HOLGA120WPC 思わぬ写真が撮れて面白いです。
先日、ピンホール写真の写真展に行ってきました。ルーニィ247ファインアーツで開催された、針穴写真研究会「第九回 はりけん研究発表展」です。それぞれの作品に独特の味わいがあって、とても良かったなと……。(展覧会は2025年1月30日〜2025年2月2日でした)
ピンホール写真をご存じない方に説明すると、レンズがなく、針で突いたような小さな穴から、そのままフィルムに光を当てるという方法で撮影します。全体がほわっとしていながらも、ピントは均一にあたり、どこか夢の中のような不思議な感じに撮れます。
わたしはこのピンホールカメラがとても好きです。(過去記事はこちら →https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=192)ですがこのピンホールカメラ、わたしの中ではブームが数年おきにやってくるような感じです。ピンホールカメラばかりメインでは撮らないのですが、限りなくシャープなデジカメの写真や、適正露光でピントもきちんとあたったフィルムの写真を見続けていると、バケツに雨粒が溜まるようにだんだん、ピンホール欲が溜まり、撮りたくなってくるような気がします。
フィルム写真始めたいけど、きちんと整備された一眼レフなどは高い……! と思っている方は、一つの選択肢として、ピンホールカメラという手もあります。なにしろレンズがないために価格は抑えめ。(……と思いましたが、今検索すると、 HOLGA120WPCも、けっこう値上がりして驚きました。買った当時は数千円だったのに!)
気を取り直して、きょうはこちらのHOLGA120WPCパノラミックピンホールを中心に紹介していきたいと思います。
パノラマカメラでは必須の水準器がついています。
このHOLGA120WPCパノラミックピンホールは、6×12か6×18のパノラマ具合が選べるようになっています。6×12というのは、6がフィルムの幅(縦)、12がフィルムの長さ(横)ということで、ちょうどフィルムの比率は1:2となります。 1:3の比率も捨てがたいのですが、1:2だと6枚撮れるので、そうしています。フィルムの巻き上げは背面の赤窓で確認できます。わたしはすぐ忘れるので、フィルムを止める場所を裏に書いて貼っています。赤窓は塞いだ方が裏から露光しないので、巻き上げの時以外はパーマセルテープで塞いでいます。ちょっと手作り工作感が強いのですが、これで準備は万端です。
HOLGA120WPC の背面。書いてあるのは、フィルムをどこで止めるかです。
あと、ホルガシリーズではおなじみなのですが、お弁当箱のような作りで、留め具も比較的素朴なものなので、どうこうしているうちに、途中でパカッと開いてしまうことがあります。そうなれば台無しです。それを防ぐために髪ゴムで留めています。
レンズ脇にあるのがシャッターです。レンズ方向に押し込みます。
シャッターを押したところ。押している間は開きます。中央にある穴がピンホールとなっています。
今回はロモの、ロモクロームカラー‘92 ISO400を使いました。
フィルムを装填したところ。ピンホールカメラとは言っても、このあたりは通常のカメラと同じです。
赤窓は露光しないようにパーマセルで塞いでおきます。(確認のときだけ日陰で開ける)
赤窓から、フィルムカウンターに 1 が出たことを確認します。
三脚に据えてシャッターレリーズを使うと本格的ですが、わたしはピンホールカメラを地面か壁、手すりや机に置いて気軽に使うのが好きで、シャッターも手で操作しています。露出計は、例によってピンホール用の露出計アプリ「針穴露出計」を使っています。きちんとした秒数をカウントしてくれるので、とても便利です。本体のカメラを動かさないように注意して、シャッターを指定の秒数操作します。街角でピンホールカメラを据えて撮っていると、なにかこう、空間を数秒間切り取っているような気持ちになり、おもしろいです。
便利なアプリ、「針穴露出計」は、ピンホール写真撮影時の必需品です。
異世界風に写ってはいますが、王子駅の裏の人通りの多い道です。(HOLGA120WPC,Lomo Chrome color ’92)
できた写真はこちら。いかがでしょうか。レンズがないのにもかかわらず、思ったよりも鮮明な像が出ていると思いませんか。ここは日中の王子駅、たくさんの人通りがありましたが、動いていたので写っていません。この、人があまり写らないというのも、街をゴーストタウンのように撮ることができて面白い。反対に、写真に人を写したいときは、露光時間の間、動かずにじっとしてもらうと写ります。大体の感覚ですが、明るい日中だと1秒、室内だと7秒などといったところでしょうか。
カメラ自体の原理は簡単で、缶などの光を通さないものに、真円にちかい穴をあけます。あとは、中にフィルムを固定して終わりなので、器用な人なら自作カメラも作ることができます。デジタルでも、レンズキャップに穴をあけることでピンホールカメラとして使えるそうです。鮮明な写真もいいですが、たまにはフンワリとした写りのピンホールカメラも楽しんでみたらいかがでしょうか。
どこだと思いますか? 品川のコンコースです。人はもちろんたくさん通っていましたがこのとおり、無人です。(HOLGA120WPC,Lomo Chrome color ’92)
品川駅構内。じっと待っている人は写りました。(HOLGA120WPC,Lomo Chrome color ’92)
品川、キヤノンギャラリーの近くから渡り廊下を望む。(HOLGA120WPC,Lomo Chrome color ’92)
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