top コラム柊サナカのカメラ沼第1話 eBayとヤフオク祭

柊サナカのカメラ沼

第1話 eBayとヤフオク祭

2021/11/15
柊サナカ

「日本カメラ」で4年間連載されていた「柊サナカのカメラ沼」ですが、「日本カメラ」休刊とともに連載も終わってしまい、悲しみのあまり、eBayとヤフオクにはまる毎日でありました。


eBayをご存じない方に簡単に説明すると、日本のメルカリと、ヤフオク!を合体させたような米国のウェブサイトで、「世界最大のオークションサイト」としてもよく知られています。
米国のサイトのため、やりとりは英語です。喉が痛かろうが、頭が痛かろうが、たいてい「I'm fine.」で済ませていたわたくしの英語力では、何かトラブルがあったときに、交渉もこころもとないし、米国のサイトとやりとりするなんて、怖くて無理と思っていましたが、やってみれば意外と何とかなるものです。
品物は世界中から登録があるので、ピンポイントでこのフードが欲しいとか、どうしてもこのカメラのアクセサリーが欲しいなど、国内のお店ではあまり見かけないものも、eBayで探すと楽に見つかることがあります(わたしはキエフ60の、ウエストレベルファインダーのみが欲しかったのですが、それもすぐに見つかりました)。

 

eBayは、メルカリ方式であらかじめ値段が決まっているものもあれば、ヤフオク!方式で、競りのように値段が上がっていくものもあります。個人的に、このオークションが熱いのですが、国内のヤフオク!と違うのは、終了時刻がきっかり決まっていること。
この終了時刻が決まっているのがくせ者で、(ああ良い感じの値段だな、よし、入札しておこう。お得に買えそうだ)と、ホクホクしていても、残り10秒とか5秒で、ギューン! と値段がつり上がることがあります。許しがたい。海外のわたしたちめ……
でもいま、世界中で心が一つになって、終了時刻10秒前に呼吸を止めて、何人もが入札ボタンを押そうとしているなんて、なんだか感慨深いですよね。イマジンみたいで。

 

残り10秒の駆け引きのうちに競り勝ったのが、このREオートトプコール58ミリです。ずっと欲しかったレンズなので嬉しい。アメリカで使われていたこのレンズには、JCIIの金のPASSEDシールが貼ってありました。このシールは、日本から輸出するカメラに、検査の合格したものの証として貼られたシールです。eBayを利用するようになって、このシールのついたものをたまに見かけるようになりました。日本から輸出され、遠い国でずっと使っていても、このシールは剥がさずに大切にとってあったのだな、と思うと、日本カメラの誉れ、というような感じがして好きです。わたしも外さずに大事にとっておこうと思います。

 


そんなこんなで、eBayはちょくちょく利用しましたが、トラブルがあったのは某国のお安いマウントアダプターのみです。それはハズレもハズレの大ハズレで、ピントを合わせていくうちに、アダプターからコロンとレンズが外れて落ちるという謎仕様でした。まあ値段も安かったので返品せずに、勉強代として我慢しましたが、商品の状態は購入前によくよく見極めないといけませんね。
まずレンズが先になってしまいましたが、こうなるとトプコンのボディも欲しい。すると仲良しの人から、ちょうど今、トプコンのボディがヤフオク!で出ていると教えてもらいました。ベセラー・トプコン スーパーD。

 


eBayとの違いは、ヤフオク!は終了時刻が延長になること。これは、残り1分などで入札があれば、5分間延長となって、だれかが競り勝つまで延々終わらない、毒毒物欲デスマッチになるということです。
この場合、見も知らぬ相手と激しくやり合うことになって、値段もどんどんつり上がり、(わたしは負けたのではない。お前はそこで孤独なダンスを踊るがいい……)と歯ぎしりしながら諦めることも。
しかしながら、このベセラー・トプコン スーパーDの出品ページ、

【清潔感ある奇跡の極美品】
超絶オススメ! 完動品チェック済み! 
外観綺麗でファインダーにカビ・クモリなし!! 
本日の超超お買い得品!! 見逃すともう買えませんチャンスは今のみ!! 
すばらしく品のある質感! 美しい輝き!! 

とあり、下の方に

現状渡しのノークレーム・ノーリターンでお願いします。

という一文もあって、特徴のある独特の文体に多少のためらいを覚えるも、知人の勘を信じて入札しました。だって奇跡の極美品だし……
結果、無事に「清潔感ある奇跡の極美品」が届いてほっとしました。露出計もきっちり動いており一安心。
カメラ歴の長い知人からは、「たくさんの出品の中で当たりを見極める目が大切」と言われ、なるほどなあと。


あっ、でも、もしもこれを読んだ方で、カメラ買ってみようかな、となった方、最初の一台は、カメラ専門店で、きっちり整備されたものがよいと思いますよ。わたしもアクセサリー類やレンズこそオークションで買いますが、精密機器であるボディそのものをオークションで買うのは、目利きの知人の助けもあって、今回が初めてです。その知人によると、何やら見逃してはならないチェックポイントや、商品の全体の雰囲気があるようでして……
カメラ専門店なら保証もありますし、整備済みを買った方が動作も快調で、結果安くつくことが多いようです。お休みの日にカメラ店へ出かけていくのも良いし、このページ右上のJカメラも、どうぞチェックしてみてください。

(余談ですが、上記の奇跡の極美品のトプコン、撮影してみてはじめて、シャッター幕の不良がわかって、歯ぎしりしつつ修理職人さんのところへ送りました。当たりもあれば、外れもある、それがオークションの修羅の道……)


そんなこんなで再開となりましたカメラエッセイ、「柊サナカのカメラ沼」ウェブ版は月刊連載となります。毎週、カメラまわりの面白そうなところへいろいろ行ってみたり、何かに挑戦したり、あとカメラ小説・カメラ漫画・映画などなど、主にカメラを取り扱った作品の紹介なども予定しております。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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