top コラム柊サナカのカメラ沼第23話 アウラ舎で、暗室体験一日ワークショップに参加

柊サナカのカメラ沼

第23話 アウラ舎で、暗室体験一日ワークショップに参加

2023/08/01
柊サナカ

先日、わたしはPCTの村上仁一さん(雑誌『写真』編集長)と、下北沢の本屋B&Bでトークショー「本とカメラと写真と」をやらせていただいて、「カメラにはまっている、特に暗室は面白い!」という話をしていました。ちょうど、その場に来ていたF社の編集者Tさんと、出版エージェント編集者のAさん(どちらもわたしの担当編集者)が、暗室に興味を持ち、「暗室、ぜひ行ってみたいです!」という話になりました。
 
TさんもAさんもわたしより若い世代で、フィルムカメラ世代ではなく、カメラ自体あまり触ったことがないそう。わたくしのいきつけの暗室、押上のアウラ舎に相談したら、初心者向けの暗室体験ワークショップがあるので、ぜひとのこと。

 

それも街中の撮影→フィルム現像→暗室で引き伸ばし、この三つを全部体験できる、盛りだくさんの初心者一日暗室体験ワークショップがあるというではありませんか。カメラの貸し出しもあるのはありがたい。
 

おおまかな日程は、
 

  • 10:00~12:00 フィルム装填、シャッター速度と絞りなどの説明、街中でカメラを持って撮影。
    <ご飯休憩>
    13:00~15:00 現像タンクでフィルムを現像
    <小休憩>
    15:00~17:00 引き伸ばし、乾燥

 

という感じでした。

 

今回は一日コースでしたが、例えば、自家現像したいので、現像のやり方だけを教えて欲しいとか、暗室だけやってみたい、という短いコースもあるそうです。店主、大島さんは初心者にもとても優しく、教え方もわかりやすいので、ぜひみなさんにおすすめしたいです。

※日程、価格等はアウラ舎SNS、お電話等でお問い合わせください。

 


わたしはべセラートプコンを持っていきました。フィルムはモノクロの、イルフォードデルタ100です。 

 

転売の民に揉みくちゃにされ、オークションサイトで競り負け、eBayでハズレを掴み、フィルムの価格上昇に揉まれるという世間の冷たい風に、精神がすさみきっているカメラ好きのみなさん、カメラを初めて持った初心者のリアクションが、こんなにも心に染みることをご存じでしょうか……。
 
アウラ舎店主、大島さんはご自身でも作品撮りをし、カメラにも精通しているため、初心者に最初に持たせるべきカメラは何かをよくご存じです。貸し出しカメラはペンタックスMV1。絞り優先AEです。絞りを変えて撮る楽しさは、やはりカメラならではですよね。とはいえ、最初の一台がフルマニュアル機だと、操作を間違えて真っ暗だった、また、白飛びで何が何だかわからない写真ばかりなどの危険性があります。ここは絞り優先AE機が安心です。

 

まずはフィルムの装填の仕方から。コンパクトで素敵、見ていてペンタックスMV1が欲しくなりました。

 

いよいよカメラを手にします。

 

お店の中でも撮って練習中。

 

カメラの構え方や絞り、シャッタースピードの関係などの説明のあと、実際に、カメラを持って街に繰り出します。「いい音がする!」「楽しい!」と、みなさん和気藹々。押上のあたりは面白い被写体がたくさん、なにしろ押上はスカイツリーがどんとそびえ、一歩路地に入ったら古い町並みが残っていたりします。大島さんの案内で、カメラ片手に、街にシャッターチャンスを探しに行きます。

 

印象的だったのが、はじめてカメラを持った人の、「カメラを持つと、いろいろ探して、普段の町並みも違って見える」という言葉です。わたしたちもそうだったでしょう? 初めてカメラを持ったときの、あの感激を思い出しました。
 
押上の逆さスカイツリーを橋からのぞんだり、川沿いを歩いたり、いい感じの町並みなど、36枚を撮り切りました。

 

アウラ舎近くの、見事な朝顔のお家で撮影させてもらいました。(写真の許可をとってあります)

 

川べりでも撮影。

 

味のある壁。モノクロにしたらかっこいいですよね。

 

ご飯を食べたら、フィルム現像の始まりです。現像タンクの、リールへのスムーズな巻き方を覚えます。真っ暗な中で、手探りで巻いていきます。
 
ところで、フィルム現像、みなさんはどう覚えましたか? やり方もちょっとずつ違ったり、タンクの振り方など、自分なりのやり方になっている方もいると思います。今回、初心に戻って、きちんとした手順を踏んでやってみました。わたしはフィルムピッカーが苦手だったり、横着して現像ムラが出てしまったりという細かい困りごとがありましたが、誰かに聞きたくても、(忙しいだろうな……)と気を遣ったりして、意外と人に聞けないものです。今回、きちんとした現像の手順を再確認することができ、三人が三人とも失敗無しの、すごくきれいなネガができて、初心に戻ることは大事だな、と思いました。

 

乾燥のため、ネガを干す時にはみんなで「すごい!」「写ってる!」と大はしゃぎでした。楽しい……。

 

暗室に戻って、フィルムを巻き戻します。

 

フィルムピッカーの使い方。

 

まずは明るい所で、練習用のフィルムをリールに巻いていきます。慣れたら本番です。

 

タンクに薬品を入れ、木槌(ゴム槌)で叩いて気泡をとります。

 

現像できました! 歓声が上がります。

 

次はいよいよ引き伸ばしです。赤いライトが点いて、暗室の気分が高まります。アウラ舎の機材はプロの写真家にも名機と名高いフォコマートです。フィルムセットのやり方、ピントの合わせ方など、丁寧な指導があります。1秒ごとにずらしていく段階露光も。それぞれ、朝撮ったフィルムの中からこれぞ! という三枚を選んで、それぞれどの濃さにしたら良いかをじっくり見て、焼いていきます。部屋を明るくし、完成した写真を観たときの喜びは、何物にも代えられません。写真、楽しいですね……。
 
「カメラって本当に良いですね」と、みなさんカメラと暗室の一日を楽しんだようで、わたしも嬉しい。「実家でフィルムカメラ探してきます」という人も。 

 

こういった暗室ワークショップは、わたしのおすすめする押上のアウラ舎以外にも、いろいろなところで行われています。みなさんの友人で、カメラに興味のありそうな人を引き連れて、ぜひワークショップに行ってみてください。

 

フォコマートの使い方のレクチャー。

 

ネガキャリアにネガをはさみます。

 


プリントできました! 水洗しています。 

 

そういえば、わたしも先輩諸氏からカメラを貸していただいたり、いろいろ教えられたりしてきましたが、逆にカメラ沼に手招きするのも、ものすごく楽しいということを今日知りました。 
 
何か新しいことをやってみたい、フィルムカメラや暗室に興味あるけど、何からはじめたらいいのかな……? という方も、暗室ワークショップにぜひどうぞ。濃い、面白い思い出の一日になることうけあいです。
 

アウラ舎さんではカメラの貸し出し+フィルムの販売もあるので、身一つで行けますよ。さあ、新しい扉を開きましょう。

 

思い出が持って帰れるのも暗室のいいところ。楽しいです、ぜひどうぞ。

 

  • アウラ舎
  • 〒131-0045 東京都墨田区押上1丁目15−5
  • 080-5421-8031
  • 貸し暗室:10時〜22時(要予約)、喫茶:15時〜20時(不定休)
  • お問合せ、ご予約はaurasya.info@gmail.com
  • https://twitter.com/AURA_sya

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