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本日のマイカメラ

第14話 トプコン35-L

2022/11/22
柊サナカ

トプコン、東京光学には思い入れがあります。三葉堂写真機店で見せてもらったのが、M42マウント改造がなされたレンズの、REトプコール58mm F1.4 で、少し店頭で貸してもらって、数枚試写させてもらいました。現像したら、あまりに立体感ある写りに驚き、お店でも「このレンズ本当に写りがすごいんですよ」と教えてもらって、金策に走って数日後。「あのトプコール、まだありますか?」と聞いたら、タッチの差でもう売れてしまったとのこと。無いとなると、余計欲しくなるものです。


その後、REトプコール58mm F1.4つきの、トプコンREスーパーを買い、ようやく数年越しの物欲にけりが付いたのでした。

 

トプコンと言えば、わたしはお世話になった人に、ライカ用トプコール35ミリのファインダーをもらって、それが大きくてものすごく見やすいので愛用し、喜んでバルナックライカに付けていたことがあります。ところがそれを見たライカ至上主義原理者に、SNSで絡まれ、ライカにライカ以外のファインダーを付けるなんてライカが可哀想、とまで言われて、ものすごく嫌でした。数年経ちますが、今思い出しても、石でもぶつけたいくらい嫌です。


ライカはライカで良いですが、東京光学を、まるで安価なまがい物のように言われたこと自体に、怒り心頭でした。かの人に東京光学の何がわかる。古くは海のニッコー、陸のトーコーと呼ばれた、誉れ高い東京光学のファインダーですよ? 


人の機材を不用意にけなすことは、大名行列の前を横切るのと同じくらい罪が大きいとされていますが、あまり怒ってばかりもいられません、今日は私の新しい愛機、トプコン35-Lを紹介しなければ。

 

東京光学のロゴも美しいです。

 

ファインダーの明るさを、写真でお見せできないのが残念です、カメラ店で見かけたらぜひのぞいてみてください。

 

こちらのトプコン35-L、実は、もうフィルムカメラを引退する方から、よかったら使いませんかと、いただいたものです。一眼レフのトプコンばかり調べていたため、いただくまで、こちらのトプコン35-Lのことをまったく知りませんでした。わたしは角形フードが大好きなのですが、そのトプコン純正角形フードまでついており、嬉しい。


こちらは、レンズは交換できない、レンジファインダー型のカメラです。わたしはしょっちゅう中古カメラ店やカメラ市に行きますし、トプコンは好きで探していたはずなのに、このトプコン35-Lを見かけた印象が、あまりありません。トプコンと言えば、あのカクカクした超合金ロボみたいな形のカメラ、という先入観があったからでしょうか。

 

外観はクラシックな雰囲気で、正面から見えるファインダー部分が金に輝いています。このファインダー、二重像を合わせるタイプですが、すごく見やすい。ライカM3のファインダーもそりゃ小躍りしたくなるくらい明るいですが、このトプコン35-Lだって、この見やすさは、ひけをとりません。製造年も1957年、ライカM3(1954年製造)とそんなに変わらないのに、東京光学の人たち、頑張ったんだな……と胸が熱くなりますね。


ファインダーの金色に合わせて、ヌメ革のハンドストラップを付けました。

 

上から見ても美しいデザイン。

 

巻き上げは二回巻きというのもいいですね。私はロシアカメラが好きで、ギシギシ言ったりするカメラも好んで使います。生きてる感じがすごくして好きです。


トプコン35-Lは、知らないカメラだったので、どんな感じかな、ギシギシなのかな、と思いきや、その動きのなめらかさに驚きました。

 

フィルムの巻き戻しだってすごいんですよ、上に引き出せば、持ちやすいノブがスッと上がってきます。たまに指から血が出そうになる、堅い巻き戻しのカメラも使いますが、トプコン35-Lの巻き戻しノブは径が大きいため、とても操作しやすい。なぜわたしは、今までこのトプコン35-Lを知らなかったのでしょう……。

 

フィルム巻き戻しノブが上がることで、とても巻きやすくなっています。

 

一つ慣れなかったのは、フィルムカウンターが減算式だということ。わたしは最初、あたりまえにゼロに合わせたものですから、気がついたらありえない数字で止まっていて焦りました。フィルムを入れて、始めに36枚にカウンターを合わせて、一枚ずつ減ってゼロまで、となるようです。それもまた、合理的と言えば合理的ですよね。

 

シャッタースピードが、1/500秒、1/250、1/100、1/50、1/25……2、1、Bです。シャッタースピードが最高1/500秒というのが時代を感じますね。レンズはトプコール4.4cm、50ミリよりは若干広く、使いやすそう。絞りはf2、f2.8、f4、f5.6、f8、f11、f16で、驚いたのはその写りです。フィルムはコダックの100、暗いバス停からf2、手持ちだったため1/50秒で夜の雨、ネオン光る駅前を写しても良い感じになりました。


これに気をよくして、花を撮ってもすごい立体感だし、道端のスナップも良い感じだし、一気にこのトプコン35-Lが好きになりました。これは良いカメラだ……。

 

1/500秒が一番速いシャッタースピードです。

 

トプコン35-Lのレンズ。

 

雨の赤羽。(TopconL-35,Topcor44mm F2,f2,1/50,kodak100)

 

バルボフィラムという、手の形をしたラン。(TopconL-35,Topcor44mm F2,f2,1/50,kodak100)

 

操作感も合わせて好きになったので、今後、積極的に持ち出して撮りたいなと思います。時代を合わせて、モノクロフィルムで撮るのも面白そうです。


最近、妙に特定機種のカメラが高騰しがちですが、まだまだいいカメラはたくさんありますね。J-カメラでも検索してみてください。

 

暗室喫茶アウラ舎。(TopconL-35,Topcor44mm F2,f2,1/50,kodak100)

 

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