top コラム本日のマイカメラ第41話 insta360 X4を、インドア派の小説家が使ってみる

本日のマイカメラ

第41話 insta360 X4を、インドア派の小説家が使ってみる

2025/02/11
柊サナカ

Insta360 X4。わたしはバレットタイム撮影用のミニ三脚と、自撮り棒(最大85cmまで伸ばせる)がついたセットを購入しました。レンズガードもつけました。

 

みなさんはアクションカム系のカメラをお使いでしょうか。
 

そもそもアクションカム、ウェアラブルカメラのはしりがGoPro。創業者はサーフィン好きで、自分のサーフィン姿を撮りたいのに、従来のカメラではうまく撮れなかったことから開発が始まったらしいですね。要は、自らのかっこいいアクションを撮るために作られたカメラ、ということです。
  

さてわたくし、寒がりで冬には少しも動かず、家の中でぬくぬくと本を読んでいるような陰気な小説家なのですが、何を思ったか家族旅行でスキーをすることになりました。わたしは瀬戸内海地方の生まれで、雪がほとんど降らない地方に育ったため、スキー文化をまったく知らずに育ちました。やったのは高校での修学旅行の数時間のみです。
 

でもまあ、スキーに行くならアクションカムが要るな、と思って、いろいろとリサーチし、insta360 X4を購入しました。こちらのコラム(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=4276)でも書いたとおり、「家族旅行では自分が写真係のため、自分の写真が少ない問題」を解決するには、やはり広角、どうせなら360度カメラがいいと思ったのです。

 

Insta360 X4。手のひらに握りこむと、先が少し出るくらいのサイズ感です。

 

insta360 X4はレンズを守るカバーなどのアクセサリーも充実。

 

スキーのかっこいい映像を撮るべく、スキーストックに付けるアダプターも購入、準備は万端、見えない自撮り棒を片手に、さあ華麗に滑ろう……と思ったのですが、いざスクールに入ってスキー板を履き、斜面に立ってみると、(こんな滑る斜面の上に、板に乗って立つのはどうかと思う)と絶望し、リフトでは転び、傾斜がきつくなると、上半身はその場にとどまりたがるのに、下半身だけが前に進んでいって転び、脇の雪に深く埋まり、転んだら起き上がれずで大汗をかき、カメラどころではなかったです。そんなわけでわたくしの華麗なスキー姿の映像はありません。次回にご期待ください。
 

裏面には液晶画面があって、タッチ操作できます。
■)スキーの動画はありませんが、柊がノソノソと、たんばらスキーパークを歩く映像ならあります。映像はぐるぐる動かせますのでよかったら。自撮り棒、本当に消えてます。不思議ですね。
https://cloud-jp.insta360.com/share/jp/2z1i6f7D2f1C4D5O3997887488

 

じゃあinsta360 X4は無駄な買い物だったかと言うと、スキーには使えませんでしたが、これがぜひ、みなさんにおすすめしたいカメラとなりました。
 

360度カメラというと、わたしはずっとリコーシータ(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2420)を愛用しています。リコーシータは、360度カメラの始祖。簡単操作で、撮った写真を後からぐるぐる回せるのがたいへん面白かったです。超広角の写真が撮れるのに重宝し、主に静止画を撮ることに使っていました。ただ、わたしが使っていた当時は、リンクをクリックしてもらわなければ、せっかくの360度の写真をお見せすることができなかったのです。
 

insta360 X4は同じ360度カメラなのですが、思想が少し違っていて、まずその場の全ての映像をあまさず記録しておき、あとから好きな部分だけを抜き出して編集する、という使い方ができます。具体的に言うと、家族で車に乗って旅行に出発。助手席で自撮り棒をつけたinsta360 X4を構えて(棒を支えて)おく。そうすると、前方の道、横の風景、運転する夫、自分の顔、後部座席の子供たち、車内の会話や音楽が全部鮮明に映せます。
 

アプリでの編集操作も簡単で、機械がそれほど得意でないわたしでも、その場でできました。撮れた360度の映像を編集するときに、好きな向きにスマホ自体を向けるだけでいいのです。(運転席を画角に収めたいときは、運転席の方向にスマホの画面を向けると、360度の映像もそちらを向く。誰でも感覚的にわかるようになっています)。誰かが何かをしゃべったら、その方向に合わせる。道の先に何か見つけたらそちらを向ける、というように、insta360 X4が一台あると、旅行道中の映像も、とても楽しめるものになります。
 

車の助手席でinsta360 X4の自撮り棒を支えておくと、車中360度の映像がすべて記録されるわけですが、360度で、どのくらい撮れるのか編集画面から切り出した画像でお見せします。まず車の前方。

 

そして運転席。編集画面で、スマホを運転席側に向けるだけで映像も移動します。

 

自分も後部座席も写っています。

 

外の様子も写ります。これらを自由に組み合わせて、動画を作ることができます。

 

自撮りなんているのかな?……と思っていましたが、今まで撮り手の人間が映っていなかったような場面でも、一緒に映像の中に収まっているのはなかなかよいものです。お子さんが小さい人なんかは、撮っておくと将来「お父さん、このときは髪ふさふさだったんだね」と盛り上がるかも知れません。
 

スマホへの転送も、充電中にWi-fiに接続しておくと、勝手にスマホへの転送が済んでいるという手軽さがいい。そんな映像ばかり撮って記憶媒体がすぐにいっぱいになるのでは?という心配も、insta360のクラウドストレージ使用、(200GBが年間3,320円)で問題ありません。
 

旅行にも大助かりなのですが、insta360 X4はパーティー等でも使えます。先日の某パーティーでの様子をご覧ください。これはわたしがバレットタイム撮影をしているところです。自撮り棒を二つ組み合わせ、ぐるぐるぶん回すことで、スローモーションで画面が回る、映画のような表現ができます。何人かに回してもらえば、それを繋ぐことでも楽しい映像になると思います。(ガジェット好きの皆様は、けっこうみなさんぶん回してくれるので面白い)

 

こちらの三脚を直角になるような向きで接続すると、バレットタイム撮影用の回るハンドルに変身。

 

 

こちら、某パーティーで僭越ながらバレットタイム撮影をするわたくし。カメラをぶん回しています。

 

不思議な光景。なかなか楽しい。

 

よく、パーティーの撮影係なんて言うと、自分はまったくご飯が食べられないほど忙しかったりするものですが、パーティーのテーブルにinsta360 X4を三脚で立てておくと、放置しておいてもその場のすべてが写ります。あとで編集して一人一人の表情を映したり、料理を映したり、テーブル全体の様子を俯瞰で見たりと言うこともできます。
 

この、全方位をとりあえず動画で撮影しておいて、後で好きなように編集するというやり方は、カメラ好きのみなさんにぜひ体験していただきたい。わたくしには目からウロコの新体験でありました。
 

じゃあこれは動画のみで使えて、カメラとしてはあまり使えないのか? とカメラ好きの読者のみなさまは気になっているところだと思います。カメラとしての機能はどうなのかを試してみましたので、ご覧ください。5秒カウントで撮影が始まります。自撮り棒を立てて撮影したのがこちらです。360度カメラでおなじみの、ぐるぐる回る写真としても楽しめますが、編集して、写真としても楽しむこともできます。小惑星、メガビュー(超広角よりも広角)、超広角、デワープ(ゆがみ無し)等々です。
 

あと、意外に、insta360 X4の自撮り棒を長くして街を歩いていても、特に注目されないことに驚きました。たぶん、歩く人の目線のずっと上にカメラがあるので、視界に入らず、それほど気にならないのだと思います。

 

こちらが見えないinsta360の自撮り棒です。映らないので、ドローンで撮影したような映像が撮れます。

 

insta360 X4を使ってみて気になった点を挙げるとすると、さすがに電池の保ちは従来のデジタルカメラよりはよくありません。ずっと撮り回っていると、環境にもよりますが一時間半とか二時間程度でバッテリーが切れます。長時間撮影したい方は、複数のバッテリーの準備が必要です。わたしも旅行の間、道中で電源が切れてしまったのですが、それでもモバイルバッテリー等で給電しながらも撮影できるのはよかったです。
 

あと、全方位が映っているので、気の抜けた自分の真顔も映っています。(わたし、気を抜いたときって、こんな顔と体型なんだな……)と、どんよりしました。中年には厳しい。でも編集でどうとでもなるので、気にしないことにします。
 

まったくアクションしない人間が買っても十分楽しめるinsta360 X4、家族旅行にはもちろん、趣味のドライブやツーリング、登山やキャンプ、海遊びなどにも楽しく、一台買って損はないと思います。自分が景色の中に映りますから、一人旅の思い出作りにももってこいですよ!
 

今後PCTの写真に超広角が混じっていたら、ああ柊はinsta360 X4を活用しているな、と思っていただきたい。さっそく次の取材にも持っていきます!

 

 

こちらは静止画の写真を360度撮影で。
https://cloud-jp.insta360.com/share/jp/2w14627Z2b049J6i8691748864

 

同じ角度で「小惑星」独特な雰囲気に仕上がります。

 

同じ角度で「メガビュー」かなり湾曲して広角らしい仕上がり。

 

同じ角度で「超広角」広角ですが、メガビューよりも歪みません。

 

同じ角度で「デワープ」こちらは歪みがありません。

 

関連記事

PCT Members

PCT Membersは、Photo & Culture, Tokyoのウェブ会員制度です。
ご登録いただくと、最新の記事更新情報・ニュースをメールマガジンでお届け、また会員限定の読者プレゼントなども実施します。
今後はさらにサービスの拡充をはかり、より魅力的でお得な内容をご提供していく予定です。

特典1「Photo & Culture, Tokyo」最新の更新情報や、ニュースなどをお届けメールマガジンのお届け
特典2書籍、写真グッズなど会員限定の読者プレゼントを実施会員限定プレゼント
今後もさらに充実したサービスを拡充予定! PCT Membersに登録する