボディ内AF駆動を採用したカメラはないわけです。でもソニーはボディ内モーター用のカプラーのAマウントレンズを、ミラーレスのソニーαのEマウントカメラでもAFが使えるマウントアダプターを発売しています。マウントアダプターの中にモーターを仕込むことで、AFの駆動を可能にしています。感動します。それに引き換え…ニコ…。あ、やめときます。
結局何が言いたいかといえば、ミノルタもキヤノンもAF化にあたりマウントを変更したのに、AFの方式は2通りになってしまったということであります。
マウント内部に設けられたAFレンズ用の電子接点。フォーカシングスクリーンも交換できるみたいですね。格子型のEとかあったのかな。
本題のF-501に戻しますが、ニコンはAF化にあたってもマウントの基本形式に変更がありませんでした。お古レンズも装着可能にしたわけです。だから、カプラー方式AFを選んだ理由の一つかもしれませんが、まあいいか。
F-501のスペックをここでつらつら書いても面倒だし、みなさまも興味はないと思うので、適当にかいつまで書きますね。真面目で興味ある人はご自身で調べてください。
AFセンサーは米ハネウェル社製TCL(Through Camera Lens)センサーを搭載しています。TTL位相差AF方式ですね。ハネウェルはこのあと、ミノルタをはじめ日本の多くのカメラメーカーを特許侵害で訴えました。多くのメーカーは和解したようですが、大変だったんです、AFを一眼レフに盛り込むのは。それにしてもAFセンサーを売っといて、後で訴えるとかありえないでしょう、普通。
AFはシングルAF(S)、コンティニュアスAF(C)と切り替え可能です。同時代のミノルタのαではこの切り替えがなくて、カメラが自動判断しました。これでえらくがっかりした記憶があります。だからF-501がAFモードを選択できることは正しかったわけです。
露出はP、P-DUAL、P-HI、A、Mの設定ができますが、Pモードだけでポジションが3種あります。使い分け方はおおむね想像はつきますが、詳しくはよくわからないので、お使いになる方はご自身で調べてください。
「P」モードが3つあるって、なんでしょうねえ。レンズの焦点距離に応じて自動切り替えにするのが筋なんじゃないのかなあ。
F-501は瞬間絞り込み測光を採用していますので、どのニッコールレンズを使用して撮影してもそこそこには露出精度は高そうです。
あと前回のF-301で書き忘れていたのですけど、バッテリーはホルダーを交換することで単三と単四を選ぶことができます。色々指摘されて思い出しましたわ。F-501は単三ホルダーがデフォルト仕様のようです。F-301は単四なのかな。好きな方選べます。
F-501のバッテリー単三をデフォルト仕様にしたのは、AF駆動にエネルギーを使うからでしょうか。うちにこのホルダーがあったような記憶があるのですが、締め切りまでには見つかりませんでした。すみません。またそのうちに。
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