top コラム推すぜ!ニコンFシステム第37回 かなり長い間、「写真学校指定教材」だった 「ニコンNew FM2」

推すぜ!ニコンFシステム

第37回 かなり長い間、「写真学校指定教材」だった
「ニコンNew FM2」

2023/05/25
赤城耕一

シャッターは電池がなくても制約なく走行します

 

1984年に登場したニコンNew FM2って、かなり長い間、「写真学校指定教材」でありました。現在、写真家として活躍されている中にもお世話になった人も少なからずいらっしゃるのかもしれませんね。しかし、このカメラ、そんなに教材として適しているんですかねえ。筆者にはよくわからんですのう。
 

New FM2登場時にはすでに仕事をしていた筆者ですが、発売後にすぐに購入してお仕事で使い始めました。FE2はあったのに、これはメカニカルカメラへの保険としての期待でしょうね。バッテリーがなくても動くぜ的な。

 


還暦過ぎの年寄りが首から下げるのは、少し恥ずかしくて勇気がいるかなあ。そうでもないか。孫が使わないから自分で使うのさ、とか言い訳しますか。でもよく見るとなかなか綺麗なカメラです。ほら、実用機としてしか考えていないから、カメラ全体のフォルムを見るようなことがないわけです。

 

そうです、New FM2の良さはまずメカニカルシャッターを採用していることなのであります。FE2だとバッテリーの上がりを気にせねばならないので不安神経症になるのではと心配はしておりました。
 

バッテリーはLR44を2個使用します。これはTTLメーターのためだけに必要で、シャッターは電池がなくても制約なく走行します。これは大変けっこうであります。
 

すでに前にも書きましたがFE2で1/250秒シンクロを達成してから、FM2が1/200秒シンクロのままで終わるわけがないと思っていたわけで、予想どおりニコンはNew FM2を用意し、FE2とFAと揃って、1/250秒シンクロとなりました。

 


TTLメーターは使用する場合は巻き上げレバーを予備角の位置に引き出して、シャッターボタン半押しでスイッチが入る仕様です。しばらくするとメーターは自動的にオフになります。久しぶりに電池を入れていじくり回して思い出しました。

 

最高速は1/4000秒で、これはFM2と変わらずですが、毎度お話ししているとおり筆者は最高速シャッターを使用した記憶がほとんどありません。
 

こうやって書いてゆくとメカニカルだからタフネスなカメラのようにも見えますが、外観の雰囲気はコンパクトなことも相まって少々華奢な印象です。
 

実際に報道畑のカメラマンが本機を思い切り使用したらシャッター羽根がバラバラと落ちた、という事例も聞いています。特殊な例だとは思いますがね。

 


シリアルナンバーは背面の右上に。ロングセラーカメラですからねえ、桁も多いような気がしますがどうなんでしょうね。でも往時はプロの多くも使っていたことは確かです。筆者などはF3よりもNew FM2を持ち出すことが多かったんじゃないかな。

 

FE2はAE機だから仕方ないけど、フルメカニカルのNew FM2には外観の印象でもたくましさを望んでしまうのかなあ。ユーザーは勝手なものですね。これで耐久性を高めるために重くなったり大きくなってしまうと文句を言うくせにね。
 

上下カバーは真鍮製ですが、裏蓋の建てつけなんかはもう少し頑張りたかったかなあというところです。FE2と部品を共通にしているところもあり、セルフタイマーレバーとか、プレビューレバーの安いパーツの作りは、コストを少しでも安くしたいという思惑があったからでしょうね。

 


ボディ底部です。モータードライブとカップリングするために接点やら連動軸があります。ここをカバーする蓋とかなかったのかしら。もちろん、フィルムの自動巻き戻しはできないから、蓋がなくてもフィルムの漏光なんかしないと思います。

 

TTLメーターは中央部重点測光。表示は前FMと同じ赤色LEDで「+」「○」「ー」の3点表示方式ですね。
 

いま一度説明すれば真ん中の「○」だけが点灯すれば、適正露光の証というわけですが、「○」と「+」が、「○」と「ー」だけの同時表示ということもあり、この時は1/2オーバーとか1/2アンダーのように判断する必要があります。正確にはどうだか忘れました。
 

「ー」だけ、「+」だけの点灯は適正露出から1段以上露光値がズレているのでしょうね。詳しくは取説をどうぞ。
 

撮影者はファインダー内の表示を見て露出決めてね、ということですが、はいそうですねと、なかなか掌握しづらいところもあります。
 

これも何度もいうとおり、ニコマートELからFEを経て、ずっと似たような形式で続いてきたFE2の表示の方が、露出のズレ量が瞬時につかみやすいのであります。
 

これらは設定シャッター速度の指針とメーター指針を合致させればOKですからね。直感操作も可能です。筆者の場合はFE2でもAE撮影するとはほとんどないというお話もしておりますが参考になりましたよ。

 

写真の基礎を勉強するならやはりNew FM2
 

他のメーカーの話ですが、かつての絞り優先AE一眼レフのペンタックスK2とマニュアル機のペンタックスKXが、内蔵のTTLメーターの表示をニコマートELと似たような指針タイプ方法をとっていたので、けっこうわかりやすかったんですよね。やはりニコンはNew FM2では指針式よりもLED表示を選びましたが、何か意味あったんですかねえ。黎明期の卓上計算機みたいな赤色LEDはときめかないんですけどね。
 

自分が写真学生の時に何をどうしていたかはあまり記憶がないのですが、カメラ内蔵のTTLメーターとかアテにしていたのかなあ。どうだったかな。使用していたのはオリンパスOM-1Nだったけど。
 

仕事を始めたころは入射光式の単体メーターで光を測光することをまず一番としました。
 

先達を見習うこともありましたが、これはもう反射光方式というだけで、被写体の色や反射率の違いで値の誤差が大きくなるというイメージがあったからですね。
 

今みたいにデジカメで撮影してダメなら即時撮り直しみたいな感じにはできないし。
 

次第にNew FM2のバッテリーも抜いて使用するようになりましたね。だから、例によってうちのNew FM2はファインダー内にはメーター表示が出ません。が、本稿執筆にあたり久しぶりにメーターを動作させました。精度はよくわかりませんが。

 


やっと機材庫から出てきましたMD-12。グリップでかいけど、グリップ感が当然いいです。低速シャッターを切る時は連続撮影すると手ブレを防げる時もあり。フィルムもったいねえけど。バッテリーは本体下に入るのでバランスは悪くないですね。重いけどね。動かそうと思ったけど、あいにく単三電池を切らしており。モードラ側のシャッターボタンと本体のメーターのスイッチも連動します。

 

バックシャンというかMD-12を装着した後ろ姿が良いですね。シンプルなカメラの方が仕事できますね。これでフィルム巻き上げが小刻みで可能なら、MD-12は永遠にお休みになったんじゃないかなあ。だいたいEMやFGにできてNew FM2にできないというのはいまだに不満ですね。 

 

もっとも写真学生さんの場合は、写真の基礎を学ばねばなりません。失敗から学べみたいなこともあると思いますが、基礎を勉強するならやはりNew FM2なんだろうなあ。FM3Aがこの後に出てきますが、それまでは現役だったですからねえ。大したロングセラーです。
 

カメラ内蔵のTTLメーターの表示方法とか精度かよりも、学生やビギナーさんには露出の参考になる目安が何もないと困るというのが本当のところだったんでしょうね。

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