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柊サナカのカメラ沼

第36話 旅行に何ミリのレンズを持って行くか問題

2024/09/03
柊サナカ

今回の旅行に持って行った四台のカメラ。どれにも良さがあります。左上から、ローライ35T、右上はフォクトレンダーベッサL、左下がペンタックス 17、右下がリコーGRⅢ(ブラックミスト付き)です。

 

我が家の写真係というとわたしで、行事や旅行のたびに大活躍……、かどうかはわかりませんが、いろいろと写真を撮ります。
 

わたしが家族の写真係となってから五、六年が経過しました。自分の趣味の写真とは別に、家族の記録写真という側面もあります。あと、いろいろ増えた機材を存分に活躍させられる機会でもあります。今年の夏は山形に旅行に行ってきましたが、結局カメラ四台を持って行くこととなりました。
 

軽いハイキングにも行くということで、今回、中判は泣く泣く置いてきました。厳選した四台はリコーGR Ⅲ、ローライ35T、PENTAX 17、フォクトレンダーのウルトラワイドヘリアー12mmをつけたベッサLです。小さくて軽くよく撮れるものを選びました。
 

どれもそれぞれ活躍して、持って行ってよかったと心から思いましたが、この中で意外に活躍したのは、自分でも意外だったのですが、ウルトラワイドヘリアー12mmをつけたベッサLでした。

 

活躍したフォクトレンダーベッサL。ファインダーはウルトラワイドヘリアー12mm用で、なかなかなくて探し回りました。目立つ形です。

 

斜めから見ると特徴的な12mmレンズとファインダーの形がわかります。

 

後ろから。とても見やすいです。

 

ちなみにベッサLにスーパーワイドヘリアー15mmを付けた記事は、こちらにありますのでよかったら。山歩きに最適です。(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2393
 
そんな12mmなんて広すぎて使いづらくない? と思う向きもあるかもしれませんが、先日、写真展でお会いした、カメラ好きの方がこのウルトラワイドヘリアー12mmを使っていて、それもなんとバルナックライカにつけていたのですね。それでどうしていたかというと、レンズを自分の方に向け、「さあみなさんも入って入って」と言われて、みんなでその方を囲みました。自撮りに参加させてもらったというわけです。
 

その方は、「カメラを持ってると、自分で周囲を撮ってばかりで、自分自身の写真ってなかなかないですよね。12mmで自撮りするとその場の状況全部が入るし、その場のみんなで写ると構えずにすごくいい顔になる」と言ってらして、心底、「なるほど!」と思ったのです。
 
そういえばここ数年間、わたしは家族の写真を撮りまくっていますが、わたしの写っている写真は数が少なめで、あっても家族のスマホの写真で、まあそれはわたしが撮影しているからに他ならないのですが、家族の思い出に自分が少ないというのも……と気にしていたのです。

 

恐縮ですが自撮りの例をお見せします。お寿司屋さんで撮りました、店の様子までこのように写ります。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF5.6, 1/60秒)

 

広角自撮り、傾けるとすごく歪みます。まあこれも経験として……。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF5.6, 1/60秒)

 

広角自撮りで歪んでないものがあまりないので、旅行中の、しかもパック中の写真ですみません。このように両手で構えるのが一番ゆがみが少ないようです。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF5.6, 1/60秒) 


このウルトラワイドヘリアー12mmはすごくて、なにせ12mmなので、テーブルは隅々まで写る、料理も写る、人も全員写る、だけじゃなくて店の全体の雰囲気まで、すみずみ入ってしまうという恐るべき広角っぷり、テレビの形みたいな特徴的なファインダーも手に入れたので、「みんなこのテレビみたいなところ見てねー」というとしっかり注目、自撮りしたら自撮りの自分もちゃんと写ります。なによりちょっと楽しいです。

 
一つ注意点があるとすれば、広角で自撮りするときにカメラを傾けると、ものすごくゆがみます。持つなら水平に持つ必要があります。12mmをお使いの方も確かそうやっていたように思うのですが、両手でカメラを持ってまっすぐに上げ、後ろに並んでもらう感じで一番ゆがみなく写ると思います。今回片手持ちが多く、自撮り本人はめちゃくちゃ斜めに歪んでおりますがそれもまた思い出……。
 
でも湖や山に行ったときに、やはり12mmがあると広々と写って本当に気持ちよく視界全部のものが写ります。よく人間の視野は50mmのレンズに近いと言われますが、広いところに出てウワァーとなっているときの視界は12mmくらいじゃないかと思っています。

 

ワイナリー、カーブドッチ。広がりのある風景は12mmだととても気持ちよく写ります。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF5.6, 1/1000秒)

 

どのくらい広く写るか比較してみたいと思います。こちらは12mm。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF5.6, 1/1000秒)

 

今度はリコーGR Ⅲで撮りました。こちらは28mmですので広角ですが、それでも雰囲気が違いますね。リフトなのでもちろん距離も同じです。(GR Ⅲ, 絞りF2.8, 1/1000秒, ISO100)

 

同じく湖、こちらは12mm。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF5.6, 1/1000秒)

 

今度はGR Ⅲで同じ湖を撮りました。どちらにも良さがあります。(GR Ⅲ, 絞りF5.6, 1/500秒, ISO100)


あと、実家にある昔のアルバムの写真って、背景の情報が面白かったりしますよね? 車がレトロとか売店の値段がすごいとか、昔の家が懐かしいとか。わたしは趣味の写真ではよく背後をボケさせますが、それはそれ、家族の旅行を撮るときにはパンフォーカスで、すみずみきっちり写る12mmが面白いのではないかと思います。
 

というわけで、ウルトラワイドヘリアー12mmは、これからも旅行に必ず持って行くレンズとなりました。
 

雄大な景色から自撮りまで(?)万能な一本、いかがですか。(Voigtlander bessa-L, Voigtlander ULTRA WIDE-HELIAR12mm F.5.6, 絞りF8, 1/1000秒)

 

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