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柊サナカのカメラ沼

第2話 キャンプのカメラ

2021/12/14
柊サナカ

ローライ35T。小さい旅の相棒

 

キャンプがとても好きです。両親がアウトドア好きだったので、物心つく頃から、キャンプに年一回は必ず行っていました。今も、関西の実家に帰るたびに、キャンプに春・夏と行っています。昨今のテントは、骨組みがしなったりして、とても組み立てやすくなっていていいですね。
10月で暑さも和らいだ頃、兵庫県淡路島にある、伊毘うずしお村オートキャンプ場に出かけました。
キャンプの楽しみと言えば、何のカメラとフィルムを持っていこうと、前日の準備で迷うところからワクワクしませんか。
みなさんだったら、キャンプに持っていくカメラとして、どんなカメラを準備されるでしょう。

 

わたしの条件は、キャンプには、まずカメラ自体が小さくて携帯しやすいことです。前は、キエフ60やマミヤC330などの大きくて重量級のカメラも、頑張ってキャンプに持って行っていましたが、持っていくだけで一苦労だし、東京から関西まで新幹線、子も連れているため「のどが渇いた」「本屋で鉄道ファン買いたい」「おやつ食べたい。つかれた」「トイレ」「今何時いつ着くの」「あっN700系のパンタグラフ! パンタグラフ!」などと、子はいっぺんにいろいろなことを言いがちなので、荷物が重いと、それだけで心身疲れます。テント設営もそれなりに大変ですし……。

 

でもコンパクトなカメラがいいとはいえ、一日撮っていて、面白いものがいいですよね。できれば露出計がついていてほしい。そうなると、一番に思い浮かぶのはローライ35Tです。ローライ35は、ピントが目測のため、(これは大体何メートルだ?)となって、目測をたまに失敗、ピントが行方不明になりますが、きっちりピントが合っていれば、さすがプロのサブ機といわれたローライ35だな……という納得の写りをします。首から提げていても、肩が凝ったり邪魔になったことはない、手のりの大きさ。なにより革ケース+ローライ35のデザインも可愛いです。最短撮影距離が90センチと、テーブル上のものを撮るときには一歩引くような感じになりますが、40ミリという焦点距離も広すぎず、街角で何か話しかけつつ撮るには最適です。
旅行と帰省とキャンプの友、ローライ35T。どんな旅行にも毎回持っていく定番カメラです。

 

GRⅢ。キャンプに大活躍

 

あと、キャンプに絶対に持っていくカメラとしてGRⅢ。GRではたくさん撮って、その場で両親のスマホにも送ったりできます。28ミリの広角レンズは、普段の生活で、自宅の中を撮ったりするときには、写ってほしくない隅の生活感などもしっかり写ったりして(広いな……)と、50ミリ程度にクロップすることもよくあります。しかしながら自然の中の28ミリは、キャンプなど、火を囲んだ皆を撮ろうというときにも、テント全景を撮ろうと思うときにも、自分だけどこかへ下がっていくことなく、構えてその場で撮れます。まさに団らんのその瞬間を撮れる、キャンプ向きのカメラ。

 

GRⅢには驚くほどにいろんな機能があって、朝から真夜中まで、一日中手持ちで撮れるのもありがたい。なんとISO12800まで設定できるのだとか。かなり暗いキャンプ場の夜景でも、手持ち、ISO6400で雰囲気よく写りました。
今回来た淡路島が、意外に星空がよく見えて、ああ三脚を持ってくるのだったと後悔しました。三脚を持っていけば、GRⅢではインターバル合成、星の動きを連続で撮り続けて、かっこいい光跡が撮れる星空撮影もできたりします。
モノクロとカラーも、それぞれ細かく仕上がりを選べ、気に入ったものはダイヤルにも登録できるので、雰囲気をがらりと変えることもできて、飽きません。

 

ただキャンプで心配なのは、GRⅢのバッテリー問題です。満充電、こまめに電源を消して、一日、充分撮れました(失敗を消しつつ140枚程度)が、バッテリーの保ちは以前のGRシリーズよりも短めであるように思います。キャンプが複数日の場合は、充電の問題をどうするかを考えねばなりません。最近のオートキャンプ場では、AC電源が使えるところも多くありますが、キャンプ場では屋外で雨が降り込まないようにか、AC電源のコンセントの刺し口の形状が特殊なものが多く、備え付けの充電器が電源に差し込めないこともよくあります。予備バッテリーを複数個持っていくか、延長コードをひとつ持っていくとよいようです。

 

その上で、キャンプにはやっぱり一眼レフだって持っていきたい。でも一眼レフはどうしてもかさばるし……と思っていたら、コンタックス139クオーツのことを思い出しました。これは貼り革が剥がれたものを、ありがたく頂戴したものです。剥がれていたモルトを自分で張り替え、貼り革も「カメラ貼り替え革専科」Aki-Asahi.comで購入した紺の革を、自分で貼り変えたという、愛着もひとしおのカメラです。レンズはテッサーにしました。一眼レフですが、コンパクトなのはとてもいいなと思います。

 

ただ、露出計の精度がちょっと不安で、今まで旅行には持って行ったことはありませんでした。でも「へそまがり写真術」(筑摩書房)「カメラは時の氏神」(光人社)の執筆でも知られる柳沢保正さんが、わたしのコンタックス139クオーツを見て、”ヒマラヤ、中東、ヨーロッパ……と駆け巡って、AX、サムライなども使いましたが、今残っているのはこれだけです”とコメントをくださって、(世界中、いろいろな取材に行かれた方が、手元に残したカメラなのだったら、絶対に良いものに違いない)と思うと、急にしまいこんでいるのが惜しくなり、今回、初で持っていくことにしました。うまく撮れるか楽しみです。

 

コンタックス139クオーツ

 

今回のキャンプでは上記のデジタルカメラ一台、フィルムカメラ二台を主なカメラとしました。フィルム機にはモノクロとカラーをそれぞれ詰めて、一本撮り終わるごとに、カラーとモノクロを交換して使うことに。フィルムはカラーで各種、定番のフジカラー200、コダックは100、プロイメージ100、ポートラ400。あと気分を変えて、ロモのメトロポリスなども。モノクロも、各種用意しました。ローライオルソ、フォマパンなど。定番フィルムとして気に入っているイルフォードデルタ100は、長巻を三本切り出してみました。モノクロで気に入ったものは気にせず使いたいので、長巻をどんどん使うことにしています。夜はお気に入りのイルフォードデルタ3200を使うことに。

 

旅に使うフィルム

 

そうは言っても、中判も持っていきたくないですか? せっかくのキャンプなんですから。でもさすがに、この上で重みをこれ以上増やしたくない……と思って、いつも頭に浮かぶのが、ホルガ。ホルガはあのマイケル・ケンナだってホルガの写真集を作ったという、不思議な魅力を持つカメラなのです。トイカメラらしい外見で、本当にビックリするほどプラスチックの質感、スマホよりもずっと軽い。油断したらお弁当箱のように、裏蓋がパカッと開いてしまうため、わたしのホルガは髪ゴムでぐるぐる巻きにしてあります。裏に赤窓があって、そこから感光するため、黒いテープで遮光しています。そんなわけで、見た目、ボロボロです……。

 

トイカメラの名機ホルガ


中を開けて見ると、シャッター速度? 何それ? という感じの、一本のバネが入っています。一応1/100秒らしいですが、定かではありません。でもこのホルガ、急にやる気を出すみたいに、ものすごい一枚を出してくることがあるのです。それを狙って、いつも持っていくことにしています。
二日目が曇りだったこともあり、今回はあまり活躍せずでしたが、キャンプと旅行にはホルガも荷物の隅に入れています。


今回、キャンプで大活躍したGRⅢは子供も持ちたがり、マクロ撮影を教えると虫や花を撮ったり、兄妹、親子で取り合いになり大騒ぎだったので、新たにGRⅢx、40ミリも手に入れました。
GRⅢxは、GRⅢxの良さがありますね。また使い慣れてからお知らせしたいと思います。

 

新たに手に入れたGRⅢx

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