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柊サナカのカメラ沼

第38話 カメラが壊れた!

2024/11/05
柊サナカ

壊れてしまったライカM3。シャッター幕があるべきところに幕がありません。巻き上げも何も動きません。困った!

 

さて久しぶりにライカM3を使おう……と思っていたら、巻き上げができなくなっていました。いろいろ触ってもどうやっても動かない。見ればシャッターの幕がない。なんてことだ……! 最近M4ばかりを使っていたから、へそを曲げたのかも知れません。カメラは、季節ごとに防湿ボックスを開け、シャッターを切って一つずつ点検するようにしていますが、たまにこんな不調に出会います。カメラが趣味だと、避けられない悩みだと思います。
 

さて、みなさんはカメラが故障してしまったとき、どうしているのでしょうか……。
 

わたしの最初のカメラの故障は、夫が持っていたGR1を、「使っていないならカメラが傷むから、わたしが使ってあげてもいいよ」みたいなことを早口で言い、我が物としたときのことです。できた写真を見るとムラがあり、どうも光漏れしている様子。GR1はフィルムのところにフィルムの種類を見るための窓があり、遮光をするためのスポンジみたいなモルトが囲むようについていて、そのモルトが経年劣化でヘナヘナになっていたのです。形はあるので大丈夫かな、と思っていましたが、そうではなかったよう。
 

最初の最初で、カメラについてあまり知らず、カメラの知り合いもまだあまりいなかったものですから、大手写真DPE店の受付で修理を申し込み、そのまま預かりとしてもらいました。ところが、「修理はできません」と言ってそのまま戻ってきたので大困り。なにぶんGR1というと古い機種なので、無理と判断されたのかもしれません。そこで別のDPE店にお願いして、修理の人につないでもらい、綺麗に直してもらったのでした。
 

カメラに慣れた今なら、一ヶ所のモルト交換くらいなら自分でできたなあと思いますが、そこは初心者だったので、プロにお任せしました。

 

リコーGR1は、裏蓋の穴の周りを取り巻くモルトが経年劣化していました。古いモルトはもろもろに崩れたり、ねとねとしたりして困りますね。

 

あと、カメラの故障と言えば、初期不良というのもあります。ライカⅢfの最初の現像、わくわくしていたら、どうもネガの同じところに光の点がある。これは! と思ってネガとⅢfを買ったお店に持っていったら、シャッター幕の一部に本当に小さい隙間ができていて、それが悪さをしていたようです。
 

この場合、お店を責められません。フィルムカメラはフィルムを現像するまで、異常があるかどうかわからないからです。お店に陳列している間に、少しずつシャッター幕にゆるみが出たりということもあるかもしれません。お店でも快く、無料で修理してくださいました。
 

わたしがフィルムカメラはなるべく専門店で買った方がいいですよ……というのは、初期不良に対応できるどうかというところにもあります。

 

ライカⅢf。中のシャッター幕を新しいものと交換してもらって、今はまったく問題がありません。なにぶん古いものですから不調はありますね。 

 

他にも、別のお店ですが、ライカのビゾフレックスの初期不良もありました。こちらは実物を見ず、通販で買ったのですが、いざライカに付けてみると、ミラーが上まで上がりきらず、こちらは返金となりました。中古カメラでは、こういった初期不良、わりとあることのようです。
 

フリマサイト等でフィルムカメラを購入すると、フィルムで現像してみるころには、取引の相手とは連絡が取れなくなっていることが多々あります。最初の一台だったりしたら絶対に困るので、良い修理先のあてがないなら、カメラはやはり専門店でのご購入をおすすめします。

 

(これは余談ですが、修理から戻ってきたカメラから独特の臭いがして、もしかしてヘビースモーカーの修理士さんだったのかな? と思っていたら、それは接着剤の一種の臭いだったことがわかりました。わたしは煙草を吸わぬものですから、すっかり煙草の臭いだと勘違いしていたのです。仲良しの修理士の方に聞いて、臭いの原因がわかった次第です。風通しのいいところに置いておくと、一日くらいで臭いは消えました。接着剤の臭いを知らぬ方が「ひどい! 修理したカメラに、煙草の臭いがついてるんですけど!」とクレームを入れないように、自分の反省も込めてここに書き残しておきます……)

 

ビゾフレックスⅡ(こちらは返金対応してもらい、別のものを買い直しました。こちらも問題ありません) 

 

あと、こんなこともありました。ライカM4を旅行に持っていき、旅が終わって、最後の電車で気が緩んだのでしょうか、立ち上がると同時に膝からライカが落下、ガシャンと嫌な音が響き、わたしはその場で電車の床に倒れライカを抱いてオイオイ泣いてしまいそうでしたが、そこは大人なので我慢して、スッ……と拾い、立ち去りました。歩きながら見ると、巻き上げノブが曲がって動かない。
 

わたしは小心なものですから、(壊れた……)(なぜストラップを確認しなかった……)(なぜ……)と、ふらふらになり、半べそで具合を悪くしながら懇意の修理士の方に連絡、直していただきました。あとベビーローライも使い始めでルーペを壊しちゃったことがあります……。

 

落としたライカM4。ストラップをきっちり手に巻くなどして、もう二度と落としません……。クランクが壊れて回らなくなりました。 

 

戦前ベビーローライを上からのぞいたところ。ファインダーにはルーペがあります。このルーペがないとピントがしっかり合わせられません。買ったばかりで慣れておらず、あれ? 上がらないな? と指で上げたらそのままポキリ! ベビーローライの歴史にわたしはなんてことを……危ないと思ったらもう絶対に力を入れません。

 

さて、この幕がどうにかなったM3も修理に出すことに。今回も、M4を前にオーバーホールしてくださった修理士の方にお願いすることにしました。修理士は人気がある方は修理が殺到することから、会員制のお店等でしか修理を受けない等の対策を取っている方も多いようです。(それゆえにわたしがお願いしている方々についても、ここで情報をオープンにはできなくてすみません。PCTのカメラ店のリンクのJ-カメラ加盟店も、店頭での修理受付をしている良いところがありますので、チェックしてみてください。カメラ趣味が長い方は各自、安心できる修理先を知っていることが多いので、まわりの方にも聞いてみることもおすすめします)
 

わたしの周囲の修理相場から考えるに、だいたいのM3故障の見積もりは、オーバーホールが57,000~、幕交換が20,000程度です。でも、幕だけ交換してもらうというのも、幕がだめになるということは、他もオーバーホールからはそれなりに時間が経っていることが推測されるので、どうせ開けるなら、他もくまなく見てもらった方が、結果、長く元気に動くような気がします。
 

正直、上記の相場の値段を見て(ライカのオーバーホール、高っ!)と思った方もいるでしょう。「M3オーバーホール」でネットを見てみると、相場はいろいろです。激安のところにお願いしてみるのも価値観次第。でも、部品をひとつひとつばらし(ライカ純正の工具でないと開けられない箇所もあるそう)、見えない部分もくまなく全部綺麗にして、貼り革も直したところがどこかわからないくらいにきれいに直して、シャッター幕も入れ替え、きちんと機械で精度を出し――となると時間も手間も経験も技術も必要です。信用と安心料、手厚いアフターサービス込みで、わたしの相場観では上記の価格は適正価格だなと思います。
 

M4の修理の後も、ものすごくトゥルトゥルに動くようになったので、M3も直してもらっていっぱい撮ろうと思います。
 

――と思って相場のお金を用意し、「これ修理をお願いします……」と持っていったら、修理士の方がちょっと幕の出るところをつついたらその場で直ってびっくり、幕が珍しいひっかかりかたをしていたようです。「修理まだ大丈夫です」となりました。その場で直ったわけですが、それは修理士の人の長い経験と知識があってこそできたことです。(儲けにはしるところなら、預かりとして修理していないのに修理したと言って、お金を請求するということもあるでしょう)自分ではどうやっても元に戻すのは無理だったので、直って嬉しく、ささやかですがお礼にケーキセットをごちそうしました。
 

カメラ趣味に修理はつきもの。よい修理先を見つけたらご縁を大切に。 
 

無事に治ったライカM3。直ってホッとしました。もっとまめに使おうと反省しました……。

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