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柊サナカのカメラ沼

第54話 RICOH GR IV Monochrome体験会で、モノクロ写真を考える。

2026/02/03
柊サナカ

艶消し黒の外観も美しいGR IV Monochrome。

 

2026年1月15日、原宿のGR SPACE TOKYOで行われた、GR IV Monochrome体験会にお邪魔してきました。率直な感想を言わせてもらえば、わたくし、GR IV Monochromeが、かなり欲しくなっています。GR IV Monochromeは、その名の通りモノクロしか撮れません。参考価格は税込283,800円。

 

GR IV Monochrome体験会の様子。皆さま興味津々です。写真家の方もたくさん来られていました。ギャラリーでは、GR IV Monochromeで撮られた「Monochrome」展を開催中。木村和平氏、Tomas H Hara氏、Rikard Landberg氏による美しい作品が並びます。同じモノクロでも写真家により表現はまったく違い、大きく伸ばした時の美しさは格別です。 

 

柊はそれほどまでにモノクロ大好き人間なのか、と言うとそうでもありません。SNSに載せる写真は9割がカラー、しかもデジタルカメラでモノクロ写真を撮ったことは、ほぼありません。モノクロ写真はフィルムカメラで撮っています。フィルムの銘柄もほぼ決まっていて、イルフォードデルタ3200か、長巻きのイルフォードデルタ100を詰め替えるのが常です。
 

なぜフィルムカメラではモノクロで撮るのかというと、暗室に入ってプリントするのがとても楽しいからです。(→https://photoandculture-tokyo.com/contents.php?i=2279
 

ちょっと話はそれますが、前にSNSで、モノクロぶつかりおじさんを見かけたことがあります。それは、モノクロ写真を掲載している人に、「なぜモノクロで撮るのですか、カラーの方がいいと思います。その理由を教えてください。モノクロ写真の良さがさっぱりわかりません。理論立てて説明してください(長文略)」とコメントして、議論をふっかけて回るという人です。わたしは見かけて0.2秒でブロックを済ませ、そのモノクロぶつかりおじさんを視界から消し去りましたので、その後のことはわかりません。今もそうやってモノクロ写真を見ては意見して回っているのかな……、と思います。
 

でもそのモノクロぶつかりおじさんの「なぜモノクロで撮るのですか」という問いはずっと頭の中に残っていました。なぜ人は、モノクロで写真を撮るのでしょう? フィルムなら暗室作業が楽しいから、という理由がありますが、暗室のないデジタルカメラで、モノクロを撮る意味は?

 

実機を自由に楽しめるタッチアンドトライコーナー。触ってみると、新鮮な驚きがありますのでGRユーザーもまだお使いでない人もぜひ。 

 

そんなことを考えながら行ったGR Monochrome体験会。
 

わたしはGRシリーズが好きで、フィルム時代のGR1から使っています。今でも仕事に、プライベートに一番使っているカメラです。(ちなみにこのPCTの記事の物撮りと取材にもすべてGR Ⅲxを使っています。業界歴数十年のベテラン編集の方もGRをお使いだとか)
 

愛機であるGR Ⅲxにも、モノクロのモードがあるのですが、正直なところ、今まであまりモノクロを撮ってはいませんでした。なぜなんだろうとよくよく考えてみると、わたしが写真を撮るときには、今日はモノクロを撮る。この日はカラーで撮る。と、いつもはっきりと決めてから出かけていたように思います。
 

カラーとモノクロとで、被写体探しも、注目する場所も違ってきます。カラーで撮る日は色合いが楽しいものを、モノクロで撮る場合は光と影と質感が面白いものをというように。わたしはGR Ⅲxのカラーの解釈がとても好きです。だからカメラ側で、途中でカラーとモノクロを器用に切り替えて使うことをあまりしなかったのかな……と。

 

すっきりとした上部デザイン。GRユーザーならすぐに手に馴染むはず。 

 

レンズ部分にご注目。赤フィルターが物理的に出てくるのは気分が上がります。

 

このカメラはモノクロを撮るためのカメラだ、と思って出かけると、見える景色も変わってくるように思います。実際、触ってみたGR IV Monochromeは、モノクロの表現をグレイニー、ハイコントラスト等切り替えることができ、印画紙や暗室でのフィルターの組み合わせを変えたときのように、実に細かい表現が可能になります。白から黒の間に無限のグラデーションがあるような感じでしょうか。粒状感も自在です。赤フィルターだって物理的に出てくるのがいい。
 

暗室ワークは、わたし自身とても好きなのですが、成功に至るまでには様々な関門があり、露出の不足やフィルムの現像失敗など、自分の思ったとおりにいかないことが多々あります。それがひとつの面白みではあるのですが、イメージしているモノクロ写真があるのに、成功しないという、もどかしさを感じていました。
 

でもこのGR IV Monochromeがあったらどうでしょう? もっとモノクロ写真自体の表現を楽しめるのではないでしょうか。昔、暗室によく入っていたけれども、遠ざかってしまった方にも強くおすすめしたい。

 

イメージコントロールのハイコントラストで撮ると、テーブルの木目の陰影もコントラストが強くなり、かつては生きていた木材の生命感を感じませんか。

 

電球を撮ってみました。美しい光芒と粒状感が、撮っていてとても楽しかった。この感じはフィルムのイルフォードデルタ3200で夜間に撮った時にとても似ています。

 

同条件でこちらはソフトで撮影。雰囲気ががらりと変わります。 

 

趣味性の高さゆえに、GR IV Monochromeは、万人が持つカメラではないかもしれませんが、iPhoneでもそれなりのカラー写真が撮れてしまう今こそ、あえてモノクロに特化したGR IV Monochromeは面白いと思います。大きく引き伸ばして壁にモノクロ写真を飾るのも楽しそう。カメラがこれだけたくさんある中で、ちょっと鞄から出てきたのがGR IVモノクロームだったりしたら「おっ」となりますよね。わたしはなります。お財布と相談です。

 

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