1988年にニコンF4が登場する少し前のことなんですが、ニコンF-801が出てきます。
筆者の勘違いで、ウチの仕事場に転がっていたのは、1991年に登場するF-801Sでしたので、こちらを主に話を進めようかと思います。まあ、大勢には問題ないように思います。
電源は単三アルカリ乾電池4本を使います。どこでも売っているのでありがたし。空シャッターを切ろうとシャッターボタンを押したら、空送りのためのモーター音でしょうか、ウーンって音がしました。こういうところも安っぽいです。
F-801とF-801Sの違いは、スポット測光が搭載されていること。予測駆動(動体予測)AFの有無のようですが、後者の違いは実用性から考えるとけっこう大きいですから、興味のある人は801Sを買いましょう。
筆者がF4よりも先にAF一眼レフであることを強く意識したのはF-801が最初でした。アサインメントにも使用していたのですが、改良型のF-801Sが登場すると、すぐに買い替えた記憶があります。やはりF4の予測駆動AFがそれなりの効果を挙げていたということもあったのでしょうね。
それにしても、あらためて調べてみますと、F-801系は中古カメラ店でも人気ないですねー。本日の日替わりランチみたいな価格で売られていたりします。
昨今はまともにウィンドウに並べられているのを見たことないですからねえ。正常に動く個体が少ないのかなあ。評価低くてかわいそう。不憫なカメラです。
でもねF-501、F-401系ときて、F-801系は上位クラスです、今ふうに言えばミドルクラスですよね。その特徴ですが、筆者の判断だと、F-401系に続いて、CPUが入っていないニッコールレンズは装着しちゃイヤ的なニュアンスが全体から漂っていたことです。
もちろんAF一眼レフなんですから、AFニッコールを装着するのがスジではあるのですが、不変のFマウントを採用したからにはそういうわけにはいきません。昔から粘着だったんですね、筆者は。陰湿です。
本機にはF-401系のモデルで省略されていたAI連動ガイドも用意されているのでAIニッコール、ニッコールオートのAI改造なども装着でき、メーターも機能しますが、撮影モードはA(絞り優先AE)とM(マニュアル)のみになります。いよいよ、CPUのないMFニッコールの切り捨てが開始されたと筆者はこの時思いましたが、しつこいようですが、そう簡単には引き下がれないわけです。
AとMモードでの絞り設定は絞り環を使います。他のモードは原則として絞りを最小絞りに設定して、不用意に動かないようにロックしたいですね。
ただ、最高速1/8000秒は筆者にはどうでもいいんですが、F4同様にF-801では1/250秒でのシンクロが可能になったわけですね。筆者は新しいもの好きですから、これでNew FM2とかFE2とか、日中シンクロをするために持ってかなくていいぜと思った記憶があります。
それと重要なのは専用スピードライトのTTL調光の機能向上ですね、F4と同様に精度が向上し、日中シンクロに強くなったわけであります。これはマルチパターン測光を応用したスピードライトの調光機能だと思いますが、F4の登場前に、その制度の高さに感動した記憶があります。
撮影モードはP(プログラムAE)に手厚くて、PD(デュアルプログラム)135mm以上のレンズを使うときにプログラムラインを高速側シフトし、PH(高速プログラムAE)では高速側のシャッタースピードを優先して、動体撮影に主に対応、P(標準プログラムAE)ではノーマルプログラムでした。
撮影モード切り替えボタンとか、ドライブボタンとかISOボタンとか、巻き戻しと多重露光時のボタンとか。コマンドダイヤルとセットで使います。
加えてS(シャッター速度優先AE)、A(絞り優先AE)を搭載しています。これも今ふうにいえばマルチモードですね。
軍艦部からはついにシャッタースピードダイヤルが消えました。LCDパネルを見ながら、コマンドダイヤルで設定せよということでありまして、CPU内蔵のAFニッコールならば、最小絞りに合わせて使うのが基本だからよろしくね、という感じがありました。操作的には必要な機能のボタンを選んで押して、コマンドダイヤルに切り替える手順になります。LCD表示をうまく連動させています。
コマンドダイヤルですね。ボタンと組み合わせて使いますが、表に剥き出しですな。色気は0です。
評価低くてかわいそうと先に書きましたけどね、筆者に言わせれば、デザインはそこそこいい、とくにペンタプリズム周りなんか良い処置です。けれど問題はガワです。ええ外観ですね。もうツルツルのプラスチッキー感が絶望的ですね。
安っぽいカメラは決して嫌いじゃないほう(本当か?)ですが、なんだかF-801系は、それも中途半端な感じなんですよね。
AFの切り替えスイッチです。きちんとAF-S、AF-Cの設定箇所があります。
たしか使用してた個体のうち一台は「Nikon」のエンブレムが擦れて、ところどころ失われ、ものすごくカッコ悪くなり、その箇所が見たくなくて、パーマセル貼ってたような記憶があります。いや、それはF4だったかな。今となってはどちらでもいいけど(笑)。
今回の個体も露光補正ボタンの使用頻度が高かったのかなあ、この部分のアイコンがすり減っております。
メインスイッチですね。左は露光補正のボタンですが使用頻度が多かったのかなあ、すり減っております。
いずれにせよエンジニアリングプラスチックって、ミドルクラスとかフラッグシップクラスの外装に使うと、その質感を長期間に渡り保つことができず、がっかりしますね。長く使うことを前提とされていないんでしょう。ニコンFやF3あたりよりも存在感がどんどん低くなってきますね。
PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。